インフルエンザ:風邪とのちがいは?受診のタイミングは?検査や治療は?
更新日:2020/11/11
- 感染症専門医の川名 明彦と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分がインフルエンザになってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- インフルエンザとは、インフルエンザウイルスA型もしくはB型による感染症で、普通のかぜより症状が重くなります。
- 症状がつらい方、症状がひどくなったり他の病気になるリスクが高い方は、かかりつけのお医者さんを受診してください。結果がすぐにわかる診断の方法やお薬があります。
- インフルエンザを予防するには、ワクチンを打つことと、うつらないように対策することが重要です。
インフルエンザは、どんな病気?
- インフルエンザとは、毎年冬に流行する、インフルエンザウイルスが原因の感染症です。
- インフルエンザウイルスにはさまざまな型があります。人にインフルエンザを起こすのは、主にA型とB型です。
- インフルエンザはかぜと似ていますが、かぜよりも症状が強く、高い熱、全身の強いだるさ、関節の痛み、筋肉の痛みなどの症状が出ます。喉の痛みや咳など、かぜと似た症状もあります。
- 健康な人の場合、インフルエンザにかかっても、5日~1週間くらいで自然に治ります。
- 簡単に診断する方法や治療薬がありますので、症状が辛い場合はお医者さんにかかってください。
- 人から人にうつる力がとても強いので、インフルエンザがはやっているときはマスクをつけたり、手洗いをしっかりしたり、人混みを避けるなどの対策をしてください。
どんな症状がでるの?
- インフルエンザにかかった場合、以下のような症状がでます。
インフルエンザの症状
- 高熱が突然出る
- 全身の筋肉や関節が痛くなる
- 全身がだるい
- 頭が痛い
- 喉が痛い、咳が出る
- 食欲が落ちる
インフルエンザと思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?
- 症状がつらい方や、以下にあてはまる症状がひどくなったり他の病気になったりするリスクが高い方は、かかりつけのお医者さんにかかってください。
かかりつけ医の受診をおすすめする場合
- 乳幼児で、明らかにいつもと違う状態であり、親であるあなたが、病院に行ったほうが良いと考えた場合
- ぐったりして食事やお水が十分にとれない場合
- 65歳以上のご高齢の方の場合
- 糖尿病【とうにょうびょう】、心臓や肺、腎臓や神経などに病気をもっている場合
- 免疫が弱くなってしまう病気(HIV感染症など)がある場合
- 妊娠している場合
以下の場合は救急車を呼んでください
- 意識がぼんやりしている、けいれんしている場合
- どんどん息苦しくなっている場合
受診前によくなるために自分でできることは?
- インフルエンザかなと思った場合は、仕事や学校を休み、ご自宅でよく休んでください。
- 水分をこまめに取り、脱水にならないようにしてください。
インフルエンザになりやすいのはどんな人?
- インフルエンザが流行する冬の季節には、誰でもインフルエンザにかかります。とくに、子供が一番かかりやすいです。
- また、人と接する機会が多い方はかかりやすいです。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- お医者さんがインフルエンザを疑って、検査が必要だと感じたときは、インフルエンザを素早く簡単に診断する検査を行うことがあります。
- 鼻や喉から綿棒を入れてこすりとります。だいたい15分くらいで結果がわかります。
- ただし、この検査は100%正しいわけではありません。お医者さんは症状などもあわせてインフルエンザかどうか判断します。
どんなお薬があるの?
- インフルエンザウイルスに効き目のあるお薬(抗インフルエンザ薬)や、つらい症状をやわらげるお薬などがあります。
抗インフルエンザ薬
- インフルエンザと診断された場合、お医者さんが判断して、タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタ、ゾフルーザなどの抗インフルエンザ薬が出されることがあります。
- 飲み薬、吸入薬、点滴で入れる薬などがあります。
- お薬によって使用する日数が1日~5日と様々ですので、お医者さんの指示に従ってください。
- なお、慢性閉塞性肺疾患【まんせいへいそくせいはいしっかん】や喘息をお持ちの方が吸入タイプの抗インフルエンザ薬を使ったとき、その刺激で息が苦しくなった例があります。呼吸に関する病気がある方は、吸入薬以外のものにしたほうがよいことがあるので、前もってお医者さんに伝えてください。
解熱鎮痛薬【げねつちんつうやく】
- 関節や筋肉の痛みが強いとき、熱が高いときなどは、お医者さんの判断で熱や痛みをとるお薬が出されることがあります。
- ただし、解熱鎮痛薬を使用しないほうが良い場合もあるので、お医者さんの指示に従ってください。
抗生物質
- 抗菌薬ともいいます。インフルエンザと同時に、ばい菌が原因の肺炎や中耳炎【ちゅうじえん】などの病気にもかかっている場合、お医者さんの判断で使用されることがあります。
- インフルエンザウイルス自体に対する効き目はありません。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
- 抗インフルエンザ薬を使っている方も使っていない方も、インフルエンザの患者さんが急に走り出したり、高いところから落ちたりするなど、おかしな行動を起こしたという報告があります。
- 特に18歳以下の方に多いので、周囲の大人の方は患者さんを1人にしないなどの対策をとることをおすすめします。
- また、抗インフルエンザ薬を飲んでも症状がよくならない、熱が長引く、息切れがする、咳や痰が増えてきたなどの症状がある場合は、もう一度病院にご相談ください。
うつるの?自分の予防のためにできることは?
- インフルエンザはとても人にうつりやすい病気です。
- 咳やくしゃみをしたときに飛び散る「しぶき」の中にウイルスがいて、これを吸い込むことでインフルエンザがうつります。
インフルエンザをうつさないために
- ご自身がインフルエンザにかかってしまった場合、特に症状が出てから5日間はうつりやすいです。人の多い場所には行かないようにし、ご自宅でよく休んでください。
- 咳が出る時や、インフルエンザかもしれないと思った時は、鼻、口をしっかり覆うようにマスクを付けてください。
- 鼻をかんだ後や、外から帰ってきた時などは、こまめに手を洗ってください。
- 使ったティッシュなどはきちんとゴミ箱に捨ててください。
インフルエンザにかからないために
- インフルエンザを予防するためには、インフルエンザがはやる時期よりも前にワクチンを打つことがおすすめです。
- インフルエンザワクチンには、A型2種類、B型2種類のあわせて4種類のワクチンが含まれています。
どのくらいで治るの?
- インフルエンザは通常、5日足らずで良くなります。
- ただ、インフルエンザと同時に肺炎やインフルエンザ脳症にかかることがあり、その場合は入院して治療することが必要になる場合があります。
追加の情報を手に入れるには?
- インフルエンザに関しては、厚生労働省のサイトが参考になります。
- https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/index.html
もっと知りたい! インフルエンザ
かぜとインフルエンザの違い
- インフルエンザのほうが、かぜよりもよりはやく症状が始まります。
- インフルエンザはいろいろな症状が出ます。一方、かぜは鼻水や喉の痛みのみで治ることもあります。
- インフルエンザはふつう症状が強くて、仕事などを休まなくてはいけないことが多いです。一方、かぜをひいていてもそのまま働き続けることができたりします。