急性心筋梗塞:心筋梗塞の原因は?前兆や症状はあるの?治療は?予防できる?
更新日:2020/11/11
- 循環器専門医の石原 正治と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると激しい胸の痛みがあり、「急性心筋梗塞かもしれない?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 急性心筋梗塞とは心臓の血管が詰まってしまう病気です。
- 症状としては突然の胸の痛みが20分以上続きます。
- あご、首、肩、腕、みぞおちなどに痛みが広がったり、吐き気や冷や汗、意識を失うこともあります。
- すぐに救急車を呼んで病院へ行きましょう。
- 早く治療を受ければ、治療後は必ずしも悪くない病気です。
- 退院後の再発予防も重要になります。
急性心筋梗塞は、どんな病気?
- 急性心筋梗塞とは心臓を栄養する血管が血の塊などで詰まってしまい、心臓の筋肉がダメになってしまう病気です。
- 急性心筋梗塞ではそれに伴い、異常をきたしたりして命を落としてしまうこともあります。
- 急性心筋梗塞では激しい胸の痛みを訴えることが多いです。
- そのような症状があれば、すぐに救急車を呼んで病院を受診し、治療を受ける必要があります。
急性心筋梗塞と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?
- 以下のような症状が現れた場合は、すぐに救急車呼びましょう。
心筋梗塞の症状
- 今まで感じたことない激しい胸の痛み
- あご、首、肩、腕、みぞおちに広がった胸の痛み
- 冷や汗を伴う胸の痛み
- 吐気を伴う胸の痛み
- すでに狭心症を診断されていて、ニトログリセリンをもらっている場合には服用し、5分しても症状が改善しないか悪化する場合は、直ちに救急車を呼んでください。
- 直ちに救急車を呼んで病院を受診することが大切です。車やタクシーでは途中で急変した場合に対応できず、手遅れになる場合があります。
急性心筋梗塞になりやすいのはどんな人?原因は?
- 以下を持っている人は急性心筋梗塞にかかりやすいといわれています
急性心筋梗塞になりやすい人
- 心筋梗塞になったことがある人
- 心臓病や血管の病気を持っている人
- 喫煙者
- 糖尿病の人
- 高血圧の人
- 悪玉コレステロールが高い人
- 腎臓が悪い人
どんな症状がでるの?
- 急性心筋梗塞にかかった場合、以下のような症状がでます。
急性心筋梗塞の症状
- 胸の痛み:重たい感じ、圧迫される感じ、締め付ける感じ、焼けつく感じ、不快感などと多彩です。胸の痛みが、顎、首、肩、腕、みぞおちなどに広がっていくこともあります。
- 吐き気
- 冷や汗
- 意識を失う
- 糖尿病患者さんや高齢者では胸痛の出にくいことがあり、息切れやだるさのみで、胸の痛みがないこともあります。
- 以下のような症状では、急性心筋梗塞の可能性は低いと考えます。
急性心筋梗塞ではない症状
- チクチクと刺されるような痛み
- 数秒以内の痛み
- 触ると痛い
- 深呼吸や咳、体の向きにより痛さが軽くなったり、ひどくなったりする
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 症状から急性心筋梗塞が疑われれば直ちに以下の検査をします。
急性心筋梗塞の検査
- 心電図:心臓から発せられる電気信号を記録します。急性心筋梗塞特有の変化がみられれば、治療に移る場合があります。
- 血液検査:心筋梗塞になると、心臓の筋肉が壊れるので血液検査では筋肉が壊れていないかを評価します。
- 胸部X線撮影:胸の特殊な写真を撮ります。心臓に負担がかかると心臓が大きくなったりするのでそれを調べます。
- 心臓超音波検査:心臓がきちんと動いているかなどを評価します。
- 心臓カテーテル検査:心電図で心筋梗塞が最も疑われたときに、心臓のどの血管が詰まっているかを調べます。手術するときに行われる検査です。
どんな治療があるの?
- 治療には以下のようなものがあります。
治療の種類
- 手術治療:カテーテル治療と呼ばれる心臓の詰まった血管を通す治療があります。心電図で急性心筋梗塞特有の変化が見られた場合行うことが多いです。
- 薬物治療:薬によって血の塊を溶かします。
- 心電図で特有の変化が見られない心筋梗塞では、患者さんの状態によって、手術治療か薬物治療かが選択されます。
- 急性心筋梗塞では発症から数日間に合併症を生じやすいため、初めは冠動脈集中治療室(CCU)というところで治療を受けることになります。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?食事や生活で気をつけることは?治療の副作用は?
- 急性心筋梗塞では手術治療が進歩し、元気に退院できる人が増えてきました。
- しかし、一度心筋梗塞をした人は再発の可能性が高く、再発の予防がとても重要です。
- それぞれ以下のことについて気をつけましょう。
治療後に気をつけること
- 一般療法:喫煙者では禁煙は絶対に必要です。食事や体重にも気を付けましょう。また、退院後も心臓リハビリテーションに参加することも有用です。
- 薬物療法:血栓(血の塊)の予防薬、コレステロールや血圧の薬などを飲む必要があります。医師の指示に従って、忘れず飲んでください。
予防のためにできることは?
- 急性心筋梗塞にならないために以下のことに気をつけましょう。
急性心筋梗塞の予防のために
- 禁煙
- バランスの良い食事
- 適度な運動
- 健康診断を受ける:高血圧、糖尿病、高コレステロール血症がないか定期的にチェックしましょう。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 急性心筋梗塞は今までは死亡率30%の病気でした。
- 最近ではCCUやカテーテル治療の進歩により搬送された患者さんのうち95%は助かります。
- ただし、遅れて受診すると、何とか命は助かっても心臓のダメージが大きく、合併症を生じやすくなります。
- また、今でも病院にかからずに亡くなる患者さんは急性心筋梗塞の患者さんのうち15%を占めています。
- できるだけ早く専門病院を受診することが重要です。
追加の情報を手に入れるには?
- 急性心筋梗塞の診療に関しては日本循環器学会など9つの学会の合同研究班からガイドラインが出ています。
- 急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)
- https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2018_kimura.pdf