心臓イベントレコーダ:何がわかるの?どんな時に必要?検査の適用は?
更新日:2022/05/20
- 不整脈専門医の池口 滋と申します。
- 心臓イベントレコーダ検査を行うに当たって、いま不安を抱えている方や準備を行うに当たって役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「よく質問を受けること」、「本当に知ってほしい」とけど本当は説明したいことについて記載をさせていただいています。
目次
まとめ
- 心臓イベントレコーダはたまにしか生じない不整脈の診断を正確に行うため使用します。
- 症状が出た時に自分で当てて記録するタイプと、失神の後に操作して少し前の時点の記録を残すループ式タイプとがあります。
- 不整脈かそうでないか、不整脈ならばどのような不整脈かを診断する必要がある方が受けるべき検査です。
- 特に危険性はない検査です。
どんな検査?
- 心臓イベントレコーダ検査は動悸、頻脈、失神などの症状がある方のうち、数日から数週に1回、症状が出ている時の心電図を確認し、正確な心電図診断を行うための検査です。
- 心臓イベントレコーダは2つのタイプがあります。
- 1つ目は発作が出た時にレコーダを体に当てて記録するタイプで、一般に市販もされており、薬局などで購入も可能です。病院からの貸出で検査も可能です。
- もう1つは、常に電極を貼りつけておき、気を失う症状があった後意識が戻った時点で、スイッチを押して失神中の心電図をさかのぼって記録するループレコーダタイプです。病院で数週間単位の貸出を行っていることが多く、症状が出て記録できたら病院に持参して心電図波形を印刷します。
コラム:埋込型イベントレコーダ
- 絶えず胸に電極を張り付ける方法では皮膚のかぶれなどが生じやすく、1~2週間以上の使用は難しいことが多いです。
- そのため、1-2か月に1回以下の頻度での失神発作や、脳梗塞を起こした方の原因不整脈(心房細動)の検査には埋込型イベントレコーダを用いることがあります。
どういう人がこの検査を受けるべき?
- 不整脈を疑わせる症状がたまにしか生じない方や、ときどき失神発作を起こす方が適応になります。
- 胸がドキドキすることを動悸と言いますが、原因としては、不整脈のためと、不安や緊張で感じている方とがあります。
- 不整脈かそうでないか、不整脈ならばどのような不整脈かを診断する必要がある方が受けるべき検査です。
- 一方、1部位の心電図しか記録できないため、胸の痛みが狭心症発作かどうかの診断には診断精度が高いとは言えません。
実際には、どんなことをするの?
- 片手でつかめる程度の大きさの箱型の器具を常に持ち歩いていただき、動悸などが生じた際に手や胸などの体の表面に当てて記録スイッチを押してもらいます
- 失神発作時の心電図記録を行うループ式レコーダでは入浴後に毎日胸に電極を貼り、コードでレコーダ本体に接続してレコーダを持ち歩いていただきます。
- できるだけノイズの少ないきれいな心電図記録を行うため、腕や胸の筋肉に力をいれないよう、リラックスして記録をおこなってください。
検査にかかる時間は?痛みはある?
- レコーダを通常1か月程度貸出して、症状のあるときの記録がレコーダで取れたら来院いただき、検査は終了となります。
- 検査は痛みもなく、体に当ててスイッチを押し30秒程度静かにして記録を取るだけです。
他にどのような検査法があるの?
- 不整脈の他の検査としては、電極を胸に貼りつけて24時間心電図を連続的に記録するホルター24時間心電図検査があります。1日中全ての記録が取れますが、毎日必ず生じる不整脈でなくては、診断がつきません。
- 稀にしか生じない頻脈性不整脈や失神の診断には、入院してカテーテルという細い管を用いて行う心臓電気生理学的検査が有効な場合もあります。
理解しておきたい リスクと合併症
- 特に危険性はない検査です。
検査後の注意は?
- 特に検査後安静など必要ありません。
- 必ず病院にイベントレコーダを持参して、不整脈心電図の解析を受けて下さい。
検査後にこんな症状があったら病院に伝えてください
- 繰り返して生じる動悸の感覚がその都度異なっている場合には、繰り返して記録を行ってください。
- 違う不整脈が見つかる可能性があります。
ガイドラインなど追加の情報を手に入れるには?
- 医機学 Vol.84. No4 (2014) 特集:生理機能検査の進歩 心電図検査
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjmi/84/4/84_438/_pdf
- 植込み型心電図記録計の適応となり得る潜因性脳梗塞患者の診断の手引き
- http://www.jsts.gr.jp/img/tebiki_noukousoku.pdf