停留精巣:どんな病気?起こしやすい時期は?検査や治療は?手術は必要?
更新日:2020/11/11
- 泌尿器科専門医の中島 耕一、 山辺 史人と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると医師から「お子さんに停留精巣の疑いがある」と言われ、不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい気持ちを抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 停留精巣は、生まれた直後の検診で見つかることが多い病気です。
- 生後3か月くらいで自然に治ることが多いです。
- 停留精巣が疑われた場合は、泌尿器科のある病院にご相談ください。
停留精巣は、どんな病気?
- 精巣(睾丸、玉ともいいますね)はもともとお腹の中にあり、それが下に移動していき、生まれてくるまでに陰嚢【いんのう】(玉袋ともいいますね)という袋の中に収まります。
- 停留精巣とは、精巣が下に移動している途中で止まってしまい、精巣が陰嚢の中に収まっていない病気です。精巣は左右一つずつあるので、停留精巣も左右両方の場合と、片方だけの場合があります。
停留精巣と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 一般的には、生まれてから小学校に入る前までに受ける検診のどこかの時点で見つかることが多いです。停留精巣を指摘されたら、泌尿器科か小児科のある病院にご相談ください。
- 小学生以降でも、陰嚢内に左右2つの精巣が触れない場合は病院にご相談ください。
停留精巣になりやすいのはどんな人?原因は?
- 停留精巣の原因は残念ながらはっきりしていませんが、予定日よりも早く生まれてきた赤ちゃん(在胎37週未満)や、生まれた時の体重が普通のお子様より軽い赤ちゃん(2500g未満)に多いといわれています。
- 生まれたばかりの赤ちゃん100人のうち、3~5人程度が停留精巣になっていると言われています。
- 生まれたときに停留精巣になっていても、生後3か月くらいまでに自然に治ることも多いです。
どんな症状がでるの?
- 痛みなど、自分で感じる症状は特にありません。
- 将来的に精巣の癌を引き起こす可能性が、普通の人と比べて3~4倍高いといわれています。
- 特に左右両方の両側停留精巣の場合、不妊症【ふにんしょう】、つまり生殖機能が落ちることがあります。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 基本的には陰嚢、鼠径部(足の付け根あたり)を触って確認します。
- 触って分からない場合は、超音波検査やMRI検査で画像から確認することもあります。
- 生後半年くらいまでは自然に精巣が下に移動し、陰嚢の中まで到達することもあるので、期間を置いて、何度もお医者さんに診てもらう必要があります。
どんな治療があるの?
- 生後3か月から6か月くらいまで:自然に治る可能性も考え、特に治療はせず経過観察を行います。
- 生後6か月以降:自然に治らない場合は、精巣を陰嚢内に入れ、固定する手術を行います。これは通常全身麻酔で行い、2歳くらいまでに行うことが多いです。
治療後に気をつけていただきたいこと
- 精巣腫瘍が発生していないか、気をつける必要があります。
- 定期的な通院や、自分で精巣を触って腫れがないか、硬いしこりの様なものがないかなどチェックすることが大事です。