全般不安症/全般性不安障害:疑う状況は?原因は?診断や治療は?
更新日:2020/11/11
- 精神科専門医の音羽 健司と申します。
- このページを読んで頂いているということは、もしかすると「自分が全般不安症/全般性不安障害になってしまった?」と思って不安に感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 全般不安症とは、毎日の生活の中で、漠然とした不安や心配が次から次へと頭に浮かび続ける不安状態が続く病気です。
- 強すぎる不安や心配がコントロールできず、からだの症状やこころの症状が現れます。
- 治療にはお薬やカウンセリングなどがあります。
- 予防のためには日常生活を見直し、規則正しい生活を送ることが大切です。
全般不安症/全般性不安障害は、どんな病気?
- 全般不安症/全般性不安障害とは、毎日の生活の中で、漠然とした不安や心配が次から次へと頭に浮かび続ける不安状態が続く病気です。
- たえず将来のことが気がかりとなり、いらいらして集中できず、落ち着きがなく、くつろぐことができません。こうした症状が続くと、睡眠や毎日の生活にも障害をきたし、日常生活をこなすことが困難になります。
全般不安症/全般性不安障害と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 全般不安症と思ったら、以下のようなときに病院へ行ってください。
病院へ行くべき場合
- 6カ月以上続く場合
- 不安が自分でコントロールできない場合
- 日常生活に支障をきたしている場合:寝つきが悪い、落ち着かないなど
- 体の症状がある場合:頭痛、首周りの締めつけ感、めまい、口渇などの自律神経症状
- 自分や家族が何か病気になるのではとか事故にあうのではと不安が続く場合
- 心療内科や精神科にかかると良いです。
- また、まずは内科で相談してから、専門医を紹介してもらうことも一つの方法となります。
全般不安症/全般性不安障害になりやすいのはどんな人?原因は?
- 原因はまだ明らかになっていません。
- ただ、神経質な性格、遺伝、ストレス、からだの活動を支配する自律神経の障害などが原因と言われています。
どんな症状がでるの?
- 強すぎる不安や心配がコントロールできず、以下のようなからだの症状やこころの症状が現れます。
からだの症状
- 頭痛、頭が重い感じ、頭を圧迫される感じ、緊張する感じ、しびれる感じ
- そわそわする感じ
- めまいがするような感じ、頭がゆれる感じ
- 便秘や頻尿
こころの症状
- 些細なことで不安になる
- 常に緊張してリラックスできない
- 記憶力が悪くなる感じ
- 根気がなく疲れやすい
- イライラして怒りっぽくなる
- ささいなことが気になる
- 寝つきが悪く、途中で目が覚めやすい
どんな治療があるの?
- 治療としては、まずはお薬を使って気持ちを落ち着けます。
- 次に不安に対して精神療法を行うことが有効な場合が多いです。
お薬
- 抗不安薬:不安を和らげるお薬です。からだの緊張や眠れない状態を速やかに改善します。例としてはベンゾジアゼピンがあります。
- 抗うつ薬:うつ病などに使うお薬です。行き過ぎた不安や心配に対して、長く使っていきます。例としてはSSRIがあります。
精神療法
- 認知行動療法という、ある出来事に対する認知(どう受け止めたか、どのような見方をしているのか)を修正し、かたよった認知によって引き起こされる不快な感情や問題のある行動を減らす治療法です。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
- 治療後は、以下のことに注意してください。
治療を受けた後に気を付けること
- 自分の判断でお薬を飲むのをやめない
- お医者さんと相談しながら最後までしっかりと治療を続けることが大切です。
お薬の副作用
- 抗不安薬のベンゾジアゼピンは眠気やふらつきがあります。また、長期間飲むと依存傾向がでます。
- 抗うつ薬のSSRIなどは、飲み始めに吐き気、下痢などのお腹の症状がでる場合があります。
予防のためにできることは?
- 予防のためには、適度な運動、規則正しい生活をする、生活を改善して心とからだの状態を整えることが大切です。
- 周りの家族としては、患者ご本人の不安や心配に耳を傾け、ご本人がリラックスできる環境を整え、安定した生活リズムを送れるようにサポートしていただくことも回復につながります。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- お薬を飲むと、数日で緊張がほぐれるなどの効果が出ることがあります。ずっと続く不安に対しては、数か月で改善します。
- しかし、再発しないためには、半年~1年程度は治療を続けることが大事です。
- お薬の治療と一緒に、カウンセリングや日常生活で気をつけ、不安とうまく付き合い、コントロールできるようにしていってください。
もっと知りたい! 全般不安症/全般性不安障害
どんなことを不安に思うの?
- 不安の対象は幅広く、日常で起きる生活のすべてとなります。
- 具体的には、家庭、仕事、学校、近所づきあいをはじめ、自分や家族の健康のこと、地震などの天災など、自分に関係するものだけではありません。
- そのため、患者さん自身も「自分は心配性な性格」と思い、病気とはとらえにくい傾向があります。
どのくらいの割合の人がなる病気なの?
- 生涯にかかる割合は5%、つまり20人に1人とも言われています。