新型コロナウイルス感染症:症状は?原因は?予防はできるの?治療法は?
更新日:2021/02/02
- 感染症専門医の忽那 賢志と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分が新型コロナウイルスにかかってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 新型コロナウイルス感染症は、大声を出したり咳をしたりすると発生する飛沫を吸い込んだり、ウイルスがついた部位を触った手で目や鼻を触ることで感染します。
- 熱、咳、のどの痛み、味覚や嗅覚の異常などの症状が出ることがあります。
- 特にご高齢の方や持病のある方は、重症になりやすいです。
- 新型コロナかなと思ったら、まずはかかりつけ医に相談しましょう。
新型コロナウイルス感染症は、どんな病気?
- 新型コロナウイルス感染症の初期症状は風邪やインフルエンザと似ています。発熱・咳・だるさ・食欲低下・息切れ・痰・筋肉痛・嗅覚障害・味覚障害などの症状がみられることが多いです。
- 特に息切れと嗅覚障害・味覚障害は、風邪やインフルエンザではまれな症状ですので、新型コロナの可能性を疑うきっかけになります。
- 重症化する場合は、発症から1週間前後で肺炎の症状(咳・痰・呼吸困難など)が強くなってくることがわかっています。
新型コロナウイルス感染症と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 現時点(2021年2月1日)では、新型コロナウイルス感染症かな?と思ったらすぐに検査をすることが望ましいです。次のような症状があれば、まずはかかりつけ医への相談を考えてください。
かかりつけ医への受診がおすすめな場合
- 発熱・咳・だるさ・食欲低下・息切れ・痰・筋肉痛・嗅覚障害・味覚障害などの症状がみられる場合
救急車を呼ぶ場合
- 息苦しさが強い場合、突然の胸の痛みが出た場合
新型コロナウイルス感染症になりやすいのはどんな人?原因は?
- 新型コロナウイルス感染症は、3密と呼ばれる「換気の悪い」「人が密集した」「声を発する」場面でうつりやすいことが分かっています。こうした3密の環境(例:ライブハウス、会食、など)にいた方は、感染のリスクが高いと言えます。
- また、マスクを外した状態で会話をすることも、感染のリスクにつながります。長時間マスクを外して会話をしたりすると、感染しやすいでしょう。
どんな症状がでるの?
- 新型コロナウイルス感染症にかかると、次のような症状があらわれることがわかっています。
新型コロナウイルス感染症の症状
- 発熱・咳・だるさ・食欲低下・息切れ・痰・筋肉痛・嗅覚障害・味覚障害・下痢
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 新型コロナウイルス感染症の疑いがあると医師が判断した場合は、新型コロナウイルスのPCR検査または抗原検査を行うことがあります。
- ただし、PCR検査や抗原検査で陰性であっても、新型コロナウイルスに感染していない、と言いきることはできません。
- 新型コロナウイルス感染症と診断されたら、胸部レントゲン検査や胸部CT検査で肺炎の有無を確認することがあります。
どんな治療があるの?
- 新型コロナウイルス感染症と診断されても、ほとんどの方は治療しなくても良くなるため、お薬は特に必要ありません。
- 発熱や頭痛などがつらい方には、解熱薬をお出しすることがあります。
- 重症の方になると、酸素吸入が必要な場合があります。また、医師が必要と判断した場合、レムデシビルなどの抗ウイルス薬、デキサメタゾンなどのステロイド剤、ヘパリンなどの抗凝固薬が使用されることがあります。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
レムデシビル
- 新型コロナウイルスに対する抗ウイルス薬です。
- 肝臓や腎臓の機能が悪化するという副作用が出ることがあるので、使用中は定期的に血液検査を受けていただく必要があります。
デキサメタゾン
- 症状の重い方に投与するステロイド剤です。
- 高血糖、感染症にかかりやすくなる(易感染性といいます)、胃潰瘍、眠れなくなるといった精神症状(ステロイド精神病といいます)などの副作用が出ることがあります。
予防のためにできることは?
屋内ではマスクをつける
- 新型コロナウイルスはインフルエンザなどと違い、症状がでる前から周囲の人にウイルスをうつすことがあります。ですから、熱や咳などの症状がなく元気にみえる人も含め、屋内ではマスクを着用することが推奨されています。
- 新型コロナウイルスに感染した人が周囲の人にうつしやすい時期は、症状があらわれる3日前から発症後5日くらいとされています。
「密閉・密集・密接」を避ける
- 新型コロナウイルス感染症は、「密閉・密集・密接」の3要素を持つ空間で広がりやすいこともわかっています。この「3密空間」を避けることが、新型コロナウイルス感染症対策では重要です。
こまめに手洗いをする
- ウイルスがついた手で顔を触ると、感染する可能性があります。また、手で触ったところにウイルスを広げてしまう可能性もあります。こまめにせっけんで手を洗って、ウイルスを洗い流すようにしましょう。
ワクチン接種を受ける
- ワクチンは、新型コロナウイルスに感染したとしても、症状が出ることを予防するのに有効であると考えられています。
- 国内でも新型コロナワクチンの接種が開始されます。機会があればぜひワクチンを受けることを検討してください。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 新型コロナウイルス感染症にかかっても、8割以上の方は重症化することなく自然に治癒します。残り2割の方は酸素投与が必要になり、5%の方は集中治療室での治療が必要になります。現在、日本では残念ながら1.3%の方が亡くなっています。
- 通常、軽症の方は1〜2週間で良くなります。酸素投与が必要な方、集中治療室に入る方は、治癒するまでにより長い時間がかかります。
- なお、症状がすっきり良くならず、だるさ、咳、胸の痛み、味覚や嗅覚の異常が数ヶ月間にわたって続くことがあります。
追加の情報を手に入れるには?
- 新型コロナウイルスについてより詳しく知りたい場合は、下記のサイトを参考にされるとよいでしょう。
- 内閣官房「新型コロナウイルス感染症 感染対策」
- https://corona.go.jp/
- 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」
- https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html