膀胱炎・腎盂腎炎:原因は?症状は?人にうつる?検査や治療は?入院は必要なの?
更新日:2020/11/11
- 泌尿器科指導医・専門医の石川 清仁と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分が膀胱炎や腎盂腎炎になってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 腎盂腎炎【じんうじんえん】は腎臓に細菌が感染する重症化しやすい病気です。
- 必ず、泌尿器科のある病院へ行きましょう。
- 膀胱炎や腎盂腎炎を予防するためには適度な水分摂取とトイレを我慢しないことが大切です。
腎盂腎炎は、どんな病気?
- 腎盂腎炎【じんうじんえん】とは細菌が腎盂【じんう】や腎臓に感染して炎症が起こる病気です。
- 腎盂腎炎になると発熱や背中や腰が痛くなります。症状は人により異なるため判断が難しいです。
- 膀胱炎を合併することが多いです。膀胱炎の症状としては、頻尿(尿の回数が増える)、残尿感、排尿時痛(尿をしたときに痛い)があげられます。
- 敗血症【はいけつしょう】を合併することもあります(敗血症は別項を参照してください)。
腎盂腎炎と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 頻尿や残尿感や排尿時痛などの膀胱炎の症状に、腎盂腎炎の症状が加わったときに、病院を受診してください。
腎盂腎炎の症状
- 38℃以上の発熱
- 腰背部痛
- 寒気や震え
- 意識がもうろうとする(自然と目を閉じる、おかしなことを言う、呼びかけに反応が鈍いなど)
- 医療機関の選び方は泌尿器科があり入院できる施設をお勧めしています。
腎盂腎炎になりやすいのはどんな人?原因は?
- 10代後半から30代の女性、泌尿器の病気を持つ方、感染症にかかりやすい人(糖尿病や免疫抑制剤を飲んでいる人)がなりやすいです。
どんな症状がでるの?
- 全身がだるい、寒気、震え、発熱、腰背部痛、尿の異変などの症状が出ます。
- 発熱は38℃以上になることが多く、朝は熱が下がっても夕方になると熱が上がってくることが特徴です。
- 尿の異変としては濁った尿や血の混ざった尿が出ます。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 尿検査と血液検査は必ず行います。腎盂腎炎の原因を探すために、超音波検査、X線検査、CT撮影などをおこなう場合もあります。
- 発熱により尿が出にくい状態となっていますので、尿検査の前には水分を十分摂りましょう。
どんな治療があるの?
入院治療が必要な中等症以上の場合(多くの場合)
- 抗菌薬の注射、持続点滴が行われます。これは腎盂や腎臓に入ってしまった細菌を殺し、体の中のバランスを整えるための治療です。
- より重篤な時は、症状に合わせた治療を行います。
- 腎盂腎炎になった原因が尿路に石が詰まったこと(結石【けっせき】といいます)である時は内視鏡でチューブを入れて、通り道を確保する治療でよくなることが多いです。
(稀ですが)外来治療が可能な軽症の場合
- 抗菌薬を14日間飲んでもらいます。また、高熱に対しては熱を下げる座薬を一緒に使うことができます。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?食事や生活で気をつけることは?治療の副作用は?
- 腎盂腎炎以外に尿路(尿の通り道)の病気がないかを泌尿器の専門家に探してもらう必要があります。なぜなら、他の尿路の病気があると再発する可能性があるからです。
- 適度な水分摂取と尿を我慢しないことが予防になります。腎盂腎炎の原因に膀胱炎があげられます。膀胱炎の予防としてこれらが有効です。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 適切な抗菌薬が投与されれば、3~5日間で熱は下がります。
- 抗菌薬を2週間程度飲まないことで、再燃する危険性が高いので、医師の指示に従って十分な治療を受けましょう。
- 尿路に別の病気が見つかった場合は、泌尿器科専門医にご相談下さい。