亜急性甲状腺炎:どんな病気?検査や治療は?日常生活の注意点は?
更新日:2020/11/11
- 日本甲状腺学会専門医の上條 桂一と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分が亜急性甲状腺炎になってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 亜急性甲状腺炎は、甲状腺に入ったウイルスが甲状腺に悪さをすることで起こると考えられています。
- 熱がでる、甲状腺の部分(のどぼとけの下あたり)が痛い、飲みこむときに痛みがある、体がだるいといった症状がでます。
- 適切に対処すれば3か月以内に治ります。約半数の方は対側に同じ症状を繰り返します。
亜急性甲状腺炎は、どんな病気?
- 亜急性甲状腺炎は、甲状腺に入ったウイルスが甲状腺に悪さをして、痛み、発熱などを起こすと考えられている病気です。
- 40-50歳代の女性に多く、通常は適切に対処すれば3か月以内に治ります。
亜急性甲状腺炎と思ったら、どんなときに病院・クリニックへ受診したらよいの?
- のどぼとけの下あたりに激しい痛みがある、押すと痛い
- 高熱がある場合
- 日常生活に影響がある場合(だるい、ドキドキする、イライラする、集中力がおちているなど)
亜急性甲状腺炎になりやすいのはどんな人?原因は?
- 下記のような方がなりやすいです。
- 40-50歳代の女性(20歳未満の方はなりません。)
どんな症状がでるの?
- 首の前側が痛く、押すと痛い
- 熱が出る
- 飲みこむときにのどが痛い
- 全身がだるい
- 疲れやすい
- 胸がドキドキする
- イライラしやすい
- 手指がふるえる
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 血液検査で炎症がおきていることと、甲状腺でつくられる甲状腺ホルモンが増えていることを確認します。
- 首の超音波検査をして、甲状腺の状態をみます。痛みに一致した箇所が黒く抜け(低エコー域)、まわりとの境界は不明瞭で、血流が乏しく、亜急性甲状腺炎と診断できます。
どんな治療があるの?
- 首の痛みや熱が日常生活に影響しない場合は、様子をみて自然に治るのを待ちます。
- 高熱が出たり、首の痛みがひどい場合、全身がだるい場合には、ステロイドを使って炎症を抑えます。ただし、糖尿病の方、妊婦さん、授乳中、肝炎ウイルスを持っている方には使えません。
- 熱や痛みを和らげるお薬を使います。
- 甲状腺ホルモンの影響でドキドキする感じが強い場合には、ドキドキを抑えるお薬を使います。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
- ステロイドを使うと症状は明らかによくなります。しかし、完全に回復しているわけではないので、十分に休息をとることが大切です。
- 病院で出された痛み止めを飲み始めて、皮膚にぶつぶつができたり、体調不良が出たりすることがあります。すぐに飲むのをやめて病院に相談してください。
予防のためにできることは?
- 予防策は特にありません。
- 他の人にうつることも、他の人からもらうこともありません。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- だいたい1ないし2か月で(遅くとも3か月以内に)甲状腺の痛みは消失し、甲状腺ホルモン値は(半数の方は甲状腺機能が低下後)正常に戻ります。
追加の情報を手に入れるには?
- 日本甲状腺学会ホームページを参考にしてください。
- http://www.japanthyroid.jp/
もっと知りたい! 亜急性甲状腺炎
その他
- 熱や痛みが出ないことがあります。
- 亜急性甲状腺炎になった人の5%が、再び亜急性甲状腺炎になるといわれています。初めてなってから、15-20年ほど経った後になります。