アレルギー性鼻炎と花粉症:どんな病気?検査や治療は?どれぐらいで治るの?
更新日:2020/11/11
- 耳鼻咽喉科専門医の山田 武千代と申します。
- このページに来ていただいた方は、もしかすると「この症状は花粉症?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- アレルギー性鼻炎とは、アレルギーの抗体(IgE)を持ち、ダニやスギ花粉などの抗原を吸って、繰り返すくしゃみ、透明な鼻水、鼻閉が出る病気です。
- ダニやハウスダストなどの通年性アレルギー性鼻炎と、花粉抗原による季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)に分類されます。
- 採血や皮膚テストなどのアレルギー検査と症状で診断します。
- 治療は、飲み薬が一般的ですが、鼻の中に入れる鼻噴霧液、舌下免疫療法も有効です。
アレルギー性鼻炎とは、どんな病気?
- アレルギー性鼻炎とは、アレルギーの「抗体(IgE)」を持ち、ダニやスギ花粉などの「抗原」を吸って体の中に入ると起こる、アレルギーの病気です。
- ダニやハウスダストなどによって1年中起こる「通年性アレルギー性鼻炎」と、花粉などによって季節ごとに起こる「季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)」に分類されます。
どんな症状がでるの?
- アレルギー性鼻炎の症状は、以下のようなものがあります。
症状
- 繰り返すくしゃみ
- 透明な鼻水
- 鼻づまり
- 以上のような症状が、通年性アレルギー性鼻炎は1年を通してでますが、花粉症の場合は時期が限られています。
どんな検査をするの?
- 病院では、採血検査や皮膚テストなどのアレルギーに関する検査と、症状を聞いて、診断します。
どんな治療があるの?
- 治療は、飲み薬、鼻噴霧液(鼻の中に入れるスプレーのお薬)、舌下免疫療法、手術、注射があります。
- 飲み薬は、最も一般的な治療です。お薬は、アレルギーの細胞である肥満細胞から放出されるヒスタミンやロイコトリエンという分子の作用などを抑えます。くしゃみ、鼻水に困っている人は抗ヒスタミン薬、鼻づまりに困っている人は抗ロイコトリエン薬を飲みます。
- くしゃみ、鼻水、鼻づまりがある人は、鼻噴霧液のステロイド薬が効きます。鼻の刺激が強い人は、お風呂上がりに鼻噴霧を毎日行います。
- また、治療中でも抗原を避けることは重要です。
舌下免疫療法ってどんな治療?
- 舌下免疫療法とは、スギやダニの抗原が含まれたカプセルを舌の下に1~2分置き、治療を行います。
- 舌下免疫療法は、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、鼻噴霧用ステロイド薬などの一般的なお薬で症状が良くならない場合に勧められます。現在は、スギ花粉やダニによるアレルギー性鼻炎の方は保険適応です。
- 一般的なお薬の治療以外の効果が期待され、今後多くの患者さまが恩恵を受けられると思われます。
アレルギー性鼻炎手術療法のお勧めは?
- アレルギー性鼻炎手術のおすすめは、粘膜を残して土台となる小さい骨を取り出し、鼻水を減らすため神経を処理する方法です。レーザーを当てる方法、粘膜を切る方法もありますが、小さい骨と神経を処理する方法が最も成績が良い方法です。レーザーをあてる方法は、毎年受ける必要があります。
- アレルギー性鼻炎手術療法は、鼻づまりがあり、お薬の治療の効果がみられない場合、鼻の中をみて医師が判断して行います。お薬を飲みたくない患者さんも行えます。
注射の治療とは
- アレルギー反応の元であるIgEに対する抗体医療です。
- 鼻噴霧ステロイド薬と飲み薬を併用しても効果が不十分で症状の重いスギ花粉症で抗IgE抗体を投与します。
何歳からなるの?
- 一般的に、通年性アレルギー性鼻炎は1歳前後、花粉症は2歳前後からなるといわれています。
- しかし、小さい時期に食べ物のアレルギーやアトピー性皮膚炎がある場合、アレルギー性鼻炎も起こしている場合があります。症状が出ていなくても小さい時期にアレルギー性鼻炎を起こすリスクが高くなります。
放置するとどうなるの?
- 小児のアレルギー性鼻炎を放置すると、気管支喘息になる場合があります。抗ヒスタミン薬や舌下免疫療法などの治療を長い期間行うと、気管支喘息になることを予防することが出来ます。また、アレルギー性鼻炎手術療法を行うと、下気道(気管支)の状態が良くなります。
自然に症状は良くなるの?
- 一方で、アレルギー性鼻炎は、学童期で症状がなくなるか良くなるのは1~2割と、最も治りにくいアレルギーの病気です。
コラム:他のアレルギーの病気は、自然に症状は良くなるの?
- 食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息では、学童期に約半分が症状がなくなるか良くなります。
お年寄りでもなるの?
- スギ花粉症はお年寄りでもなります。70歳以上で2割が、60歳代で3.5割が花粉症にかかっています。
食べ物のアレルギーと関係あるの?
- シラカンバ花粉症は、食べ物のアレルギーと関係があります。これを「花粉-食物アレルギー症候群」や「口腔アレルギー症候群」といい、花粉症と食べ物の抗原に共通の部分があるので起こります。
- シラカンバ花粉症の患者さんは、リンゴ、サクランボなどを食べた時に、アレルギーの症状を起こすことがあります。食べた直後~1時間以内に、唇・のどが過敏になったり腫れたり、息苦しさを感じることもあります。