ジカウイルス:症状は?感染経路は?日本でかかる?検査は?ワクチンは?
更新日:2020/11/11
- 蚊媒介感染症専門医の忽那 賢志と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかするとご自分やご家族の方が「ジカウイルスに感染している」と指摘され、不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- ジカウイルス感染症は、主に蚊に刺されることで感染する、ジカウイルスによる感染症です。
- ジカウイルス感染症の症状は、微熱、頭痛、関節痛、発疹、目の充血などです。
- 妊婦さんが感染すると、胎児に影響が起こり、小頭症などの先天異常がみられることがあります。
- 東南アジア、南アジア、アフリカ、中南米、オセアニアなどの地域で流行しています。これらの地域から帰国して2週間以内に発熱がある場合には、病院を受診してください。
- 熱帯・亜熱帯に渡航する際は、虫よけなどを使い蚊に刺されないようにして、ジカウイルス感染症を予防することも大切です。
ジカウイルスは、どんな病気?
- ジカウイルス感染症とは、主に蚊に刺されることで感染するジカウイルスによる感染症です。感染して2〜7日で発症します。
- ジカウイルス感染症の症状は微熱、頭痛、関節痛、発疹、目の充血などです。
- 妊婦さんが感染すると胎児に影響が起こり、小頭症などの先天異常がみられることがあります。
- 東南アジア、南アジア、アフリカ、中南米、オセアニアなどの地域で流行しています。これらの地域から帰国して2週間以内に発熱がある場合には病院を受診してください。
ジカウイルスと思ったら、どんなときに病院への受診したらよいの?医療機関の選び方は?
病院の受診がおすすめな場合
- ジカウイルス感染症が流行している地域(東南アジア、南アジア、アフリカ、中南米、オセアニアなど)から帰国後2週間以内に熱や発疹が出た場合
- 蚊に刺された後に発熱、頭痛、関節痛、発疹などの症状が出た場合
病院の選び方
- 頻度の高い病気ではないため、輸入感染症や熱帯感染症を多く診療している医療機関(第一種感染症指定医療機関など) を受診するのが良いです。
- ジカウイルス感染症の流行地域から帰国した後に症状が出た場合は、医師に海外帰国後であることを伝えてください。
ジカウイルスになりやすいのはどんな人?原因は?
- 特にジカウイルス感染症になりやすい人はいません。
- 主に蚊に刺されることで感染しますが、性行為や輸血でも感染することがあります。
どんな症状がでるの?
- ジカウイルス感染症では、蚊に刺された数日後に下記のような症状が出ます。
ジカウイルス感染症の症状
- 発熱(微熱を含む)
- 頭痛
- 関節痛
- 発疹(赤いぶつぶつ)
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- ジカウイルス感染症を疑われると、保健所に連絡の上で専門の検査機関で血液検査を行います。
- 検査ではジカウイルスの有無を調べます。
- 結果には通常、数日を要します。
- 妊娠中にジカウイルス感染症に感染した場合、羊水の検査、胎児の超音波検査などを行います。
- 胎児にジカウイルス感染症がうつっているかどうかの検査は通常の医療機関ではできませんので、専門の医師に相談してください。
どんな治療があるの?
- 残念ながら、ジカウイルスに有効な治療薬はありません。症状の緩和を中心とした治療を行います。
- 関節の痛みや発熱に対して解熱薬を処方することがあります。この際、ロキソプロフェンなどのNSAIDsと呼ばれる解熱薬は避けた方が良いとされています。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
- 発症してから2週間は日本国内で蚊に刺されないように注意しましょう。国内での流行につながる可能性があります。
- 発熱があるうちは外出を控えてください。
- 相手にジカウイルス感染症をうつしてしまうことがありますので、発症してから男性は3ヶ月間、女性は2ヶ月間、性行為を控えるようにしてください。
うつるの?自分の予防のためにできることは?
- ジカウイルス感染症は、熱が出ている時期に蚊に刺されると、蚊がジカウイルスを運び、この蚊が他の人を刺すことによって、人から人へうつることがあります。性行為でもうつることがあります。
予防のためにできること
- ジカウイルス感染症に対して有効なワクチンはまだありません。
- ジカウイルス感染症の流行地域(東南アジア、南アジア、アフリカ、中南米、オセアニアなど) に行く際は虫よけを使い、蚊に刺されないように注意してください。
- 自分がジカウイルス感染症にかかってしまった場合、熱が出ている間は、虫よけなどを使って蚊に刺されないようにしてください。また、男性は3ヶ月間、女性は2ヶ月間、性行為を控えるようにしましょう。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- ジカウイルス感染症による症状は約1週間続きます。
- ほとんどの人が後遺症なく治癒します。
- まれに、ギランバレー症候群という体に力が入らなくなる疾患が、ジカウイルス感染症の症状に続けて起こることがあります。
追加の情報を手に入れるには?
- 国立感染症研究所による蚊媒介感染症に関するガイドラインが公開されています。
- https://www。niid。go。jp/niid/ja/id/2358-disease-based/sa/zika-fever/8592-zika-medical-g5。html