顎関節症:症状は?何科の病院にいくべき?治し方は?マッサージやマウスピースは?
更新日:2020/11/11
- 歯科医師の上木 耕一郎と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分が顎関節症になってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 「あごが痛む」「口が開かない」「あごを動かすと音がする」の一つに当てはまれば 顎関節症の可能性があります。
- 日常生活の行動を変えたり、癖を直したりすることで、症状が良くなることがあります。
- 生活に支障をきたし命に関わるような病気ではないので、歯科医師のもとで適切な治療を受け、自分で管理することが大切です。
顎関節症(TMD)は、どんな病気?
- 顎関節症(がくかんせつしょう)は、顎の関節や筋肉の痛み、顎の関節の音、口が開きにくい、顎が動きにくいを主な症状とする病気です。
顎関節症(TMD)と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 以下のような症状があれば、医療機関を受診してください。
受診すべき症状
- 口が開かない
- 顎を動かすと音がする
- 顎が痛む
- まずは、近くの歯科医院を受診してください。詳しい検査が必要な場合や、重度の場合は専門医や大学病院を紹介してもらうことができます。
受診前によくなるために自分でできることは?
- 顎関節症は、日常の行動や癖などが関係していることがあるので、自分で行動を変えたり、癖を直したりすることで、症状が軽くなる場合があります。
- 例えば、硬い食べ物や長時間噛むこと、噛みしめることは避ける。頬杖をやめる、姿勢をよくする、仕事中や休憩時に上下の歯が接触していることに気付いたら歯を離すようにする、強いストレスを感じないようにするなどです。
顎関節症(TMD)になりやすいのはどんな人?原因は?
- 顎関節症の原因は分からないことが多いですが、色々な原因が合わさって発症するとされています。
- 原因として、緊張する仕事,多忙な生活,対人関係の緊張など。硬い食べ物を食べること,長時間食べること,楽器の演奏,長時間のパソコン業務,単純作業,重い物の運搬,編み物,絵画,料理,ある種のスポーツなど。日中の姿勢,睡眠時の姿勢,歯ぎしり、嚙み合わせ,関節の形,性格,睡眠障害などが挙げられます。
どんな症状がでるの?
- 以下のような症状があります。
顎関節症の症状
- あごが痛む
- 口が開かない
- あごを動かすと音がする
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- お話しを聞いたり、実際に触ったりして診察します。また、レントゲン、MRIなどの画像検査、心理検査(知能や発達、性格を知るための検査)を行うことがあります。
どんな治療があるの?
- 以下のような治療があります。
顎関節症に対する治療
- 生活指導:日常生活における行動を変えたりや癖を直したりします。
- 理学療法:手で筋肉のマッサージをする、温める、筋肉をわずかに電気で刺激する、レーザー照射、口を開ける練習などがあります。
- 薬物療法:顎の関節や筋肉の痛みに対して、鎮痛薬を使います。
- マウスピース療法:上顎または下顎の歯を覆うもので、寝ている時のはぎしりやくいしばりによる筋肉の緊張を和らげたり、顎の関節への負荷の減らしたりします。
- 外科的な治療:パンピンクマニュピレーション療法や顎関節洗浄療法など。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
- 患者さんによって、原因、治療方法は異なる可能性がありますので、医療者の指示に従って適切な対応を取ってください。
- マウスピースによって、嚙み合わせが変わってしまう場合があります。
- 鎮痛薬によって、みぞおちの辺りの痛み、吐き気、嘔吐などが出る場合があります。
予防のためにできることは?
- 【原因】の欄に書かれているような点に気を付けて生活することで、ある程度、予防できます。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 顎関節症は、直接命に関わることや、日常生活に支障をきたすような病気ではありません。
- 適切な診察や検査を受けて、歯科医師による標準的な治療や自己管理(セルフケア)により、良くなるとされています。
- 重度の場合、症状が長引いてしまうこともあります。
追加の情報を手に入れるには?
- 日本顎関節学会ホームページをご参照ください。
- http://kokuhoken.net/jstmj/
もっと知りたい! 顎関節症
顎関節症(TMD)は、どんな病気?
- 4つの分類があり、①あごを動かす筋肉の痛みを主な症状とするもの(咀嚼筋痛障害)、②顎の関節の痛みを主な症状とするもの(顎関節痛障害)、③顎の関節の中でずれが生じるもの(顎関節円板障害)④顎の関節を構成する骨に変化が生じるもの(変形性顎関節症)です。
どんな治療があるの?
- パンピンクマニュピレーション療法:注射で顎関節の中に液体を入れて、圧をかけることで、関節の位置を元に戻す方法
- 顎関節洗浄療法:注射で顎関節の中に生理食塩水を入れて、洗浄することで、関節の動きを良くする方法