副鼻腔炎:原因は?症状は?熱や頭痛を引き起こすこともあるの?治療は?
更新日:2020/11/11
- 東北医科薬科大学医学部、耳鼻咽喉科専門医の太田 伸男と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分が副鼻腔炎になってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 副鼻腔炎とは、鼻の周りにある「副鼻腔」という空洞を覆っている粘膜が、炎症を起こす病気です。
- 鼻水、鼻づまり、鼻水が喉の奥に流れている、頭が重い感じ、顔が痛い、顔が押されている感じ、においが分からない、咳や痰などが続く場合には、耳鼻咽喉科への受診をおすすめします。
- 副鼻腔炎の治療はお薬と、お薬で効果がない場合には内視鏡を使った手術があります。
副鼻腔炎はどんな病気?
- 副鼻腔炎とは、鼻の周りにある副鼻腔【ふくびくう】という空洞を覆っている粘膜が、炎症を起こす病気です。
- 副鼻腔炎には、短期間で治る急性副鼻腔炎と、3か月以上治らない慢性副鼻腔炎があります。
副鼻腔炎の症状は?
- 副鼻腔炎になると、鼻水や鼻づまり以外にもさまざまな症状があらわれます。
- 鼻水が喉の奥に流れる(後鼻漏【こうびろう】といいます)、頭が重い、顔を押されている感じや痛みがある、においがわからなくなる、咳や痰などもあらわれます。
- 副鼻腔炎の原因は細菌や真菌などの感染なので、歯の痛みや口臭が生じることもあります。
- また、副鼻腔炎から中耳炎になることがあるため、悪化させないように注意が必要です。
副鼻腔炎の症状は花粉症と違うの?
- 花粉症と副鼻腔炎で共通の症状は鼻水や鼻づまりです。
- 副鼻腔炎では、花粉症の方にみられる眼のかゆみや涙などの眼の症状はありません。
副鼻腔炎かもと思ったら、いつどこに行けばいいの?
- 鼻水や鼻づまりでつらい症状がある場合はかかりつけの病院を受診してください。特に次のような症状もある場合には、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。
専門医への受診をおすすめする場合
- 顔の痛みが強い
- 眼も痛い
- においが分からない
- 鼻づまりがひどい
- 鼻水などの症状がずっと治らない
お医者さんに行ったら、どんな検査があるの?
- 耳鼻咽喉科では、副鼻腔の状態や病気の原因を調べるために、以下のような検査を行います。
内視鏡検査
- 鼻にカメラを入れて鼻の中を観察し、ポリープという「できもの」がないか、膿【うみ】がたまっていないかなどを観察する検査です。
画像検査
- 副鼻腔に膿やポリープなどがないか、確認するための検査です。
- レントゲン検査(X線):すぐに簡単に行うことができます。
- CT検査:病気のひろがりや副鼻腔以外の病気や構造の異常も同時に分かります。
- MRI検査:副鼻腔に溜まっている液体が膿か、真菌(かび)か、腫瘍かを診断するのに大切な検査です。
血液検査
- 炎症がどのくらいひどいか、確認するために行います。炎症の原因が細菌だった場合、白血球やCRPの値が高くなります。
- 治療の効果が出ているかを判断するために、定期的に行うことが多いです。
培養検査
- 副鼻腔に溜まった膿などを取って、原因の細菌がなにかを突き止めるための検査です。
副鼻腔炎の治療は?
- まずはお薬を使って治療し、治らない場合には手術を行います。
お薬
- 急性副鼻腔炎には、原因の細菌をやっつける抗菌薬や、炎症を抑えるお薬を使います。
- 慢性副鼻腔炎には、上のお薬に加え、マクロライドというお薬を少量、2~3ヶ月使います。この治療は菌を叩くというより、傷んだ粘膜の機能を正常に戻すことが主な目的です。
手術
- お薬で効果がない、重い副鼻腔炎の場合に行われます。
- 副鼻腔の中の異常な粘膜やポリープを切り取ったり、副鼻腔の壁を開ける処置を行います。この手術は、鼻の穴から内視鏡というカメラを副鼻腔の中に入れて行うことが多いです。
- 副鼻腔の構造に異常がある場合は、構造を直すこともあります。
もっと知りたい! 副鼻腔炎
好酸球性副鼻腔炎ってなに?
- 好酸球性副鼻腔炎【こうさんきゅうせいふくびくうえん】とは、両方の鼻の中にたくさんの鼻茸(鼻の中のポリープ)ができ、手術をしてもすぐにまた出てくる治りにくい慢性副鼻腔炎のことです。
- 一般的な慢性副鼻腔炎ならば、抗菌薬と内視鏡を使った手術でかなりの方が治ります。しかし、この好酸球性副鼻腔炎の場合、手術をしてもまたポリープが出てきてしまいます。
- ぜん息やアスピリンというお薬の不耐症の方に多いことが知られています。
- 好酸球性副鼻腔炎が指定難病で公費負担となるばあいがあります。