膀胱結石:原因は?痛みや血尿はあるの?治療は?手術が必要なの?
更新日:2020/11/11
- 泌尿器科専門医の濵本 周造、安井 孝周と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかするとおしっこについてのお悩みがあり、「膀胱結石」という病名を調べて不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 膀胱結石【ぼうこうけっせき】とは、膀胱(ぼうこう;おしっこを一時的に溜める場所)に結石(けっせき;おしっこの成分からできた石のようなもの)が存在する状態のことを言います。
- 排尿障害(おしっこがうまく出せない症状)、尿路感染(おしっこの通り道でばい菌により感染している状態)をお持ちの方に起こりやすい病気です。
- 膀胱結石には、腎臓(じんぞう;おしっこを作るところ)でできた結石が尿管を通り、膀胱まで運ばれるものと、最初から膀胱で作られるものがあります。
- 結石が自然におしっこと一緒に出てこない場合は、手術で取り除きます。
- 何度も繰り返しやすい病気なので、原因をつきとめ、原因を取り除くことが重要です。
膀胱結石は、どんな病気?
- 膀胱結石とは、膀胱内に結石が存在している状態をいいます。また、尿道(膀胱から出るおしっこの通り道)に結石が存在する尿道結石と併せて、下部尿路結石と呼びます。
- 下部尿路結石は、腎臓でできた結石が尿管を通り、膀胱まで運ばれるものと、最初から膀胱で作られるものがあります。
- 下部尿路結石は、ご高齢の方(男性:60歳代以上、女性:70歳代以上)に多い病気です。
- 下部尿路通過障害(下部尿路でおしっこが通りにくい状態)、尿路感染のある方、尿道カテーテルを入れられている方では、膀胱結石が起こりやすい状態です。
- 無症状のことも多いですが、血尿(けつにょう;おしっこに血が混じる)、排尿痛(はいにょうつう;おしっこを出すときに痛みが生じる)、下腹部違和感、排尿困難(はいにょうこんなん;おしっこを出そうとしてもうまく出せない状態)、尿線途絶(にょうせんとぜつ;おしっこが途切れ途切れに出る状態)などの症状が出ることもあります。
- 結石が膀胱の出口や尿道の壁とくっついてしまうと、おしっこの通り道をふさぎ、おしっこが出なくなることもあります。
- 結石が自然におしっこと一緒に出てこない場合は、結石を取り出す手術をすることもあります。
どんな症状がでるの?
- 膀胱結石のある方は、症状がない場合もありますが、下記のような症状を示します。
膀胱結石の主な症状
- おしっこに血が混じる(血尿)
- おしっこをするときに痛い
- 下腹部に違和感がある
- おしっこが出にくくなる
- おしっこが途切れ途切れになる
- おしっこが出なくなる
膀胱結石と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 血尿やおしっこの出方に異常があるなど、膀胱結石を疑う症状がある場合、 膀胱結石と診断された場合は、泌尿器科専門医を受診したほうがよいです。
膀胱結石になりやすいのはどんな人?
- 下部尿路結石は男性で60歳代以上、女性で70歳代以上の方に多くみられます。
- 前立腺肥大症や神経因性膀胱など、下部尿路の通過障害や、尿路に感染があると、リスクとなります。
- 尿道カテーテルを留置されている方も尿路結石になりやすいといわれています。
コラム:下部尿路結石の疫学
- 下部尿路結石の年間罹患率:人口10万人あたり男性20.1、女性4.4(2015年全国疫学調査)と、上部尿路結石(腎結石・尿管結石)の10分の1程度です。
- 結石の成分:カルシウム結石、感染結石、尿酸結石の割合は、男性で62.0%、14.3%、12.9%、女性で27.1%、61.4%、4.3%。男女とも、感染結石が、男性では尿酸結石の割合が上部尿路結石と比較して高くなっています。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 膀胱内に結石があるかどうか、超音波検査、レントゲン検査、CT検査などの画像検査で確認します。
- 患者様ご自身におしっこを取ってもらい、おしっこの中にばい菌がいないかどうか確認させていただきます。
- さらに詳しい検査が必要となった場合は、尿培養検査やおしっこの通り道から機械を入れて尿道や膀胱の中を見る検査を行うこともあります。
- 結石がおしっこと一緒に出てきた場合は、結石ができた原因を調べるために結石の成分を調べる検査を行います。
どんな治療があるの?
- おしっこの通り道から内視鏡を入れて、結石を砕き取り除く膀胱砕石術【ぼうこうさいせきじゅつ】という手術が一般的です。
- しかし、結石が大きく膀胱砕石術で治療できない場合は、お腹を開いて結石を取り除く場合もあります。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
- 膀胱結石を繰り返さないためにも、膀胱結石になる原因である病気を見つけ出し、予防していくことが大切です。
予防のためにできることは?
- 結石の成分により、結石のできる原因が異なるので、それぞれの原因ごとに予防法は異なります。
- どんな結石であっても、水をたくさん飲むことで膀胱結石を予防できます。
結石の成分と原因
- カルシウム結石:食事療法や内服薬
- 尿酸結石:食事療法や内服薬
- 感染による結石:抗菌剤
- 尿道カテーテルによる結石:尿道カテーテルを継続的にいれなくてもよい場合は、間欠自己導尿に変えます。継続的に入れ続けなければならない場合は、膀胱結石が新たにできていないかどうか確認していく必要があります。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 自然におしっこと一緒に結石が出てくる場合もありますが、多くの場合は手術による治療が必要です。
追加の情報を手に入れるには?
- 尿路結石症診療ガイドラインがMinds(公益財団法人日本医療機能評価機構)のHPでみることができます。
- https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0022/G0000634/0022