非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD):どんな病気?原因は?治療は?
更新日:2020/11/11
- 消化器専門医、肝臓専門医の徳重 克年と申します。
- このページに来ていただいた方は、もしかすると「自分が非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)になってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とは、アルコールをほとんど飲まないにもかかわらず肝臓に脂肪がつく脂肪肝のことです。
- 肥満の方に多い傾向があります。
- 治療としては食事・運動療法による体重減量があります。
- 肝臓に炎症が起きていたり、肝硬変に進んでいると薬物療法をすることがあります。
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、どんな病気?
- 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とは、アルコールをほとんど飲まないにもかかわらず肝臓に脂肪がつく脂肪肝のことです。
- 多くは肥満をもとに、糖尿病、脂質異常症、高血圧を合併しています。
- 肥満とはBMIが25以上のことを言い、BMI=体重<Kg>÷身長<m>÷<m>で計算されます。
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)と思ったら、どんなときに病院への受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 検診で脂肪肝、肝機能障害を指摘され、下記の場合は医療機関への受診を検討ください。
医療機関の受診がおすすめな場合
- 高度肥満を指摘された場合
- 糖尿病を診断された場合
- 高齢(60歳以上)の方
- 肝機能検査で肝線維化を指摘された場合
受診前によくなるために自分でできることは?
- 肥満がある場合、食事・運動療法による体重減量が良くなるために良いとされます。
- 現状の体重の7%以上の減量が目標としてください。
- 食事は、基本カロリー制限が基本で、脂肪・果物・アルコールは控えてください。
- 運動はジョッキングなどの有酸素運動がいいとされます。
- 若い人の場合、ジムなどで行うレジスタンス運動もよいとされています。
どんな症状がでるの?
- 肝臓は沈黙の臓器と言われて特に症状はありません。
- 進行して肝硬変や肝不全になると下記のような症状が現れます。
進行すると現れる症状
- 全身のだるさ
- 掌が赤い
- 肌や白目が黄色くなる
- お腹が張った感じがする
- むくみ
お医者さんに行ったらどんな検査をするの
- 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を疑われると、下記のような検査をすることになります。
検査の種類
- 血液検査:肝機能検査、肝炎ウイルス検査などを行います。また、肝硬変が起こっているかなども調べます。
- 腹部超音波検査:肝硬度(肝臓の硬さの程度)測定を行います。
- 病理検査:肝臓の細胞を採ってきて肝臓の細胞にどんな変化が起こっているかを調べます。診断をつける時に行います。
どんな治療があるの?
- 治療は、基本的に食事・運動療法による体重減量を行います。
- 肝臓に炎症が起きていたり、肝硬変に進行している場合は薬物治療を行います。
- 薬物としては、ビタミンEや合併した生活習慣病の治療薬が投与されます。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?食事や生活で気をつけることは?治療の副作用は?
- お医者さんで薬を処方されても、食事・運動療法による体重減量が効果的ですので、食事・運動療法を継続してください。
予防のためにできることは?
- 食べ過ぎ、運動不足にならないようにして肥満にならないように努めてください。
NASH(非アルコール性脂肪肝炎)と通常の脂肪肝(NAFLD)は何が違うの?
- NAFLD は、病態がほとんど進行しないと考えられる非アルコール性脂肪肝(nonalcoholic fatty liver : NAFL)と、進行性で肝硬変に進行する可能性のある非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)に分類されます。
- NASHは、肝臓の針生検による病理検査<顕微鏡による肝臓の観察>で風船様変性と言われ丸く拡張した肝細胞を認めことが特徴です。従ってNASHは、脂肪肝の重症型と考えていただければよいと思います。