胃内視鏡検査:どんな検査なの?必要な時間は?痛みや苦痛はないの?
更新日:2020/11/11
- 消化器内科医の古出 智子と申します。
- このページに来ていただいた方は、上部消化管疾患(食道・胃・十二指腸の病気)の疑いまたはその心配があり、胃内視鏡検査=胃カメラがどのような検査なのかについて知りたいと考えられているかもしれません。
- 胃内視鏡検査について理解する上で役に立つ情報をまとめました。
- 胃内視鏡検査は胃カメラと一般の方には言われており、正式には上部消化管内視鏡検査と言います。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 胃内視鏡検査とは、口あるいは鼻からカメラのついた管を入れて、食道・胃・十二指腸の壁を観察する検査です。
- 口の中やのどの観察もします。
- 検査時間は10分前後です。
- さらにくわしく調べたい部分を、一部取ってくること(生検)もできます。
- 検査前にのどの麻酔をします。希望に応じて、眠るお薬を使うこともできます。
どんな検査?
- カメラのついた管を口あるいは鼻から入れて、食道・胃・十二指腸を観察します。
- 必要に応じて、さらにくわしく調べたい場所の一部をつまみ取ってくる検査(生検といいます)を行う場合があります。
検査時の注意事項
- 食事:検査前日の21時以降は食事ができません。
- 水分:検査前日は、寝る前まで水、お茶、スポーツドリンクなどを飲むことができます。当日は、コップ1-2杯程度の水であれば問題ありません。ジュースやコーヒー、牛乳などは飲まないようにしてください。
- お薬:血圧や心臓のお薬など必要なものは起床後に飲んでください。くわしくは検査する病院で確認してください。
- 服装:普段通りで大丈夫ですが、検査の時はネクタイやベルトなどをゆるめて、おなかを締めつけない状態にしていただきます。
- そのほか外れやすい入れ歯はその場で外していただきます。
どういう人がこの検査を受けるべき?
- 胃内視鏡検査は、食道・胃・十二指腸の病気が疑われる場合のほとんどすべてが適応となります。
胃内視鏡検査を受けてほしいとき
- 胸やけがする
- 胃のあたりが痛い
- 最近食べ物が飲みこみにくい
- 黒っぽい便が出る
- 食事が取れない
- 血液検査で貧血を指摘された
実際には、どんなことをするの?
- 検査当日の流れは以下の通りです。
- 胃の中を見やすくするために、胃をきれいにするお薬を飲みます。
- まずのどの麻酔をします。このときお薬を直接スプレーするか、のどの奥に数分ためた後に飲みこんでもらいます。
- 検査台の上に、左側を下にして横向きの体勢になります。
- 口からの場合は、マウスピースをくわえます。
- 口(鼻)から内視鏡を入れて、観察します。
- 眠るお薬を使用した場合、検査終了後はしばらく休みます。
検査にかかる時間は?痛みはある?
検査時間
- 10分前後です。
検査中の痛みや苦痛
- のどの麻酔に使うお薬は、苦く感じることが多いです。のどがしびれて腫れているような感覚になりますが、1時間ほどで消えます。
- 基本的に痛みを伴うことはありません。管がのどを通る時に、反射で吐きそうになったり咳きこんだりすることがありますが、通過すると落ち着いてくることが多いです。
- 検査中、胃の中をよく観察するために空気や二酸化炭素を入れて膨らませることがあります。おなかが張ってくる感じがあるかもしれません。
他にどのような検査法があるの?
- 胃バリウム検査:バリウムという白いドロッとしたものを120~150mlほど飲んで、胃の形を見やすくし、レントゲン写真をとる検査です。
- おなかのCT検査:苦痛がないという点において優れていますが、病気を早く見つける点では、内視鏡検査には劣ります。
理解しておきたい リスクと合併症
麻酔のお薬によるアレルギー
- 頻度は低いですが、麻酔のお薬に対して体が過剰に反応してしまうことがあります。発疹(あるいは皮膚の変化)があらわれたり、気持ち悪くなったりします。
- 強く反応すると、息苦しさがあったり血圧が低くなって命にかかわる危険な状態になったりすることもあります。
生検した場所からの出血
- 生検をした場合、つまみ取った部分から血が出ます。基本的には自然に止まりますので、検査終了前に血が止まっていることを十分に確認してから管を抜きます。
- 自然に止まらない場合は血を止める処置をしてから終了します。
食道・胃・十二指腸の壁にあながあく
- 内視鏡の管が通るときに消化管の壁を傷つけ、あなが開いてしまうことがあります。
その他
- 内視鏡がのどや食道の入り口を通るときに、時間がかかったり反射が強く何度も吐きそうになったりした場合に、検査後に少し痛みが残ることがあります。
- 鼻から内視鏡を入れて検査した場合は、鼻血が出ることがあります。
検査後の注意は?
- 検査が終わって1時間後から水分を飲んだり食事したりできます。
- 検査当日は、激しい運動や刺激のある食事、お酒を控えることをおすすめします。
- 眠るお薬を使った場合は、検査後に十分に安静にしてから帰ります。
- 眠るお薬を使った場合は、当日の自動車、バイク、自転車の運転は禁止です。
検査後にこんな症状があったら病院に伝えてください
- 黒い便:とくに生検をした場合に、黒い便が出たときは生検した場所からの出血が続いていることがあります。検査を受けた病院を再度受診してください。
- 皮膚の発疹:帰宅後に、体にじんましんのような赤い発疹(皮膚の変化)が出てきた場合は、検査を受けた病院に連絡し相談してください。息苦しさなどが一緒にある場合には、すぐに病院を受診してください。
- のどの奥の痛みがとれない:検査直後は痛みがあることもありますが、基本的には徐々におさまります。もし残り続けるようならば病院にご相談ください。
ガイドラインなど追加の情報を手に入れるには?
- より詳しい情報や最新のガイドラインなどについては以下のウェブサイトを参照してください。
- 日本消化器内視鏡学会 ホームページ
- https://www.jges.net/