ポリオ:どんな病気？予防接種を受けるべき時期や副作用は？

• 小児科専門医の小川 英輝と申します。
• このページに来ていただいたかたは、もしかすると「お子さんが小児まひになってしまった？」と思って不安を感じておられるかもしれません。
• いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
• 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。

ポリオは、どんな病気？

• ポリオ（＝急性灰白髄炎）は、体に麻痺が生じる病気です。
• かつては「小児まひ」と呼ばれていて、ポリオウイルスに感染することで発症します。
• 特別な治療法はありませんが、ワクチン接種によって予防できる病気です。
• 日本では1950〜1960年代に流行していましたが、1981年を最後に根絶されました。
• ただし世界的には、パキスタン、アフガニスタン、ナイジェリアで、いまだに「小児まひ」の発生が続いています。

ポリオと思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの？医療機関の選び方は？

• 下記の場合はすぐに病院を受診することをおすすめします。

医療機関への受診がおすすめな場合

• パキスタン、アフガニスタン、ナイジェリアへ旅行に行った後に、熱や筋力低下など症状が現れた場合
• 経口ポリオ生ワクチンを接種した後1ヶ月以内に、熱や筋力低下などの症状が現れた場合

ポリオになりやすいのはどんな人？原因は？

• ポリオは5歳未満のお子さんが感染することが多いといわれています。
• ウイルスに感染しても、90〜95％の人は症状がなく、自然に治ってしまいます。
• 原因は感染者の便による感染です。
• ポリオウイルスは感染すると、腸の中でウイルスが分裂して増え、糞便に排泄されます。そのため、下水の整備が進んでいない不衛生な環境などで、それを介して感染が広がる可能性があります。

どんな症状がでるの？

• ポリオウイルスに感染すると、下記のような症状が現れます。

ポリオの症状

• 発熱（数日間）
• 突然に足の筋力の低下
• 筋肉が衰えて縮む

• 筋力がなくなっても、触られている感覚や温度などの感覚はわかります。

お医者さんに行ったらどんな検査をするの？

• ポリオウイルスは日本では根絶されたので、ポリオが疑われる患者さんが発生したときは、医師が保健所に相談し、検査は行政機関で行うことになっています。
• 検査としては、糞便中のポリオウイルスの有無を調べます。

どんな治療があるの？

• 残念ながら、ポリオウイルスをやっつける薬はありません。
• 症状をやわらげてあげるような薬を使ったり、処置を行ったりします。
• 症状が進行すると、自力で呼吸することが難しくなってしまうことがあります。そのときには、人工呼吸器が必要になることがあります。

うつるの？自分の予防のためにできることは？

• 便を介して人から人へうつります。
• 発症した場合、有効な治療はないので、ワクチン接種で予防してあげることがとても大事です。
• 不活化ポリオワクチンは、4種混合ワクチンに含まれています。
• 4種混合ワクチンは生後3か月から接種が始まりますので、忘れずに接種をするように心がけてください。

治るの？治るとしたらどのくらいで治るの？

• 残念ながら、治ることはありません。
• 1年が経っても麻痺などがよくならない場合、その麻痺は一生涯続く可能性があります。
• またポリオは、麻痺が残るだけでなく、命に関わる感染症でもあります。

追加の情報を手に入れるには？

• ポリオ（小児まひ）に関しては、下記のページを見るとよいです。
• 厚生労働省のサイト
• https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/polio/l
• 海外での流行状況の確認として、厚生労働省検疫所のサイト
• https://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name09.html