包茎、嵌頓包茎:どんな状態?何か悪いことはあるの?治療とその費用は?
更新日:2020/11/11
- 泌尿器科専門医の中島 耕一、山辺 史人と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分が包茎かもしれない?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 乳幼児ではほとんどが包茎の状態です。
- 仮性包茎では治療は必要ない場合が多いです。
- 嵌頓包茎ではすみやかに泌尿器科受診が必要です。
包茎、嵌頓包茎は、どんな病気?
- 包茎【ほうけい】とは、亀頭部(きとうぶ;おちんちんの先端)が包皮(ほうひ;おちんちんを包む皮)でおおわれている状態です。
- 仮性包茎【かせいほうけい】、真性包茎【しんせいほうけい】、嵌頓包茎【かんとんほうけい】など種類があります。
包茎の種類
- 仮性包茎:普段は包茎の状態でも手を使って簡単に亀頭をすべて露出させることができる、または勃起した時には亀頭がすべて露出するという状態です。
- 真性包茎:手を使って亀頭をすべて露出(皮をむいた状態)しようとしても包皮の口が狭く不可能な状態です。
- 嵌頓包茎:包茎の状態から亀頭をすべて露出(皮をむいた状態)させた後、包皮の狭い部分が亀頭のところで首を絞めるような形になり、元に戻せなくなった状態です。
包茎、嵌頓包茎と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- まず、嵌頓包茎となってしまった場合はすみやかに泌尿器科のある病院にご相談ください。嵌頓包茎のまま時間をおくとさらに状態がどんどん悪くなることがあります。
乳幼児期 (6歳以下のお子様)の場合
- 乳幼児期では通常ほとんどが真性もしくは仮性包茎の状態です。何もなければ、病院に行かなくても大丈夫です。
- 包皮が赤く腫れたり(亀頭包皮炎)、おしっこを出すときに包皮が風船のように膨れるようなことがあれば泌尿器科のある病院にご相談ください。
- 思春期に近づくと徐々に亀頭が露出されるようになり、仮性包茎の状態になります。
思春期以降の場合
- 仮性包茎は病的な状態ではなく、基本的には治療は必要ありませんが、亀頭部の清潔が保ちにくかったり、勃起したときに包皮がつっぱって痛みがあったりする場合は一度泌尿器科のある病院にご相談ください。
- 真性包茎の場合は泌尿器科のある病院にご相談ください。若い方の場合は治療を行うことが多いです。
- ご高齢の方、糖尿病をお持ちの方などで包皮が繰り返し腫れるようなことがあると、真性包茎が悪化しておしっこが出せなくなってしまうことがあります。
受診前によくなるために自分でできることは?
- どのタイプの包茎の方も、亀頭部を清潔に保つよう心がけてください。
- 仮性包茎の方は、亀頭部を露出(皮をむいた状態)したままにすると嵌頓包茎になる可能性があるので、ご注意ください。
包茎、嵌頓包茎になりやすいのはどんな人?原因は?
- 仮性包茎で包皮の口が狭い場合は、亀頭を露出したまま放置すると嵌頓包茎になりやすいです。
どんな症状がでるの?
- 嵌頓包茎になると、包皮の狭い部分が亀頭の手前に首をしめたような状態になり、おちんちんが赤く腫れたり、痛みを感じたりします。この状態が長い間放置されると陰茎や亀頭部に障害が残る可能性があります。
- 他のタイプの包茎では、特に症状はありません。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 特別な検査はなく、お医者さんが患者様からお話をうかがったり、実際におちんちんを見たり触ったりすることで診断されます。
どんな治療があるの?
- お薬:小さいお子様が真性包茎になった場合は、ステロイドというお薬を塗り、徐々に包皮の狭い部分を広げるような治療を行うこともあります。
- 包茎手術:包皮の狭い部分を含め余っている包皮を一周切除する環状切開術と、狭い部分は広くするが包皮は切り取らない背面切開術があります。おしっこを出す際に包皮が風船のように膨れたりする症状がある場合や、嵌頓包茎になってしまった場合に手術を行います。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
- ステロイドによる治療はある程度の期間続ける必要があります。
- お風呂などの際に自分で包皮を可能なところまでむいてみる練習なども有効なことがありますが、無理に包皮をむかないよう気を付け、むいた後は必ずもとに戻すようにしてください。
- 包茎手術を受けられた後は、お医者さんの指示に従い指示された期間は自慰行為、性行為を控えてください。
予防のためにできることは?
- 残念ながら予防のためにできることはありません。
- 嵌頓包茎の予防として、普段仮性包茎の状態の方の場合、亀頭を露出した状態(皮をむいた状態)のままにしないことが大事です。