インピンジメント症候群:どんな病気?治療やリハビリは?手術は必要?
更新日:2022/05/20
はじめに
- 整形外科専門医の橋本 瑛子と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分がインピンジメント症候群になってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- インピンジメント症候群は、肩の上げ下げの際にインナーマッスル(腱)が骨に衝突することで痛みが出現します。
- 肩の上げ下げの際の痛みが特徴ですので、痛みが続く際は受診してください。
インピンジメント症候群は、どんな病気?
- 肩の上げ下げには、インナーマッスルである腱板【けんばん】の働きが大切です。
- この周囲にある滑液包【かつえきほう】という袋がクッションの働きをしながら、骨の屋根である肩峰【けんぽう】の下をスムーズに走っています。
- インピンジメント症候群とは、肩のインナーマッスル(腱板)が骨の屋根に衝突したり挟まったりすることで痛みを起こし、動かす事が難しくなる症状の総称です。
インピンジメント症候群と思ったら、どんなときに病院への受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 肩の上げ下げの際に痛みが続く・肩がうまく上がらないなど、インピンジメント症候群を疑ったときは、整形外科医のいる医療機関の受診を検討して下さい。
はやくよくなるために自分でできることは?
- 早くよくなるためには下記のことを行うとよいでしょう。
早く良くなるために
- 肩が硬くならないように、ストレッチ体操をする。
- 投球など繰り返し動作による痛みに対して、一時的に安静にする。
インピンジメント症候群になりやすいのはどんな人?原因は?
- 繰り返し動作によりインナーマッスルに炎症や断裂(腱板断裂)を起こしたり、年齢性の骨の棘や骨折後の変形、石灰の沈着により、病的な衝突を起こしたります。
- 投球動作など肩をよく使うスポーツ選手にも起こります。
どんな症状がでるの?
- 肩の上げ下げの際の痛みが特徴です。
- 肩を動かす時に、ある角度で痛みやひっかかり感を感じてうまく上げられなくなります。
- 特に、骨の屋根の下を走る際の痛みを有痛弧【ゆうつうこ】と呼び、上げるまたは下げる際の途中の痛みが特徴的です。
- 症状が悪化すると、夜中の痛みや動きの制限も来します。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 肩の痛みがある場合、まずはレントゲン検査を行います。レントゲンは、骨成分の病変を見つけることが得意な検査ですので、骨の変形や石灰を見つける事ができます。
- インピンジメント症候群は、インナーマッスルの炎症や断裂で起こる事がありますので、必要に応じて追加の精密検査であるMRI検査が必要になる事があります。
どんな治療があるの?
- インナーマッスルの衝突により起こった痛みや原因を解決するために、まずは注射(局所麻酔薬やステロイド注射)を行います。
- 注射を行っても、痛みが改善しない場合は、手術を検討します。手術は、インナーマッスルの滑走スペースを広げるために骨の屋根を削る肩峰除圧術【けんぽうじょあつじゅつ】を行います。
- 近年は、関節鏡を用いた内視鏡手術が主流です。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
- 注射や手術治療を受けた後は、感染しないように肩を清潔にするように心がけてください。
予防のためにできることは?
- 肩はよく動く関節ですので、動きが良い事が重要な関節です。
- 動きの良さを保つために、自主ストレッチや体操を行うことが非常に重要です。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 注射やリハビリなどの保存治療には時間を要します。
- 数ヶ月の保存治療を行うことで症状が少しずつ改善します。
- 3ヶ月以上を超える保存治療(注射やリハビリ)で全く改善が得られない時は、手術治療を相談します。