松葉杖の使い方と注意点:松葉杖の長さは?階段はどうするの?
更新日:2020/11/11
- リハビリテーション科の赤坂 朋代と申します。
- 松葉杖を初めて使う際には様々な注意点があります。
- 私が日々の診察の中で、「気を付けてほしいこと」、「知ってほしいこと」などについて記載をさせていただきます。
- 両足の麻痺(対麻痺)の方や下肢切断後の方など、様々な状態の方が松葉杖を使用します。今回は、骨折などで片側の足だけ体重をかけられない状態で、体重を両手にかけることができる場合の松葉杖の使い方について説明します。
まとめ
- 自分の体にあった松葉杖の長さを調整します。松葉杖の長さと手でつかむ部分の位置を確認し、その後、松葉杖の長さが実際に合っているかを確認します。
- 松葉杖を用いた歩き方を練習しましょう。
- 階段や段差は危険ですので極力さけて、エレベーターなどを利用してください。
松葉杖の使用について
- けがなどをして病院を受診した際に医師からの指示で松葉杖を使うことが多いと思います。
- その場合には、病院から借りたり、貸し出しを行っていない場合には購入したりすることがあります。
- 初めて使用するときは、可能であれば理学療法士などと練習することをお勧めします。
松葉杖の長さが合っているかを確認しましょう
- 長さを調整した後、両手に松葉杖を持ち、肩幅ぐらいに足を軽く広げます。
- 次に、両方の松葉杖の杖先を足先の斜め前に置きます(足先から前へ約15cm、外側へ約15cmの場所)。
- その状態で、脇と松葉杖の一番上の部分(横木)の間に指2〜3本分空いていて、肘も少し曲がっているか確認します。
平らな場所での松葉杖歩行
- 松葉杖を使用した歩行の仕方について説明します。
- 色々な方法がありますが、ここでは完全に足を浮かせる場合で、2本の松葉杖を使用する方法(両松葉杖歩行)をお話します。
両松葉杖歩行について
- まず両方の松葉杖を前に出します。直線的に出すと杖先が床に引っかかることがあるので、少し弧を描くように振り出します。
- 次に両方の松葉杖を床に着きます。
- そしてけがをしていない足を前に出して床に着きます。
- 高く飛び上がったり、遠くに着地するとバランスを崩しやすいので注意が必要です。
- また、松葉杖にもたれて脇を圧迫すると、神経を圧迫してしびれや力の入りにくさが出ることがあります。松葉杖の一番上の部分と脇の間を空け、脇を締めて両手に体重を乗せるようにして移動してください。
階段での松葉杖歩行
- 階段の昇り降りは危険ですので、避けられるのであればエレベーターなどを利用した方が安全です。
- 階段の昇り降りも色々な方法がありますが、ここでは手すりがない階段で前向きに昇り降りする方法について説明します。
- 初めは自分よりも下の段に、自分のことを支えてくれる介助者がいる状態で練習してください。
階段の昇り方
- けがしていない足→松葉杖の順に動かします。
- まず両側の松葉杖を自分のいる段に着きます。
- 次に松葉杖に体重をかけ、けがをしていない足を一段上に上げて着地します。
- そしてけがしていない足に力を入れて体重を支え、一段上げた足の段に、両方の松葉杖を着きます。
- バランスを崩した際に後ろに落ちないよう、なるべく体重は前にかけるようにします。
階段の降り方
- 松葉杖→けがしていない足の順に動かします。
- まず一段下に両方の松葉杖を着きます。
- つぎに両手に力を入れて両側の松葉杖に体重をかけて、けがをしている足を少し前に出し、けがをしていない足を一段下に着きます。
- 前に転んで落ちてしまうと大変危険ですので、昇りとは反対にやや後ろに体重をかけるようにします。