授乳と薬:授乳中の薬の子どもへの影響は? どんな薬が使えるの?
更新日:2020/11/11
- 産婦人科専門医の濱田洋実と申します。
- 授乳中の薬について、その赤ちゃんへの影響や、注意すべき点についてまとめました。
目次
まとめ
- ほとんどの薬は授乳中に使用しても、赤ちゃんへの大きな影響はありません。ですから、お薬を飲みながらでも、授乳を続けることはできるとお考えください。
- 病院やクリニックで処方を受けるときは、まず、授乳中であることを医師に伝えてください。
- 薬局やドラッグストアで販売されている薬も、そのほとんどが授乳中に使用しても赤ちゃんに影響はありませんが、注意が必要なものもごくわずかにあります。必ず医師や薬剤師に相談してから使用してください。
授乳中に使う薬の赤ちゃんへの影響は?
- 授乳中に使用した薬のほとんどすべては、その成分が母乳の中に出てきます。
- ですが、授乳中に使用した薬の成分が母乳を通して赤ちゃんへ移っていく量は、妊娠中に使用した薬の成分がおなかの中の赤ちゃんへ移っていく量の10%以下、あるいは1%にも満たないほどわずかなものです。
- ですから、授乳中に使うほとんどの薬は、赤ちゃんに大きな影響はありません。お薬と授乳は両立できるとお考えください。
では、どんな薬でも大丈夫ってこと?
- いえいえ、ごくわずかですが例外はありますので、それらの薬では注意が必要です。
使用するなら授乳をやめたり、授乳する場合は慎重に行う必要がある薬にはどんな薬があるの?
- 注意が必要な薬としては、次のようなものがあります。
授乳中に注意すべきお薬
- 授乳中止:抗がん剤、放射性ヨウ素、アミオダロン(抗不整脈薬)
- 慎重に授乳:抗てんかん薬の一部、炭酸リチウム、抗うつ薬や抗不安薬の一部、オピオイド、無機ヨウ素
- 授乳中に上記の「慎重に授乳」の薬を使用する場合は、赤ちゃんの飲み具合、眠り方、機嫌、体重増加などに気をつけるようにしてください。
- そのほか、赤ちゃんへの直接の影響ではありませんが、お乳の出が悪くなるような薬がありますので、医師や薬剤師に相談してください。
自分の使う薬がそのような薬にあてはまるのかどうか、どうやったらわかるの?
- ご自分で判断するのはむずかしいですので、病院やクリニックで処方を受けるときは、まずご自身が授乳中であることを伝えて医師の判断をお聞きください。
- すでに妊娠されていて、いつも使っている薬がある方は、出産前から医師に相談しておくようにしてください。
- 母乳栄養には数多くの利点がありますので、出産直後から授乳期間を通して赤ちゃんがその利点を十分得られるように、たとえ薬を使用していても授乳ができる場合がほとんどであるということを知っておいてください。
薬局やドラッグストアで販売されている薬はどうなの?
- 一般の市販薬も、そのほとんどは授乳中に使用しても赤ちゃんに影響はありません。
- 一部のせき止めなど注意が必要なものもごくわずかにあるので、必ず医師や薬剤師に相談してから使用してください。
授乳した直後に薬を使用するようにすると良い、って聞いたけど?
- 「授乳した直後にお薬を飲むようにすれば、赤ちゃんに移っていく薬の成分の量が減らせる」という考え方ですが、この方法が本当に有効かはわかっていません。
- 赤ちゃんが母乳を欲しがるタイミングと薬を飲むタイミングがうまく合うとも限らないので、「授乳直後に薬を飲む」ことにこだわりすぎないようにしてください。
追加の情報を手に入れるには?
- 厚生労働省が設置した「妊娠と薬情報センター」の『ママのためのお薬情報』というページに、授乳と薬について、最新の医学的情報に基づいた解説が掲載されています。
- http://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/