腟がん:どんな病気?検査や治療は?完治できるの?
更新日:2020/11/11
- 産婦人科専門医の水口 剛雄と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分が腟がんになってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 腟がんとは、腟にできるがんです。
- がんの中ではまれなものですが、ご高齢の方や、ヒトパピローマウイルスがいる方にできやすいと言われています。
腟がんは、どんな病気?
- 腟がんとは、腟にできるがんです。
- ご高齢の方にできやすく、腟がんの50~80%がヒトパピローマウイルスというウイルスの感染が原因となっています。
- 喫煙、免疫抑制状態、過去の骨盤への放射線治療が関係するとされています。
- 婦人科のがんの中では珍しいがんです。
コラム:腟がんの詳細について
- 腟がんの前がん状態である、腟上皮内腫瘍から段階を経て進行し発生します。腟の上方が最も発生しやすい部位ですが、子宮頸部や外陰にまでがんが及ぶ場合には、それぞれ子宮頸がん、外陰がんに分類されます。
- 腟がんは子宮頸部や外陰部の上皮内腫瘍の既往とも関連します。
腟がんになりやすいのはどんな人?原因は?
- 腟がんになりやすいのは下記のような方です。
腟がんになりやすい方
- 高齢の方
- ヒトパピローマウイルスが腟にいる場合
- 子宮頸部や外陰部の前がん状態になったことがある場合
どんな症状がでるの?
- 腟がんでは下記のような症状が出ます。
腟がんの症状
- 不正性器出血(特に性交後)
- おりものに血が混じる
- おしっこをする時に痛みが出たり、出にくい、何度もトイレに行く
- 腟の後ろ側にできた場合は渋り腹をきたすこともあります。
- 病気が進行すると、骨盤に痛みが出ます。
- 約5~10%の方は無症状で、検診などで発見されることもあります。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 腟を広げる器具を使って、腟の中を観察します。
- 内診で、できものがないか触って調べます。
- できものがあれば採って調べます。
- レントゲン、CT、MRI、内視鏡検査(カメラが先端についている管を入れて病気の有無を観察する検査)などで、がんがどこまで広がっているか確認します。
どんな治療があるの?
- 前がん状態である場合は、治療をしないで様子を見ることもあります。治療をする場合は、手術で取るか、レーザーを当てる方法があります。
- 腟がんの多くの場合は、放射線を使って治療をします。体の外側から当てる方法と、放射線を発する物質を腟の中に入れて体の内側から当てる方法を組み合わせて治療をします。
- がんが広がっている場合には、抗がん剤を一緒に使うこともあります。
- がんの部位や範囲によっては手術も選択されます。
- 腟は部位によりリンパの流れ方が異なるため、がんの発生部位によって手術で切除するリンパ節の場所が異なります。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
放射線治療の場合
- 腟のむくみ、赤みが出ます。その後、腟が縮んで狭くなったりします。こうした腟の変化により、性交が難しくなることがあります。
- 治療後しばらくしてからは、腸や膀胱が炎症を起こし、熱やおなかの痛み、便や尿に血が混じるなどの症状が出ることがあります。
- まれですが、腟とまわりの臓器の間に穴ができてしまうことがあります。