中耳炎(急性中耳炎):どんな病気?どんな症状?検査や治療は?治るの?
更新日:2022/05/20
- 耳鼻咽喉科専門医の伊藤 真人と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると自分やお子様が「中耳炎になってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
急性中耳炎とは?どんな病気?
- 急性中耳炎は、ウイルスや細菌感染が原因で起こる耳の痛みや発熱がでる中耳炎です。
- これらの症状は1日~数日以内に消失しますが、完全に治るまでには3~4週間かかります。
- 初期の痛みや発熱は市販薬などの鎮痛解熱薬で症状を和らげることができます。
急性中耳炎と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 急な耳の痛みや発熱など、急性中耳炎を疑ったとき、下記のような場合は、医療機関の受診を検討してください。
かかりつけ医への受診がおすすめな場合
- 乳幼児で、明らかに普段と違う状態であり、親であるあなたが受診を必要と考えた場合
- 乳幼児で、特に両耳の症状がある場合(症状を訴えられない小さいお子様は耳をいつもより触っていたりする行動を見て、耳に症状があることを判断します)
- 痛みや発熱などの症状が半日間経っても改善しない場合
- 強い耳痛、高熱、耳漏(耳から膿が漏れ出てくる)がある場合
- 免疫を弱くする病気(免疫不全症)や薬(免疫抑制剤)を飲んでいる場合
救急車を呼ぶ場合
- 強い頭痛、けいれん、意識がもうろうとしている場合
早く良くなるために自分でできることはないの?
- 耳が痛かったり、熱でつらいときはドラッグストアで販売されているアセトアミノフェン(カロナール)などの薬剤をご使用ください。
- 体を暖かくし、よく睡眠を取ってください。
- 水分をこまめにとり、脱水にならないよう注意してください。
急性中耳炎になりやすいのはどんな人?原因は?
- 小さなお子さんがかかることが多いですが、大人の方でもかかります。
- 保育園などの集団生活の環境では、ウイルスによるかぜが流行しやすく、急性中耳炎の原因となります。
どんな症状がでるの?
- 急性中耳炎にかかった場合、下記のような症状を示します。
急性中耳炎の症状
- 急な発熱
- 耳の痛み
- 耳漏
- 不機嫌、元気がない、よく泣く(子供)
- めまい、耳が聞こえにくい(成人で起きやすい)
髄膜炎などの合併症がある時
- 頭痛
- 高熱
- 意識がもうろうとする
- けいれんを起こす
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 鼓膜を見て、急性中耳炎か確認します。
- 耳漏があった場合や、鼓膜を切り開き膿を出した場合は、膿の細菌検査を行います。
どんな治療があるの?
- 軽症の場合、アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬で症状を抑えます。
- 中等症以上の場合、2歳未満の場合、左右とも急性中耳炎である場合は、アモキシシリンなどの抗菌薬を使用します。
- 重症の場合や治りにくい場合、合併症がある場合は点滴治療や手術を行うことがあります。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?
- 耳の痛みがなくなっても、治ったわけではありません。お医者さん出された抗菌薬はきちんと最後まで飲む必要があります。
- 経過がよければ3週間程度で完全に治りますが、しばしば鼓膜の奥に液体が残る滲出性中耳炎になってしまうことがあります。この場合、聞こえにくい症状に注意が必要です。
- 急性中耳炎は繰り返すことがあるので、再び症状が出たら前医にご相談ください。
予防のためにできることは?
- 手洗いを徹底する、集団保育や人込みを避けるなどの感染予防が急性中耳炎の予防につながります。
- 繰り返す急性中耳炎を予防するためには、肺炎球菌ワクチンも効果があります。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 通常は1日〜数日以内で症状は改善します。ただ、完治するには3週間程度かかりますし、別の中耳炎に移行する場合もあります。
- さらに、頻度はまれですが重症化や難治化、合併症が起きることがありますので、完全に治ったかどうかを1か月目ぐらいに診てもらうことをお勧めします。
追加の情報を手に入れるには?
- 日本耳科学会からガイドラインが出ています。急性中耳炎に関して詳しくお知りになりたいときには下記のページを見るとよいでしょう。
- 日本耳科学会のホームページ
- https://www.otology.gr.jp/about/guideline.html