ノロウイルス:症状・潜伏期間・感染経路は? 検査はあるの? 消毒は? 治るの?
更新日:2020/11/11
- ノロウイルス専門家の片山 和彦と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分がノロウイルスに感染してしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 医師のみなさんが日々の診察のなかで、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- ノロウイルスに感染すると、口からからだの中に入ったウイルスが腸で急に増え嘔吐下痢症【おうとげりしょう】が起こります。
- ノロウイルスによる嘔吐下痢症、食中毒は、冬に多く流行します。
- ノロウイルスは、体力、免疫力が弱い赤ちゃんや子ども、お年寄りが感染しやすい傾向があります。
- ノロウイルス感染による、主な症状は突然のはき気、おう吐、お腹の痛み、激しい下痢、熱がでるなどです。
- ノロウイルス感染症を治すお薬は今のところなく、症状を軽くする治療、水分補給と安静を保つ治療などの対症療法を中心としたものになります。
- ノロウイルスの感染予防には、食べものにさわる前の手指【しゅし】の消毒、手洗いが重要です。
ノロウイルス感染によってどんな病気が起こるの?
- ノロウイルス感染によって起こる病気は、口からからだの中に入ったウイルスが腸で急に増えることで生じる嘔吐下痢症です。
- 名前のとおり、吐いたり下痢をしたりしますが、水分をとって安静に過ごすことで、通常は2〜3日で回復します。
- まれに、からだの中の水分が大量に失われる脱水症状【だっすいしょうじょう】を起こし、入院が必要となる場合があります。
細菌によって起こる嘔吐下痢症とどう違うの?
- ノロウイルスによる嘔吐下痢症、食中毒は、冬に多く流行します。
- 一方、カンピロバクターなどの細菌による嘔吐下痢症、食中毒は、夏場に多く起こります。
- 症状だけでは、原因が細菌かウイルスかを見分けるのは難しいのですが、治療法が異なりますので、2〜3日様子をみても症状が改善しない、あるいは悪化するような場合はかかりつけ医を受診してください。
ノロウイルスに感染しやすいのはどんな人? 感染の経路は?
- ノロウイルスは、体力、免疫力が弱い赤ちゃんや子ども、お年寄りが感染しやすい傾向があります。
- 保育園、幼稚園、小学校、高齢者施設などで集団感染が起きると、その子どもやお年寄りの家族が感染し、大人にまで感染が広がります。
- 食にかかわる仕事の人が感染し、その人から食べものにウイルスが付着すると、規模の大きな集団食中毒が発生します。
- 感染者の排泄物にはウイルスが大量に含まれており、感染源になります。
- ですから、不特定の多くの人が使用するトイレで感染したり、もしくは、ウイルスが付着した手で触れて、ウイルスがついたものを食べることで感染してしまいます。
ノロウイルスに感染するとどんな症状がでるの? 潜伏期間って何?
- ノロウイルスは、赤ちゃんや子どもからお年寄りまで、すべての人にはき気、おうと、お腹の痛み、下痢、発熱などを引き起こします。
- ノロウイルスに感染してから24〜48時間ほど後、次のような症状が突然起こります。
ノロウイルス感染により生じる症状
- はき気
- 嘔吐【おうと】
- お腹の痛み
- 激しい下痢
- 発熱
コラム:潜伏期
- ウイルスが感染してから病気を発症するまでの期間を潜伏期と言います。
- ノロウイルスの場合、24〜48時間ほどです。
ノロウイルス感染を診断するためにはどんな検査をするの?
- ノロウイルスとロタウイルスへの感染を診断するためには、イムノクロマトグラフィーという方法を使って短時間で診断するキット(器具)があります。医療施設で、健康保険を使って検査できます。
- 検査して15分ほどで結果がでますが、保険適用を受けられる人の年齢に制限がありますので、医師に相談して検査を受けてください。
ノロウイルス感染で病院に行くとどんな治療が行われるの?
- ノロウイルス感染症を治すお薬は、今のところありません。
- 病院で行われるのは、次のような対症療法【たいしょうりょうほう】を中心とした治療になります。
病院で行われる治療
- おう吐や下痢、お腹の痛みなどの症状を軽くする
- 水分を補給するための経口補水液が処方される
- 安静を保つ
- 点滴:脱水症状が進んでいる場合に行うことがあります。
ノロウイルス感染は予防できるの? どんなことに注意したら良いの? 消毒ってどうするの?
- ノロウイルス感染を予防するためには、次にあげるようなことを行ってください。
ノロウイルス感染の予防法
- 食べもの(おやつも含めて)にさわる前は手指の消毒、手洗いをする
- 流行期はマスクを着用する
- 消毒には次亜塩素酸【じあえんそさん】ナトリウムという薬品をうすめて(0.02%(200ppm)以上が有効)使う。人体(ヒト)に使用してはいけません。
医療従事者向けコラム:消毒とは?
- ウイルスの消毒とは、ウイルスの感染する能力を失わせることです。
- ノロウイルスに対して、消毒用アルコールは効果がありません。
ノロウイルス感染症はどれくらいで治るの?
- ノロウイルス感染によるおう吐や下痢の症状は、通常2〜3日でなくなります。
- 形がある便と水のような下痢との中間の便(軟便【なんべん】といいます)が、1週間程度続くことがあります。
- なお、症状がなくなっても、ノロウイルスは1〜2週間(長い場合は1月程度)の間、便に排泄【はいせつ】されています。感染を広げないように気をつける必要があります。
どんな症状があったら病院・クリニックに行くべきなの?
- 突然の発熱、嘔吐、下痢の症状がある場合、無理をしないで、ご自宅で安静にして様子をみてください。
- 次にあげるような症状が現れた場合には、脱水状態になっている可能性がありますので、かかりつけ医を受診してください。
かかりつけ医を受診したほうがよい症状
- おう吐、下痢などが1〜2日後も軽くならない
- 唇【くちびる】が乾く
- 口の中が乾く
- 頭痛、高熱など
追加の情報を手に入れるには?
- ノロウイルスについての追加の情報は、次に示す厚生労働省のホームページ「ノロウイルスに関するQ&A」を参照してください。
- https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html