弾発指（ばね指）:原因は？症状は？放置するとどうなるの？治療は？
更新日：2020/11/11
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- 千葉大学 整形外科専門医の松浦 佑介と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分が弾発指になってしまった？」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
まとめ
- 弾発指とは、指のつけ根部分の関節の近くの腱がふくれて、引っかかる感じが出ることを言います。
- 引っかかりが大きくなると、指の曲げ伸ばしができなくなります。
弾発指（ばね指）は、どんな病気？
- 弾発指（ばね指）とは、指のつけ根の関節の近くで、指を曲げるための腱がこぶ状に大きくふくれ、腱鞘（腱が通るトンネル）に引っかかり、ある角度を超えると「カクッ」とはずれる現象です。
- 痛みがあるだけのこともありますが、ひどくなると引っかかったまま、指が曲がらない、もしくは指が伸びなくなります。
- 妊娠中や出産直後の女性、中高齢の女性にみられる弾発指は、何度も繰り返される機械的な刺激のために腱鞘炎が起こり、それが原因になっていることが多いです。
- 子どもにみられる弾発指は、生まれながらの腱の肥厚が原因で、大人の弾発指とは異なる病気です。
受診前によくなるために自分でできることは？
- ご自分でできることとして、指のストレッチを試してみてください。次の動作を順にくり返します。1時間おきに試してみてください。
- ただし、痛みが強かったり、すでに引っかかりが解除できなくなっている場合は、病院での治療を検討してみてください。
弾発指のストレッチ
- 肘をのばして、反対の手で手首から指全体をそらし、30秒間キープします。
- 次に、PIP(第２関節）、MP（第３関節）を曲げた状態で、30秒間思いっきり握ります。
弾発指（ばね指）になりやすいのはどんな人？原因は？
- 次のような方が弾発指（ばね指）になりやすいとされています。
弾発指になるリスクが高い方
- 手をよく使っている方
- 妊娠中、出産後、更年期の方
- 糖尿病、関節リウマチの方
- 透析を受けている方
- 原因はまだ明らかになっていませんが、50歳代が最も多く、ついで60歳代、40歳代と続きます。男女比は1：6で圧倒的に女性が多いです。
弾発指になりやすい指
- 一番多いのは、親指です。次に、中指、くすり指です。
- 2本以上に多発することもよくあります。
どんな治療があるの？
ステロイド注射
- 指のストレッチで良くならない、痛くてストレッチできない場合には、ステロイドというお薬の注射をし、炎症をおさえます。
- 治療に使うステロイドのトリアムシノロン（商品名ケナコルト）は、2〜5mg程度の少量で効果を有します。合併症としては腱断裂、感染等のリスクがあります。
手術
- 注射で治らない場合は、手術で引っかかりを取ります。
- 通常は、ふくらんだ腱が通るトンネル（腱鞘）を一部切り離します。
- ふくらんだ腱の一部または全部を切り取り、引っかかっている部分を減らす方法もあります。
医療従事者向けコラム：手術の選択肢
- 経皮的腱鞘切開術：引っかかりが強い症例に対しては、太い注射針のみで皮膚を切開せずに腱鞘を切開することが可能です。
- 腱鞘切開術：通常は皮膚を1cm程度切開して腱鞘を直接確認して切離します。
- 腱切離・切除術：特殊な弾発指では屈筋腱の一部（浅指屈筋腱）の半分またはすべてを切除することで、腱の体積を減らすことで、弾発指の引っ掛かりを改善させることもあります。
