口内炎:原因は?治し方は?薬はあるの?ビタミンは効く?直らない時どうすればいい?
更新日:2020/11/11
- 歯科医師の八岡 和歌子と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると口内炎ができやすく、不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 口内炎の口の中や唇にできる炎症のことで、その原因や症状は様々です。
- 歯磨きやうがいで口の中を清潔に保つことで、痛い症状が楽になったり、治るのが早くなったりします。
- 口内炎はふつう1~2週間で自然に治りますが、なかなか治らずに長引いたり、全身にも症状がある時は、他の病気が潜んでいることがあります。早めに医療機関を受診していただくと安心です。
口内炎は、どんな病気?
- 口内炎とは、口の中や唇にできる炎症で、その原因や症状は様々です。
- ただし、1~2週間たっても口内炎が治らない場合や、熱がでる、皮膚にぶつぶつがでているなど全身にも症状がある場合は、他の病気が関わっている可能性もあります。
主な口内炎の原因と症状
- アフタ性口内炎:一般的によくみられる痛みのある口内炎で、直径数ミリの円型をしています。
- ウイルス(ヘルペスなど)が原因の口内炎:水ぶくれができます。
- カビ(真菌、口腔カンジダ症)が原因の口内炎:白い苔のようなものがついたり、赤くなったりすることがあります。
口内炎ができたと思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 下記のような場合は、医療機関を受診してください。
かかりつけ医への受診がおすすめの場合
- 1~2週間たっても治らない
- 治ってもまたすぐにできる
- 熱や皮膚のぶつぶつなど、他の症状もある
- 口の外にも広がって、たくさんできている
- 入れ歯や尖った歯や詰め物が口内炎に当たって刺激になっている
- 痛みが強く、歯磨きや食事ができない
何科を受診するの?
- 歯科、口腔外科、耳鼻咽喉科などで診察をします。
- 他の病気も疑われる場合は、内科や皮膚科を受診してください。症状によって、かかりつけの医師から専門機関を紹介してもらうこともあります。
- お子さんの場合は、小児科を受診してください。
受診前によくなるために自分でできることは?
- 口内炎が早くよくなるためには下記のことを行うとよいでしょう。
口内炎がよくなるためにできること
- 歯磨きやうがいを行い、入れ歯をきれいにして、口の中を清潔に保つ
- 歯磨き粉がしみる場合は、一時的に使うのをやめるか、刺激が少ない製品に変える
- 歯ブラシが刺激になる場合は、毛が軟らかくヘッドの小さいものに変える
- 入れ歯が口内炎に当たって痛い場合は、落ち着くまで入れ歯を使う時間を短くする
- 休息や睡眠を十分にとる
- 栄養バランスに気を付け、特にビタミンB群をとる
口内炎になりやすいのはどんな人?原因は?
- 一般的な口内炎は、ストレスや疲れによって免疫力が低下している方、栄養が十分にとれていない方、口の中が汚れている方、合わない入れ歯や詰め物がある方、歯が粘膜に当たって粘膜を咬んでしまいやすい方に起こりやすいです。
- 口内炎の原因は様々です。細菌・ウイルス・カビによる感染、傷や火傷、薬の副作用、アレルギー、性感染症、抗がん剤や口・のどの癌の放射線治療による副作用などが考えられます。
どんな症状がでるの?
- 口内炎になると、次のような症状があらわれます。
口内炎の症状
- 口の粘膜がただれる、赤い、水ぶくれができる、白くなる
- 痛みがある。特に触ると痛い
- 発熱などの全身の症状
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 口内炎は、見た目や今までの経過、症状などで診断することが多いです。
- しかし、全身の病気などが疑われる場合などは、症状に合わせた検査を行うことがあります。
口内炎に関する検査
- 培養検査:口内炎の周りの組織を採って、カビや細菌が感染していないかを調べます。
- 血液検査:ウイルス感染が疑われる際は、血液に含まれるウイルスに対する抗体の数を調べることがあります。
- 病理検査:治りにくい口内炎や、免疫にかかわるベーチェット病などの病気が疑われる場合は、口内炎の組織の一部を採って調べます。
どんな治療があるの?
- 通常、口内炎は自然に治るのを待つ場合が多いです。
- 痛みが強いなど日常生活に支障が出る場合は、以下のような治療方法もあります。お医者さんにご相談ください。
口内炎の治療
- ステロイドの塗り薬や貼り薬
- 抗ウイルス薬(ウイルスの感染が疑われる場合)
- 抗真菌薬(カビの感染が疑われる場合)
- レーザー治療
- ビタミン剤
- 痛み止めの飲み薬や、痛み止めの入ったうがい薬や塗り薬
- 口の中の専門的な清掃
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?
- お医者さんにかかったのに口内炎が治らない、さらに悪化した、何度も口内炎ができるといった場合は、もういちど医療機関を受診してください。
食事や生活で気をつけることは?
- 食事は刺激物を避け、やわらかめの物を選ぶとよいでしょう。
- 歯磨きやうがいを行い、口の中を清潔に保ってください。
- ステロイドの軟膏を使う時は、特に口の中を清潔にすることを心掛けてください。口の中が汚れている状態でステロイドの軟膏を使用していると、口の中にカビ(真菌)が繁殖しやすくなります。
予防のためにできることは?
口の中を清潔に保つ
- 歯磨きやうがいを行って、口の中を清潔に保ってください。
- また、乾燥していると口内炎ができやすくなるので、うがいをしたり、水分をとったりして、口の中を潤してください。
定期的に歯医者さんを受診する
- 歯の検診やクリーニングを受けていただくとよいでしょう。
- 合わない入れ歯や歯の詰め物があれば、早めに調整をしてもらってください。
疲れやストレスを解消する
- 十分な休息や睡眠をとるようにしてください。
- 栄養バランスのよい食事をとってください。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 口内炎は通常、1~2週間で治ります。
- ただし、口内炎に口の中の細菌が感染すると、症状が長引くことがあります。
- また、他の病気が関わっている場合は、症状がなかなか良くならなかったり、むしろ悪くなることもあります。
追加の情報を手に入れるには?
- 下記のページが参考になります。
- 口腔外科学会のサイト
- https://www.jsoms.or.jp/public/soudan/kouku
もっと知りたい! 口内炎
口の中にできるがんと口内炎の違いは?
- 口の中にできるがんは、舌の縁にできることが多いです。口内炎と違い、はじめは痛くない場合もあります。また、しこりが見られることもあります。
- 口の中にできるがんは、口内炎と似ていることもあります。なかなか口内炎が治らない場合は、がんの可能性もありますので、専門機関を受診されることをおすすめします。