扁平足:原因は？インソールやサポーターは効果があるの？治療法は？

更新日：2020/11/11

著者木村 青児 | 千葉大学大学院医学研究院 整形外科

監修大鳥 精司 | 千葉大学大学院医学研究院整形外科学 教授

  • 整形外科専門医の木村 青児と申します。
  • このページに来ていただいた方は、もしかすると「自分が扁平足になってしまった？」と思って不安を感じておられるかもしれません。
  • いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
まとめ
  • 扁平足とは、土踏まずがなくなり、足の裏が平らになることをいいます。
  • 足首の内側から足裏にかけて痛みや腫れがでることがあります。
  • 足の土踏まずを維持する靭帯や腱への負担を軽くする目的で、インソールや靴による装具療法、リハビリによる運動療法を行います。

扁平足とは？

  • 土踏まずがなくなり、足の裏が平らになることを扁平足といいます。
  • 立った状態で土踏まずがなくなるだけでなく、かかとが外側に傾いたり、つま先が外側に向く変形もいっしょにおこることが多いです。

扁平足と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの？

  • 下記のような場合は、病院に行ってください。

病院に受診してほしい場合

  • ３歳ごろになっても、土踏まずがつくられない
  • 日常生活や仕事やスポーツ活動で、足が痛い
  • 足首の内側から足裏にかけて痛い、腫れている
  • つま先立ちが難しく、うまく歩けない

受診前によくなるために自分でできることは？

  • 病院へ行く前に自分でできることは以下の通りです。

病院へ行く前に自分でできること

  • 歩きやすい靴に履き替える
  • 痛みや腫れの部分を冷やし、湿布や塗り薬を使う
  • 足の裏の筋肉を鍛える

扁平足になりやすいのはどんな人？原因は？

小児期扁平足の場合

  • 運動発達遅滞、Down症候群、骨形成不全症、Marfan症候群、Ehlers-Danlos症候群など筋緊張が低下する病気の子に起こることが多いです。

思春期扁平足の場合

  • 体重増加やスポーツ活動の活発化など、足の負担の増加に伴って起こります

成人期扁平足の場合

  • 中年の女性に多くみられます
  • 肥満や加齢による筋力低下や腱、靭帯が弱くなることによって起こります。
  • 土踏まずを支える筋肉（特に後脛骨筋腱）が正常に機能しなくなると、徐々に変形が進みます

どんな症状がでるの？

小児期扁平足の場合

  • 本人が症状を訴えることはほとんどありません。
  • 転びやすい、歩き方がおかしい、といったことを保護者が気付くことがあります。

思春期扁平足の場合

  • 足の内側の痛みが多いですが、足裏から足首の上まで痛みがでることがあります。

成人期扁平足の場合

  • 足首の内側から足の内側、足裏にかけて痛みや腫れがみられます。
  • 片脚でのつま先立ちが難しく、歩きづらくなります。
  • 変形が重度になると、足の外側や足首にも痛みがでます。

お医者さんに行ったらどんな検査をするの？

  • 検査は以下の通りです。

扁平足の検査

  • 立った状態での足の変形を観察
  • 腫れがあるか、押してどこか痛いかをみる
  • レントゲン検査
  • MRI検査

どんな治療があるの？

小児期扁平足の場合

  • 成長するにつれて正常な足として発育していくことが多く、積極的な治療が必要になることは少ないです。
  • 砂場や芝生の上を裸足で遊ばせること、足に合った靴を選ぶこと、が重要です。
  • 3歳を過ぎても土踏まずができない方はインソールなどの装具療法を勧めます。

思春期・成人期扁平足の場合

  • まず保存療法を行い、それでも症状が良くならない場合は手術を行います。
  • 保存療法は、足の土踏まずを維持する靭帯や腱への負担を軽くする目的で、インソールや靴による装具療法、リハビリによる運動療法を行います。
  • リハビリでは、足裏の筋肉を中心とした筋トレや足の関節の動かせる範囲を広げる訓練、足裏のマッサージを行います。
  • 扁平足の手術は、病因、変形の程度、性別、年齢、体重、職業や日常生活上の活動性を考えて行います。

お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは？治療の副作用は？

保存治療の場合

  • 作成したインソールなどの装具は、慣れるまでは違和感があったり、足の違う部分が痛くなることがあります。
  • 土踏まずの高さなど調整が必要な場合がありますので医師に相談してください。

手術治療の場合

  • 手術後は一定期間ギプス固定を行う場合が多く、手術した足の筋力や関節の動かせる範囲は狭くなりますので、十分にリハビリを行うことが大切です。

予防のためにできることは？

  • 扁平足の予防には、適正体重を保つこと、足裏全体の筋肉を鍛えることが大事です。

予防のためにできること

  • 足指グーチョキパー体操：左右それぞれの足指でじゃんけんをします。足指に力をいれて曲げるのがグー、親指だけ上に向けるのがチョキ、指を全部広げるのがパーです。
  • タオルギャザー：床に敷いたタオルの上に足を置き、自分の方にたぐり寄せるよう足指を動かします。
  • 床押し訓練：イスに座り、足の内側と外側をそれぞれ床に押し付け、5秒間キープします。

治るの？治るとしたらどのくらいで治るの？

  • 扁平足は、一度なってしまうと元に戻すのは難しいと言われています。
  • 変形を矯正する手術を行っても、元の土踏まずの機能を完全に戻すことは難しいです。
  • すでに扁平足の方は、なるべく症状を悪化させないこと、変形の進行を予防することが大事です。
  • 装具の使用や足の筋肉を鍛えることなどで、足の土踏まずを維持する靭帯や腱への負担を軽くすることが重要です。

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