風疹:症状は?抗体検査って?予防接種してない世代は?
更新日:2020/11/11
ワクチンは?妊婦への影響は?
- 小児科医で感染症を研究している多屋 馨子と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分が風疹になってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の研究の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 風疹とは風疹ウイルスによる感染症です。
- 風疹ウイルスが含まれた咳や会話で散るしぶきを吸い込むことで人から人へ感染します。
- 発熱や発疹(赤いぶつぶつ)、耳の後ろや首のリンパ節が腫れるなどの症状が出ます。
- 風疹を疑う症状が現れた場合は、必ず病院に電話をかけてから受診してください。
- 予防としては風疹ワクチンの2回接種が効果的です。
- 女性の方は妊娠前に2回ワクチン接種を受けておくとよいです。
風疹は、どんな病気?
- 風疹とは風疹ウイルスによる感染症です。
- 風疹ウイルスが含まれた咳や会話で散るしぶきを吸い込むことで人から人へ感染します。
- 感染後約2~3週間の潜伏期間を経て、症状が現れます。
- 感染しても症状が出ないことが15~30%程度あります。
- 妊娠20週くらいまでの妊婦が風疹ウイルスに感染すると、赤ちゃんが先天性風疹症候群(目、耳、心臓等に生まれつきの障がいを持つ病気)になることがあります。
風疹と思ったら、どんなときに病院を受診したらよいの?
- 風疹を含むワクチンを1歳以上で2回受けた記録があれば、まず風疹にかかることはありません。
- ワクチンを受けたことがなく、風疹の症状が見られた場合は、事前に電話連絡してから病院を受診して下さい。
- 電話をせずに受診すると、他の人へ風疹をうつしてしまう可能性があります。
風疹になりやすいのはどんな人?原因は?
- 風疹に対する免疫がなければ子どもも大人もかかります。
- 風疹を含むワクチンを1歳以上で2回受けていれば、まずかかることはありません。
- 子どもたちは1歳で1回目、小学校入学前1年間に2回目のワクチンを受けます。
- 特に30~50代の男性はワクチンを受けていなかったり、受けそびれていた人も多く、これらの人が現在風疹にかかっています。
どんな症状がでるの?
- 風疹にかかると下記のような症状が出ます。
風疹の症状
- 発熱
- 発疹(赤いぶつぶつ)
- 耳の後ろや首のリンパ節が腫れる
- 上記の症状が数日から1週間程度続きます。
- 3症状がそろうのは約半数です。
- 40℃以上の高熱になることや、目の充血、関節痛、咳や鼻水、のどの痛みや頭痛、だるさを訴える人もいます。
- 血小板減少性紫斑病や脳炎などの重い病気を併発して、入院が必要になることもあります。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 風疹が疑われると保健所を通して全国の地方衛生研究所で下記の検査を行うことになります。
検査の種類
- 血液検査:血液中に風疹ウイルスが含まれていないかを調べます。風疹ウイルスに対する抗体の有無を調べます。病気の始まりと回復期に2回採血して、抗体価が上がっているかどうかを調べる方法もあります。
- 尿検査:尿に風疹ウイルスが含まれていないかを調べます。
- 咽頭検査:のどに風疹ウイルスがいないかを調べます。
どんな治療があるの?
- 風疹に対する特効薬はなく、症状を和らげる治療となります。
- 熱が高ければ解熱剤が、関節痛や頭痛、のどの痛みがひどければ解熱鎮痛薬が処方されます。
- 高熱が続いて食事が十分に食べられない場合、脱水症状を認める時は点滴をすることもあります。
- 血小板減少性紫斑病を併発したときは、入院して治療します。
- 数千人に一人と稀ですが、脳炎を併発することがあります。この場合は、集中治療室(ICU)で治療することがあります。
うつるの?自分の予防のためにできることは?
- 風疹は咳や会話で散るしぶきを介して人から人へうつります。
- 風疹はワクチンで予防できます。
- 1歳以上で2回、麻疹(はしか)風疹混合(MR)ワクチンを受けます。
- 女性は妊娠前に2回のワクチンを受けておいてください。
- これまでに風疹ワクチンを受ける機会がなかった「昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれの男性」は、2019年~2021年度の約3年間、抗体検査(全額公費負担)を行った上で、定期接種(全額公費負担)として麻疹風疹混合(MR)ワクチンを受けられることになりました。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 通常数日で治ります。
- 合併症を併発した場合は、治るまでに時間がかかることがあります。
- 学校保健安全法では、発疹が消失するまで出席停止です。
- 大人も出勤を控えて、発疹が消えるまでは人が集まるところに行くのを避けてください。
- 発疹出現前1週間~出現後1週間は感染力があるので注意して下さい。