内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP):どんな検査?検査を受けるべき人は?検査内容や代替手段、リスク、合併症は?
更新日:2020/11/11
- 消化器内視鏡専門医の北野 雅之と申します。
- このページに来ていただいた方は、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)検査について知りたいと考えられているかもしれません。
- 内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)検査について理解する上で役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
まとめ
- ERCPとは口から内視鏡を入れて、十二指腸につながる胆管や膵管の出口から胆管や膵管を造影する検査です。
- 検査をすることで、結石の場所や閉塞部位などがわかります。
- 主に、胆汁の流れが悪い患者さんに行う場合と、膵液の流れが悪い患者さんに行う場合があります。
- 合併症として急性膵炎、出血、臓器に穴をあける穿孔があげられます。
どんな検査?
- ERCPとは口から内視鏡を入れて、十二指腸につながる胆管や膵管の出口から胆管や膵管を造影する検査です。
- 主に、胆汁の流れが悪い患者さんに行う場合と、膵液の流れが悪い患者さんに行う場合があります。
- X線を使った検査となり、胆管や膵管に造影剤を流すことで、胆管や膵管などの異常がわかります。
- 検査に引き続いて胆汁や膵液を外に排出させる治療(ドレナージ治療)も行うことが多いです。
実際には、どんなことをするの?
- 口から十二指腸まで内視鏡を挿入し、胆管・膵管の出口から造影カテーテル(細いチューブ)を膵管や胆管に挿入して、造影剤を直接注入し結石やがんの有無を確認します。
- ドレナージ治療などが必要と判断されれば、そのまま治療を行います。
- 追加で行う処置としては以下のようなものがあります。
総胆管結石治療
- 総胆管にある結石を採石・砕石する治療です。
- 処置具を胆管内に挿入するために、十二指腸にある総胆管の出口を広げます。
- 拡張した総胆管の出口から処置具を挿入し、結石を砕いて回収します。
ドレナージ治療
- ドレナージ治療とは胆管や膵管の閉塞によってたまった胆汁や膵液を排出する治療です。
- ERCPによって胆管や膵管の閉塞・狭窄部を確認します。
- 胆汁を排出する方法として、長いプラスチックチューブを挿入して鼻から出す治療法と短いステントを留置することで胆汁を排出する2つの方法があります。
理解しておきたい リスクと合併症
- ERCPによって下記の合併症が起こり得ます。
急性膵炎
- ERCPに関連した合併症として最も多いのが急性膵炎です。
- ERCPを施行した人の3.1%~5.4%程度と報告されています。
- 症状としては腹痛、背部痛をきたすことが多いです。
- ERCP後に急性膵炎発症が疑われれば、迅速に膵炎治療を行います。
出血
- 出血は総胆管の出口を広げるの処置が原因として発症することが多いです。
- 出血が確認されれば、内視鏡を使って止血を行います。
- 通常の止血治療で出血が治まらない場合には、バルーンや筒状のステントという道具を使って圧迫止血を行うといった方法もあります。
穿孔
- 内視鏡操作や総胆管の出口を広げる処置、カテーテルや砕石処置具の操作によって臓器に穴をあけてしまうことです。
- 内視鏡操作による消化管の穿孔は緊急外科的治療が必要です。
- 場合によってはクリップで穿孔部を縫い、保存的に治療可能なことがあります。
- 総胆管の出口を広げる処置、カテーテルや砕石処置具の操作によって胆管が穿孔した場合、胆道ドレナージチューブ留置と抗生剤投与、絶食にて改善する可能性があります。。
- 改善しないときには外科的治療も考慮します。