結膜炎:原因は?対処法は?検査や治療は?
更新日:2020/11/11
- 眼科専門医の篠崎 和美と申します。
- 私が日々の診察の中で、気を付けてほしいことやよく質問を受けることについてまとめました。
目次
まとめ
- 結膜とは、黒目(角膜)の周囲の白目の表面と、まぶたの裏のうっすら赤い部分の表面を覆う粘膜です。
- 結膜に炎症が起きると結膜炎になります。
- 結膜炎もアレルギーや感染など様々な原因があり、人にうつすものや失明に至る結膜炎もあります。眼科を受診してください。
- はやり目は感染力が強いので、眼科医の指示に従い、学校やお仕事は休みましょう。
- 日ごろから、手洗いをまめにして、目を擦らないように注意しましょう。
結膜炎は、どんな病気?
- 結膜とは、黒目(角膜)の周囲の白目の表面と、まぶたの裏のうっすら赤い部分の表面を覆う粘膜です。
- 結膜に炎症が起きると結膜炎になります。
- 白目が充血して赤くなったり、目やにがでたり、涙っぽくなったり、まぶたが腫れたり、かゆみが出たり、異物感を感じることもあります。
結膜炎と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 充血が強く、目やにが多い場合は、学校やお仕事を休んででも早く眼科受診をしましょう。
- 「はやり目」といわれる感染力が強く人にうつりやすいものや、治療が遅れると黒目(角膜)に孔が開いてしまう結膜炎もあります。油断は禁物です。
- 流行性角結膜炎や咽頭結膜熱、急性出血性結膜炎は、うつりやすいので学校保健安全法によりお休みする必要があります。お仕事も休むことが望まれます。眼科で診断書をかいてもらい休み、治った確認を受けてから登校や出勤をします。
結膜炎になりやすいのはどんな人?原因は?
- 目を擦っていると、病原体を目に持ち込みやすいです。
- 家族など接触が多い方がはやり目にかかっている場合、うつりやすいので注意が必要です。
- 乳幼児など、風邪症状に伴い、結膜炎も起こしやすいです。
- アレルギー性結膜炎は、持っているアレルギーのアレルゲンに接する機会が多いと発症しやすくなります。例えばスギの花粉症があると、スギの花粉の飛散の多い時に季節性のアレルギー性結膜炎も起こしやすいです。
- 原因は様々です。細菌、ウイルス、クラミジアなどの病原体による感染性のものや、花粉やハウスダスト、薬剤によるアレルギーなどの非感染性の結膜炎があります。
どんな症状がでるの?
- 白目が充血して赤い
- 目やに
- 涙っぽく感じる
- かゆみ、違和感、ゴロゴロする、目が痛くて開けづらい
- 白目が水ぶくれみたいに腫れぼったくなる
- まぶたが腫れる
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 結膜や黒目(角膜)の状態、目やにの色調や性状の観察を行います。
ウイルス性結膜炎が疑われる場合
- インフルエンザ検査に似た迅速のアデノウイルス検査やまぶたに水疱があればウイルスの検査を行います。
細菌性結膜炎が疑われる場合
- 長引く場合は細菌培養を行います。また、繰り返す場合は、涙の排出路につまりがないか調べることもあります。
クラミジア結膜炎が疑われる場合
- まぶたの裏を擦って結膜の細胞を採取し、結膜の細胞に感染があるか調べます。
アレルギー性結膜炎が疑われる場合
- 目やにを採取し、アレルギーで増える好酸球の有無を調べます。涙を採取し、涙液中のIgEというアレルギーの時に増える物質を調べる検査もあります。
どんな治療があるの?
- 結膜炎の治療は基本的に目ぐすりで治療をします。眼帯はやめましょう。
ウイルス性結膜炎
- はやり目のウイルスへの抗ウイルス薬はなく、自身の免疫で治癒させます。細菌感染予防で目薬をつけることもあります。
- ヘルペスウイルスによる結膜炎では、抗ヘルペスウイルス薬で治療を行います。
細菌性結膜炎
- 抗菌薬を点眼します。
クラミジア結膜炎が疑われる場合
- クラミジアに効果のある抗菌薬を点眼するとともに、性感染症のひとつであり、感染源を調べて治す必要があります。
アレルギー性の結膜炎
- 抗アレルギー薬を点眼します。重症な場合は、免疫抑制薬やステロイド薬の点眼も併用することがあります。
- 薬剤性のアレルギーの場合は、使用している目薬を中止します。ステロイド薬の点眼を行います。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
- 指示された点眼回数、点眼の期間を守りましょう。
感染性結膜炎の場合
- 治療を1週間程度行ってもよくなる兆しがない場合は、眼科に再度受診しましょう。
アレルギー性結膜炎の治療の場合
- 治療を1か月程度行っても良くならない場合は、診断や原因をもう一度調べてもらいましょう。
予防のためにできることは?
- 日頃から、目を擦らない、涙や目やにはティッシュで拭く、タオルなど共用しないなど心がけましょう。
感染性結膜炎
- 普段以上に、セッケンと流水で手や指をよく洗い、特に点眼後や目を触ったあとは必ず洗い、ペーパータオルで拭きましょう。
- うつってから症状がでるまで数日かかります。2週間ぐらいは感染の拡大がないか注意が必要です。
- 学校、職場、プールなど許可が出てから行きましょう。
アレルギー性結膜炎
- 花粉症のような季節性アレルギーでは、シーズンの約2週間前より抗アレルギー薬の点眼をすると症状が軽くすみます。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
ウイルス性結膜炎
- はやり目は感染してから症状がでるまでに数日かかり、1週間から3週間で治ります。角膜炎を合併した場合、角膜炎の治癒は遅れることがあります。
- ヘルペスウイルス結膜炎では、適切な治療をすれば約1週間で治ります。
細菌性結膜炎
- 通常抗菌薬点眼により数日で治ります。
クラミジア結膜炎
- 感染源の治療も必要です。良くなっても8週間程度は点眼や眼軟膏を継続します。
アレルギー性結膜炎
- 季節性、通年性のアレルギー性結膜炎か、増殖性のものかにより治療期間は異なります。適切な治療を開始するとコントロールできます。