伝染性単核球症:どんな病気?熱はいつまで続くの?検査や治療は?
更新日:2020/11/11
- 感染症を専門としている医師の大曲 貴夫と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると伝染性単核球症と診断され、どんな病気なのか不安を感じて、検索されておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 伝染性単核球症はウィルスによる感染です。
- キスなどを介して人から人にうつる病気です。
- 発熱や喉の痛み、だるさなどの症状が4週間程度続きます。
- ウィルスを押さえる治療はないため、安静にして回復に努めることが治療です。
- 発熱と喉の痛みが1週間以上続くときは、この病気の可能性もあるので病院に受診しましょう。
伝染性単核球症は、どんな病気?
- 感染性単核球症はウイルスが原因の感染症です。EBウィルスが原因として最も頻度が高いと言われています。
- キスや性交渉などの密接な接触によって人から人へと感染します。発熱とともに、のどの痛み、リンパ節の腫れ、皮膚の発疹などの症状がみられます。
- 通常、お薬での治療をしなくとも2-4週間で自然に治ります。ただしごくまれに、重症となることもあります。
伝染性単核球症と思ったら、どんなときに病院への受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 伝染性単核球症の場合には熱、喉の痛み、疲労、寝汗、首や脇の下のリンパ節の腫れが長く続きます。
- 風邪やインフルエンザの場合はこのような熱は通常1週間以内におさまります。しかし上記の症状が1週間を超えて続くようであれば、医療機関を受診した方がいいです。
- また、受診するのは内科がよいです。
伝染性単核球症になりやすいのはどんな人?原因は?
- 伝染性単核球症になりやすいのは10代から20代の若い方です。
- 原因となるEBウィルスはありふれた微生物でほとんどの方一生のうち一度感染します。
- この病気になる多くのかたは10代から20代で感染します。これはキスや性交渉などの他者との密接な接触がはじまるのがこの世代からであるからと考えられています。
どんな症状がでるの?
- 症状は以下の通りです。
症状
- 発熱
- 喉の痛み
- 倦怠感・疲労感
- 食欲不振
- 寝汗
- 首などのリンパ節が腫れる
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 医師が伝染性単核球症の疑いがあると判断した場合には、血液検査を行い、原因ウィルスに感染しているかどうかを調べます。
どんな治療があるの?
- 伝染性単核球症の場合は、抗ウィルス薬による治療はありません。
- よって発熱や喉の痛みなどの症状を和らげる治療を行います。具体的にはアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬を処方します。
- 抗生物質は、伝染性単核球症の原因となるウィルスには無効です。よって治療には抗生物質は必要ありません。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
- 伝染性単核球症の場合には脾臓が腫れることがあります。このときに脾臓に強い力が伝わると、脾臓が破裂することがあります。
- よって病気が治るまでの4週間程度は、激しい運動やスポーツを避けてください。
- お腹や左胸・左脇腹の痛みが出たら、必ず医療機関を受診してください。
- また、アセトアミノフェンを飲みすぎると肝臓に副作用が出ることがあります。飲む量や1日に飲む回数は必ず医師の指示を守って下さい。
うつるの?自分の予防のためにできることは?
- 原因となるウイルスは唾液と粘液に含まれており、通常、キスを介して人から人へとうつっていきます。
- よって他の方にうつさないためには、病気の間は他の方とのキスなどの濃厚な接触を避けてください。
- また食器(コップ、飲み物のグラス、スプーン、フォークなど)を共有することで感染することもあるので、病気の間は共有しないでください。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 通常は4週間程度で発熱と症状が治まります。ただし、希に重症となって入院が必要となる事があります。
追加の情報を手に入れるには?
- 伝染性単核球症については国立感染症研究所のウェブサイトに詳しい情報が掲載されています。
- https://www.niid.go.jp/niid/ja/home/392-encyclopedia/444-im-intro.html