橈骨・尺骨の骨折:症状は? 治療法やリハビリは? 完治するまでの時間は?
更新日:2020/11/11
- 整形外科専門医・手外科専門医の山田 俊之と申します。
- このページに来ていただいた方は、手首を骨折され、どういう治療やリハビリが行われるのか、どれぐらいで治るのか知りたいと思われているかもしれません。
- 手首の骨折の中でも特に多い橈骨遠位端【とうこつえんいんたん】の骨折について、いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
まとめ
- 手首の骨には、橈骨【とうこつ】と尺骨【しゃっこつ】があります。橈骨は親指側、尺骨は小指側の骨で、いずれも肘から手首までつながっています。
- 転んだときなどに骨折しやすいのは、橈骨の手首に近い部分です。橈骨遠位端【とうこつえんいたん】骨折とよびます。
- 治療はギプスで固定するか、金属のプレートで直接骨を固定する手術を行います。
橈骨遠位端骨折はよく起こるの?
- 親指側の手首(橈骨遠位端)の骨折は、からだの中で最も起こりやすい骨折の一つです。
- 歩いているときに転んで手をついた場合に、骨折することが多いです。
- 骨がもろくなる骨粗鬆症【こつそしょうしょう】という病気になった70〜80代の方に多く、女性は男性の2〜3倍多く発生します。
病院ではどんな治療を行うの?
- 骨折した患者さんの70〜80%は、ギプスによる固定などで手術をしないで治療します。また、骨のズレが大きい場合や患者さんの活動性が高く、早く手を動かしたい場合は手術を行います。
- ズレが大きいまま骨折が治ると、手首の動きの制限や痛みが残ることがあります。一方、あまり活発に動かれないご高齢の方の場合、骨に多少の変形が残っても、お困りになることは少ないようです。
ギプス固定
- ギプスは一般に肘の下から手まで固定します。固定する期間は4〜6週間です。
- 固定期間中、手首は動かせませんが、指は関節が硬くならないように動かしておくことが大切です。
整復および手術
- 整復:骨折部のズレが大きい場合は、麻酔をして骨を正しい状態の位置にもどします。
- 手術: 腕だけの麻酔、もしくは全身麻酔を行い、手首のてのひら側を4〜5cmほど切り開いて、金属のプレートで骨折した部分を固定します(図1)。傷口が治れば入浴もできます。日帰りから数日の入院になります。
- まれに、指を曲げる腱【けん】にプレートが当たって腱が切れることがあるため、プレートを抜去する手術が必要になることがあります。
図表1 橈骨遠位端骨折のプレート固定
リハビリテーション
- リハビリテーションは必ずしも必要ありません。関節が硬くなっている場合にリハビリテーションを行うと、その後の手首の動きがよくなります。
- 一般的に3か月までには痛みや機能は改善します。