リウマチ性多発筋痛症:どんな病気?検査や治療は?完治できるの?
更新日:2020/11/11
- 埼玉医科大学総合医療センター リウマチ・膠原病内科の天野 宏一と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると原因がわからない痛みで「リウマチ性多発筋痛症」と診断され、どんな病気かと思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- リウマチ性多発筋痛症とは、突然、体の中心部に近いところの筋肉痛が起こる病気です。
- 50歳以上の方に多いです。
- 治療は、ステロイドというお薬を飲みます。副作用があるお薬なので、主治医の指示にしたがってきちんと服薬をしてください。
リウマチ性多発筋痛症は、どんな病気?
- 50歳以上(平均70歳前後)の方に、急に肩や腰など体の中心に近い部分の筋肉痛が起こる、原因不明の病気です。
- 痛みのせいで寝返りが打てない、起き上がれない、椅子から立ち上がれない、などの症状があります。多くは、熱やだるさ、食欲がないといった症状も出るため、かぜと間違えられることがあります。
リウマチ性多発筋痛症と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- リウマチ性多発筋痛症かも、と思ったら、リウマチ科か膠原病科を受診してください。
- 近くにこれらの診療科がない場合、整形外科の先生の中には、この病気をわかる先生が多いので受診すると良いと思います。
どんな治療があるの?
- ステロイドというお薬を使います。この病気ではステロイドがよく効きます。
- 症状をくり返さないために、お薬の量は少しずつ減らしていきます。
コラム:ステロイドの使い方
- ステロイドとしては、プレドニンなどが使われます。
- 2〜3日で劇的に症状が改善します。
- 少量(プレドニンなら1日10〜15 mg)で開始し、再発しないようにゆっくり(2週間で1〜2mgずつくらいの速さで)減量するのがコツです。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
ステロイドの副作用
- この病気になりやすい高齢の方にとって重要な副作用は、骨粗鬆症です。ステロイドの働きによって、骨がもろくなってしまうためです。
- ほかにも、糖尿病の悪化、コレステロールの上昇、高血圧、眼圧の上昇、白内障など多彩な副作用が起こりえます。
- もともと糖尿病や高血圧がある方、コレステロールが高い方、眼圧が高い方などは、持病が悪化しないよう、体調にご注意いただく必要があります。
もっと知りたい! リウマチ性多発筋痛症のこと
関節リウマチとどう違うの?
- よく「リウマチ」と言われているのは関節リウマチのことで、手首や指、足の指など小さい関節に炎症が起こり、数か月かけて関節が太くなったり指が曲がったりする病気です。
- リウマチ性多発筋痛症は、肩や腰、上腕や大腿部の筋肉の痛みが主で、症状も1〜2週で悪化します。
- 関節リウマチでは血液検査でリウマトイド因子や抗CCP抗体が見られますが、リウマチ性多発筋痛症では原則としてこれらは見られません。
リウマチ性多発筋痛症は他にどんな問題があるの?
- 動脈に炎症が起こることがあります(巨細胞性動脈炎といいます)。主に首から上の動脈がやられ、血管が狭くなって血流が悪くなります。こめかみの所を流れる動脈に起こると頭が痛くなり、ほおの動脈では食べ物を噛んでいる時に痛みが出ます。また、目の近くでは視野が悪くなり、最悪の場合は失明してしまうこともあります。
- もう一つの問題としては、がんや感染症が隠れていることがあることです。がんがあると、リウマチ性多発筋痛症に似た症状が出ることがあります。ステロイドの効きが悪い場合などではとくに、全身の検査をした方がよいと思います。