糖尿病(2型):症状は? どんな食事をとればいい? 予防は? 合併症は? どんな検査があるの?
更新日:2020/11/11
- 糖尿病専門医の園田 紀之と申します。
- このページに来ていただいた方は、もしかするとご自分やご家族の方が糖尿病と医師に診断されて、不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、つらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察のなかで、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 2型糖尿病とは、体質や生活習慣が原因で血糖値が上がる病気です。
- 初期には症状があまりなく、健診などで偶然みつかることも多いです。
- 血糖値が高い状態が長く続くと、全身の血管を傷つけることによる合併症(余病【よびょう】ともいいます)が起こります。
- 合併症を予防あるいは早期発見し、すこやかな生活を送ることが、2型糖尿病治療の目標です。
- 治療は血糖値を良い状態に保つことが大切で、食事療法や運動療法など生活習慣の改善と薬物療法があります。
2型糖尿病ってどんな病気なの?
- 糖尿病は、血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が増えてしまう病気です。
- 食事をすると誰でも血糖が高くなりますが、「インスリン」という膵臓から出るホルモンのはたらきで血糖が、肝臓や筋肉などに取り込まれます。
- インスリンは血糖値を一定の範囲におさめるはたらきを担っています。
- 血糖の濃度(血糖値)が何年間も高いままで放置されると、次のようなより重い病気(糖尿病の慢性合併症)につながります。
糖尿病の慢性合併症
- 血管が傷つく
- 心臓病
- 失明
- 腎不全【じんふぜん】
- 足の切断
- 昏睡【こんすい】:血糖値が著しく高い場合(糖尿病の急性合併症)
糖尿病の分類
- 糖尿病はその原因によりいくつかのタイプに分かれますが、その成り立ちによっても次のようないくつかの種類に分類されます。
成り立ちによる糖尿病の分類
- 1型糖尿病
- 2型糖尿病
- その他の特定の機序、疾患によるもの
- 妊娠糖尿病
- ここでは最も多い、2型糖尿病について主に解説します。
2型糖尿病は、どんな症状がでるの?
- 症状がなく糖尿病になっていることに気づかない方も多くいます。
- 健診などで偶然、血糖値が高く糖尿病とわかることも多いです。
- かなり血糖値が高いと、次のような症状が現れます。
糖尿病の症状
- 喉が渇く
- 水をよく飲む
- 尿の回数が増える
- 体重が減る
- 疲れやすくなる
どんな原因があるの? どんな人がなりやすいの?
- 2型糖尿病の原因は、次のいずれか、あるいはその両方です。
2型糖尿病の原因
- インスリンの量が足りない
- インスリンがききにくい
- インスリンのはたらきが低下すると血糖値が上がります。
- インスリンのはたらきは体質(遺伝)や高カロリー食、高脂肪食、運動不足などと関連しています。
- 親兄弟など血縁関係にある人が2型糖尿病である場合、その体質を受けついでいることが多く、2型糖尿病になりやすいといえます。
- 過食や運動不足も2型糖尿病になりやすい生活習慣です。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 高い血糖値が続いている場合、糖尿病と診断します。
- 2型糖尿病の方の血糖値は、ある日突然高くなるというのはまれで、多くの場合、患者さんが知らないうちにだんだん高くなってきます。
- 早い時期に2型糖尿病をみつけて、血糖をコントロールすると、糖尿病の合併症を防ぐことができます。
- 健康診断は、糖尿病をみつける、いちばん身近な方法で、2型糖尿病を診断する検査としては、血液中のブドウ糖(血糖)がどれくらいあるかを調べます。
- 食事によって、血糖値は上がったり下がったりするため、測定には次のようにいろいろな方法があります。
血糖値を測定する方法
- 空腹時血糖値:食事前の血糖値を測定する
- 75 g経口ブドウ糖負荷試験:一定量のブドウ糖を水にとかしたものを飲み、その後血糖値がどう変化するかを調べる
- 随時血糖値:食事の時間を考えないで測定する
- HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー):過去1〜2か月の血糖値の変動を反映した検査で、糖尿病の診断や治療の経過をみていくうえで重要な指標
- 血糖値の検査以外にも、合併症の進み具合を診断するさまざまな検査があります。
どんな治療があるの?
- 2型糖尿病では「インスリンの作用不足」を改善し、血糖値を上手にコントロールすることが大切で、それによって病気が進むのを防ぎ、合併症を予防することができます。
- 治療には、次にあげる3つの方法があります。
2型糖尿病の治療法
- 食事療法
- 運動療法
- 薬物療法(血糖を下げる飲み薬、インスリン注射など)
- 2型糖尿病では食事療法と運動療法が治療の両輪で、この2つの治療で目標のコントロールが達成できない場合、必要に応じて薬物療法が行われます。
- 合併症の状態によっては、将来の合併症の進展や発症予防に対する適切な食事・運動療法、薬物療法の選択が変わりますので、主治医と適切な治療法の選択について相談してください。
予防のためにできることは?
- 生活習慣の改善により糖尿病の発症のリスクを減らすことができます。
- 具体的には次のようなことに気をつけるようにしてください。
糖尿病リスクを減らすために気をつけること
- 食事は腹八分目でやめる
- 野菜を積極的に食べる
- 散歩などの運動を始める
2型糖尿病は治るの?
- 現在、2型糖尿病を完全に治す方法はみつかっていません。
- 食事療法や運動療法、生活改善を基本とし、状況に応じて適切なお薬を組み合わせて行い、きちんと治療を続けていけば、合併症を起こすことなく、快適な生活を続けることができます。
- 糖尿病の治療というと「薬は一生のみ続けなくてはならない、インスリンの注射を始めたら、一生注射を続けることになる」などと恐れている人も少なくないようですが、治療がうまくいき、血糖値が正常に近づけば、薬が必要なくなることもあります。