気管切開:どんな治療?どんな時に必要になるの?安全性は?
更新日:2020/11/11
- 集中治療専門医の安宅一晃と申します。このページに来ていただいた方は、ご本人だけでなく、ご家族が気管切開を医師から提案され悩んでおられる方が多いと思います。
- 気管切開は喉に穴を開けるために、声が出なくなるのではないか?、喀痰吸引はしていいの?など不安に思われている方も沢山おられると思います。
- ここではどうして気管切開が必要なのか、どんな病気に必要なのか、声はどうなるのか?、吸引は?、などについて解説させていただきます。
まとめ
- 気管切開とは、のどにあなを開けて気管に短いチューブを入れる処置です。
- 自分で息ができない方、自分の力でたんが出せない方に行います。
- チューブを入れている間は基本的には声が出せません。
どんな治療?
- のどの真ん中にあなを開けて空気の通り道をつくり、専用のチューブを入れます。
- チューブを介して、人工呼吸器をつないで息をするのを助けたり、自力でたんが出せない場合にはたんを吸ったりします。
この治療の目的や効果は?
- 空気の通り道を確保し、肺に確実に酸素を送り二酸化炭素を出します。
- 自分で息するのが難しい方には、長期間人工呼吸器をつけることができます。
- たんが出せない場合には、機械を使って吸い出します。
- チューブが口を通らないので、口の中を清潔に保つことができます。
どういう人がこの治療を受けるべき?
- 息をするのに使う筋肉が弱くなっている方
- 意識が悪く、舌が落ちこんで、空気の通り道がふさがる可能性が高い方
- ものの飲みこみが悪い方(食べると咳きこむことが多い、誤嚥性肺炎をくり返している)
- たんが非常に多い、たんを出すのが難しい方
- 口やのどの辺りの手術をした方
実際には、どんなことをするの?
- のどの真ん中あたりから、すぐ下を通る気管にあなをあけます。
- 開けたあなに短いチューブを入れ、抜けないように固定します。
- はじめは、1-2週間ごとにチューブを交換します。
- その後も定期的に交換や洗浄をします。
理解しておきたい リスク
- 切開した部分から血がでる、ばい菌が入る危険があります。
- チューブを入れる時、交換する時にうまく入らないことがあります。この場合一時的に空気を通す管を口から入れることがあります。
- 肥満で首まわりが太い方、首が短い方、血がとまりにくい方(血液をサラサラにするお薬を飲んでいるなど)では、気管切開ができないことがあります。
治療後について
- 気管切開してチューブが入っている間は声が出せないことが多いですが、チューブの種類によっては声が出せます。
- のどのあなを閉じれば、今まで通り声は出せます。
- 食事は可能ですが、少し飲みこみにくい感じがあるかもしれません。
- 空気の通り道が乾燥しないように加湿が必要な場合があります。
- たんの吸い方については、医師、看護師と一緒に練習します。
病院に相談してほしいとき
- 傷口がおかしい(血が出てきた、赤くなっているなど)
- チューブが抜けてしまった
追加の情報を手に入れるには?
- いくつかの学会がそれぞれの疾患に関してガイドラインを出しています。
- その中で気管切開に関しての記述もありますので参考にしてください。
- https://minds.jcqhc.or.jp/medical_guideline/guideline_list