レイノー現象:どんな症状?どんな病気で起こる?必要な検査は?
更新日:2020/11/11
- リウマチ専門医の藏本 伸生と申します。
- 指先の色が変わったり、指先に痛みやしびれがでたりすると、心配になりますよね。何か悪い原因で起こっているのではないか?と心配されたり、「病院に行ったほうが良いかな?」と不安になられたりするかもしれません。
- そこでこのページでは、これらレイノー現象の一般的な原因や、ご自身での適切な対処方法、医療機関を受診する際の目安などについて役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「本当は説明したいこと」について記載をさせていただいています。
目次
まとめ
- レイノー現象とは、冷たい刺激などで指先が突然白色や紫色になり、15分から20分前後で紅色に戻る現象です。
- 原因が特になくあらわれるレイノー現象(レイノー病)がほとんどですが、原因となる病気が存在するレイノー現象(レイノー症候群)の場合もあります。
- レイノー現象を予防するために、寒さや精神的ストレスを避け、禁煙を心がけて下さい。
- それでもレイノー現象が続く場合は医療機関を受診してください。
どんな症状?
- レイノー現象は冷たい刺激や精神的ストレスなどで指先やつま先が突然白色や紫色になり、刺激が消えると15分から20分前後で元の肌の色に戻る現象です。
- 人差し指、中指、薬指によく生じます。しばしば痛み、冷感、しびれを伴います。
主な原因とその説明
- レイノー現象は、原因疾患のないレイノー病と、原因疾患があるレイノー症候群に分けられます。原因疾患のないレイノー病のことが多いです。
レイノー症候群の主な原因
- 膠原病:全身性強皮症、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、皮膚筋炎、シェーグレン症候群などでレイノー現象を伴います。指のむくみ、発熱、発疹、筋肉痛、目や口の渇きなどの症状を伴う場合に疑われます。
- 血液の病気:クリオグロブリン血症などの血液の病気でレイノー現象を起こすことがあります。指先の傷を伴うことがあります。
- 職業や環境:職業などで手持ちの振動工具(チェーンソーなど)を日常的に使う場合や、凍傷にかかった場合にレイノー現象が起こることがあります。
- 内分泌疾患:甲状腺機能低下症でレイノー現象を起こすことがあります。疲労感、体重増加、むくみ、便秘などの症状を伴うことがあります。
レイノー現象に対して、よくなるために自分でできることは?
- レイノー現象を予防するために、ご自身できることがいくつかあります。下記のことに留意してください。
寒さを避ける
- 手だけでなく全身を温めて、寒いところを避けてください。外出する時には厚着をして、帽子、手袋などを着用してください。
精神的ストレスを避ける
- できるだけリラックスするように心がけ、日常生活での精神的なストレスを避けるようにしてください。
禁煙
- 喫煙はレイノー現象を悪化させます。必ず避けてください。
こんな症状があったらかかりつけ医を受診しましょう
- 以下のような場合には医療機関の受診を検討して下さい。
医療機関の受診が勧められる場合
- 予防対策を行ってもレイノー現象が続いている。
- 症状が強く、指先に傷ができている。
- 指のむくみ、発熱、発疹、筋肉痛、目・口の乾きなどの症状を伴う。
お医者さんでおこなわれること
- お医者さんでは、症状をお話しいただくことで診断につながります。とくに、下記の情報を正しく伝えていただけると診療の助けになります。紙などに書いて持参していただくと喜んでもらえるかもしれません。
診療の助けになる情報
- 指などの色の変化の詳しい情報(出現する場所、色の様子、時間経過など)
- 飲んでいる薬、投与された薬
- 職業(特に手持ちの振動工具を日常的に使う仕事)
- 指のむくみ、発熱、発疹、筋肉痛、目・口の渇きなどの症状
- その他、血液の検査や、血管の画像検査などの検査を行うことがあります。
もっと知りたい レイノー現象のこと!
レイノー病とレイノー症候群の違いは?
レイノー病(原発性レイノー現象)
- レイノー病は、レイノー現象を起こす原因の疾患がないものを指します。レイノー現象患者の約8割を占めます。
- 15歳から30歳の健康な女性に多く、家族歴がある場合があります。症状は軽く、しばしば自然に改善してきます。
レイノー症候群(二次性レイノー現象)
- 様々な病気などに伴ってレイノー現象が発生するものを指します。その大部分は全身性強皮症や全身性エリテマトーデスなど膠原病です。
どんな病気がレイノー症候群の原因になるの?
- 極めて様々な病気がレイノー症候群の原因となりえます。以下、レイノー現象の原因とその典型的な症状を記載させていただきました。
全身性強皮症
- 手指から皮膚硬化が始まり、徐々に体の中心(近位側)に拡大してきます。
- 皮膚科あるいは膠原病専門外来の受診が望ましいです。
全身性エリテマトーデス
- 発熱、関節痛、蝶形紅斑が3大初発症状ですが、しばしば倦怠感、疲労感、体重減少を伴います。
- 膠原病専門外来の受診が望ましいです。
混合性結合組織病
- 手指の腫脹が多く見られ、関節痛、皮膚硬化、筋力低下などの症状があります。
- 膠原病専門外来の受診が望ましいです。
多発性筋炎・皮膚筋炎
- 筋痛、筋力低下が起こり、皮膚筋炎の場合にはヘリオトロープ疹やゴットロン徴候が見られます。
- 膠原病専門外来の受診が望ましいです。
シェーグレン症候群
- 眼・口の乾燥が主な症状ですが、発熱、関節痛など様々な腺外症状を伴うことがあります。
- 膠原病専門外来の受診が望ましいです。
クリオグロブリン血症
- 1型では冷たい刺激によってレイノー現象、指趾潰瘍などの症状が起こります。
- 血液内科の受診を検討します。
甲状腺機能低下症
- 疲労感、無気力、体重増加、むくみ、便秘、皮膚乾燥など様々な症状が起こります。
- 内分泌内科の受診を行います。
動脈硬化症
- 高血圧、高脂血症、喫煙、肥満、糖尿病の人に多く、無症状で進行します。進行すると手足が冷たくなったり、歩くと足が痛むようになります。
- 内科の受診が必要です。
胸郭出口症候群
- 腕を挙げる動作で上肢のしびれ、肩・腕などの痛みが生じます。
- 神経内科の受診を検討します。
手根管症候群
- 特に明け方に人差し指、中指、親指にしびれ、痛みが生じます。
- 整形外科の受診を検討します。
その他の原因
- 傍腫瘍症候群、POEMS症候群、血栓症、血管炎、振動、凍瘡、精神的ストレス、薬剤、線維筋痛症などでレイノー現象を起こすことがあります。
ガイドラインなど追加の情報を手に入れるには?
- より詳しい情報について、ガイドラインのように公式なものは今のところありません。しかしレイノー現象の原因となる病気のガイドラインや情報はいくつかありますので、下記をご参照ください。
- 全身性強皮症診療ガイドライン
- http://derma.w3.kanazawa-u.ac.jp/SSc/pamphret/pdf/guidelines.pdf
- 難病情報センター「全身性エリテマトーデス」
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/215
- 難病情報センター「混合性結合組織病」
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/264