口腔カンジダ症:原因は?症状は?市販薬で治せるの?検査や治療は?
更新日:2020/11/11
- 口腔外科と口腔内科の専門医の山崎 裕と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分が口腔カンジダ症になってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 口腔カンジダ症は昔からある病気ですが、最近は患者さんの数が増えてきていますし、症状も変わってきています。
- 以前は、口の中に拭くととれる白いカスが付く「白いカンジダ症」と呼ばれるタイプがほとんどでしたが、最近は白いカスがつくのではなく、舌が赤くつるんとした「赤いカンジダ症」が増えています。
- 健康な人はならないと思われがちですが、口のなかの環境が悪くなると誰もが起こる可能性があります。
- 口の中の環境が悪くなる原因として一番問題になるのは、口の乾燥と入れ歯をきちんと洗えていないことです。
口腔カンジダ症は、どんな病気?
- 口腔カンジダ症とは、口の中にだれもが持っているカンジダというカビの菌が異常に増えることによりおこる病気のことです。
- カンジダが口の中に付いているだけの初めの段階では、口のケアをしっかり行っていれば口腔カンジダ症を予防できます。しかし何らかの症状が出てきた場合は、医療機関でカビに効く薬(抗真菌薬)を出してもらわないとなかなか治りません。
- 体力が落ちているご高齢の方などが口腔カンジダ症を放置すると、肺炎の原因などにもなります。
口腔カンジダ症と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?
口腔カンジダ症を疑う場合
- 抗がん剤、抗菌薬、ステロイド薬、免疫抑制薬を長く飲んでいる場合
- 口内炎でステロイド軟こうや、喘息でステロイドの吸入を長く使っている場合
- ご高齢の方や体力が落ちている場合
- 入れ歯をつけたまま寝ている場合
受診前によくなるために自分でできることは?
- 入れ歯を使っている場合は、寝る時には外して、入れ歯洗浄剤につけてください。
- 痛みが強い場合は、熱いものや刺激の強いものはさけてください。
- 口内炎で長期間ステロイド軟こうを使っている場合は止めてください。
口内炎と口腔カンジダ症
- 治りにくい口内炎が口腔カンジダ症と関連している場合があります。
- ステロイド軟こうを2週間きちんと使用しても良くならない場合や、痛みが強い場合には口腔カンジダ症を合併している場合がありますので、専門医(口腔内科・口腔外科)を受診しましょう。
どんな症状がでるの?
- 口腔カンジダ症にかかった場合、下記のような症状を示します。
口腔カンジダ症の症状
- 口の中に拭くと取れる白いカスが付く
- 舌が赤くつるんとしている
- 口の端が切れる
- 唇が荒れる
- 入れ歯の下の粘膜が赤い
- 舌がひりひりして痛いが特に熱い物や刺激のある物で強くなる
- 味覚がおかしくなる(特に口の中が苦い)
- 口が乾燥しやすい
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 口腔カンジダ症の疑いがあると医師が判断した場合は、カンジダの培養検査を行うことがあります。通常は、綿棒で舌の表面をこすります。結果が出るまでに丸2日かかります。カンジダは口の中にだれもが持っている菌ですので、たくさん菌がいた場合に陽性と診断されます。
- 他に、顕微鏡検査でカンジダの菌糸(糸くずのような形)が認められた場合にはカンジダ症と診断されます。
どんな治療があるの?
- 口腔カンジダ症と診断された場合、抗真菌薬(真菌とはカンジダのようなカビのことです)が処方されます。抗真菌薬には、フロリードゲル、イトリゾール、ファンキゾンなどがあります。
お薬の使い方
- フロリードゲル:粘膜表面に一定時間塗った後、うがいします。飲む場合もあります。症状がある部位だけに塗布するのではなく、口内全体に塗布する必要があります。義歯を使用している場合は義歯内面にも塗布して下さい。
- ファンギゾン:口内に長く留めてから、うがいします。飲む場合もあります。
コラム:ファンギゾンの処方例(使用量、うすめ方)
- ファンギゾン1本(24ml)に水を加え計500mlとし、1日4回(毎食前、就寝前)、1回20mlでうがい。
- オラビ錠:つい最近、フロリードゲルと同じ成分で1日1回、上顎の粘膜に貼付するだけでよいオラビ錠が使用できるようになりました。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
- 抗真菌薬は、一緒に使うと相性が悪い薬が多いので、気になることが起こりましたらすぐに主治医にご相談下さい。
予防のためにできることは?
- 口内炎でステロイド軟こうを塗る場合、長期間になると口腔カンジダ症になりやすいので、長期間使用するのは避けて下さい。
- 喘息の治療でステロイド吸入をされている場合、吸入は食前が効果的です。吸入後はうがいだけでなく、スポンジブラシを用いて口の粘膜を拭くようにして下さい。
- 入れ歯は寝る時に外し、入れ歯の内側のぬめりを取ってから入れ歯洗浄剤につけて下さい。
- 口腔カンジダ症は口が乾いている方に起こりやすいので、そのような場合は常に口の中を潤すために、唾液腺のマッサージをしたり、ガムをかんだり、保湿剤を塗ったりして下さい。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 通常は、抗真菌薬を1~2週間使うと良くなりますが、良くならない場合は他の薬に変更します。
- 症状が軽い場合は、口のケアだけで治る場合もあります。
- 口腔カンジダ症は一度良くなってもまた悪くなりやすい特徴がありますので、予防のところで述べた予防策を普段から行っておくことが大切です。
追加の情報を手に入れるには?
- 日本歯科薬物療法学会が編纂した「口腔カンジダ症 薬物療法の指針―治療とケアに役立つ基礎と臨床―」 医歯薬出版株式会社がお勧めです。