歯列矯正:方法や治療期間は?検査の費用は?どれくらいきれいになるの?
更新日:2020/11/11
- 歯科医師の上木 耕一郎と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分が不正咬合になってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 不正咬合とは、骨格や歯の生え方などにより、上の歯と下の歯が正常にかみ合わない状態のことをいいます。
- 不正咬合だと診断された場合には、器具を使って、歯並びを良くするための矯正治療を行います。
- かみ合わせが悪い場合には手術が必要になることもあります。
不正咬合とは、どんな病気?
- 不正咬合とは、上の歯と下の歯が正常にかみ合わない状態のことです。
- 八重歯や受け口などと表現されることもあり、いろいろな分類がなされています。
不正咬合だと思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 不正咬合は、見た目である程度気づくことができます。小さいお子さんのかみ合わせが良くないとご家族の方が気付かれれば、歯科医院を受診することをおすすめします。
- 成人の方でも、咬みにくい、発音しにくい、口や歯の見た目が気になるなどの問題があれば、歯科医院を受診することをおすすめします。
- 歯列矯正治療が必要であれば、矯正歯科専門医院を紹介していただけると思います。重度の不正咬合であれば歯科口腔外科も紹介していただけると思います。
不正咬合になりやすいのはどんな人?原因は?
- 指しゃぶりをする癖がある方、舌で歯をいじる癖がある方、口呼吸をする癖がある方は不正咬合になりやすいといわれています。
- 不正咬合の原因には、上記のような癖のほか、生まれつきかみ合わせが悪いものと、生活していく中でかみ合わせが悪くなってくるものがあります。
- 生活していく中でかみ合わせが悪くなってくる原因としては、成長に伴い顎がアンバランスに発達すること、成長期に口の片側だけでご飯を噛むこと、顎の関節が障害されることなどがあります。
どんな症状がでるの?
- 不正咬合があると、下記のような症状で困ることがあります。
不正咬合が原因で起きる症状の例
- 食べ物をよく噛み砕けない。飲み込みにくい。
- 正しい発音ができない。
- 歯磨きがうまくできず、虫歯や歯周病になりやすくなる。
- 顎の関節や咬み合わせに関わる筋肉の痛みがでる。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 口の中が清潔な状態か調べる検査のほか、歯並びの型をとる、口の中の写真を撮る、などを行い、口と歯の状態を確認します。
- 顎の形やバランスが悪くないか、歯が傾いているかどうかなどを確認するため、頭のレントゲン撮影を行うことがあります。
- 顎の変形や顎の関節の障害が予想されれば、CT検査やMRI検査などでより詳細に検査を行います。
どんな治療があるの?
- 歯を動かすための装具(ブラケットと言います)をつけていただき、時間をかけて正しい位置に歯を移動していきます。顎と歯の大きさによっては歯を抜くこともあります。
- 顎が変形している場合には、顎の骨を切り、正しい位置へ移動する手術が必要となることもあります。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
- 歯列矯正治療によってかみ合わせが良くなっても、生活していく中でかみ合わせが変わってくることがあります。
- 治療が終了し矯正装置がはずれても定期的に受診されることをおすすめします。場合によっては、再治療や、他の歯科治療を行うこともあります。
予防のためにできることは?
- 指しゃぶりや舌をいじらないようにすること、口呼吸ではなく鼻で呼吸すること、口の中の両側を使ってご飯を噛むようにすることなどを意識することが予防につながります。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 不正咬合は、適切な歯科矯正治療を受けていただければ治すことができます。
- 成人の方では、矯正装置を付けていただく期間は1年から3年ぐらいの方が多いですが、不正咬合の程度、年齢、治療方法によって様々です。
- 小さなお子さんの場合、一旦かみ合わせが治っても、成長していくにつれて再び不正咬合になることがあります。そのため、成長に応じて経過をみる必要があります。
もっと知りたい!不正咬合
不正咬合の分類
- 不正咬合には次のような分類があります。
叢生(そうせい)
- 歯並びが凸凹になっている状態です。八重歯も含みます。
反対咬合
- 下の歯が上の歯よりも前に出ている状態です。「受け口」と呼ばれます。
過蓋(かがい)咬合
- かみ合わせたときに上の前歯が下の前歯に覆いかぶさってしまい、下の前歯が見えない状態です。
切端(せったん)咬合
- かみ合わせたときに上の前歯と下の前歯の先端が当たって重ならない状態です。
開咬
- 奥歯はかみ合いますが、上下の前歯が咬み合わず口の中が開いた状態です。
上顎前突(じょうがくぜんとつ)
- 上の前歯が前方に突き出ている状態です。