片頭痛:どんな痛みや症状がでるの?原因は?治療は?予防できるの?
更新日:2020/11/11
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分の頭痛が片頭痛ではないか?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 片頭痛は、ズキンズキンと脈打つ痛みが、頭の左右片方に生じることが多いです。
- 頭の痛みと共に、吐き気、吐く、光や音に敏感になる、などの症状を伴います。
- 片頭痛の痛みを和らげる治療薬として、トリプタン系薬剤などのお薬を使った治療があります。
- 片頭痛に対し鎮痛薬を使いすぎると、薬物使用過多による頭痛が起こってきますので、鎮痛薬などは1ヵ月に10日以上使用しないよう注意することが大切です。
片頭痛は、どんな病気?
- 片頭痛は、ズキンズキンと脈打つ痛みが特徴的な頭の痛みです。この痛みは、頭の左右片方に生じることが多いです。
- 月に1~2回程度、片頭痛発作を繰り返す方が多く、少ない人では年数回、多い人では週に1回程度おこることがあります。
- 片頭痛発作による痛みの程度は中等度から重度とされて、患者さんの日常の活動や仕事にかなりの支障をきたす病気です。
片頭痛と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 頭痛を繰り返し感じていて、日常生活に支障をきたす方などは、お困りの方は病院へ行ってください。
- 頭痛では、脳出血やくも膜下出血などの重大な脳の病気が隠れていることもありますので、心配な方は病院を受診されることをおすすめします。
- 脳の専門医がいる、脳神経内科や脳神経外科を受診するのがおすすめです。
受診前によくなるために自分でできることは?)
- ご自分でできることは、片頭痛を感じたら、暗く静かな場所で横になって安静にすること、冷却シートなどで頭を冷やすことなどが効果的です。
片頭痛になりやすいのはどんな人?原因は?
- 片頭痛になりやすい方は、20~40歳代の女性といわれています。
- 片頭痛の原因は残念ながら、いまだによくわかっていません。
- 最近の研究からは、頭の血管に分布している三叉神経(さんさしんけい)という神経の反応が高まっていることが関係しているのではないかと考えられています。
どんな症状がでるの?
- 片頭痛では、以下のような症状が出ます。
症状
- ズキンズキンと脈打つような頭の痛み※:4~72時間続きます。
- 吐き気
- 吐く
- 光や音、においに過敏になる
- 閃輝暗点(せんきあんてん):頭痛の起こる前に、視野の中心が見えにくくなり、その周りにキラキラ輝くジグザクの形が現れて徐々に大きくなる視野の異常です。60分以内に消えます。閃輝暗点は片頭痛患者さんの20~30%くらいにみられ、このような片頭痛は「前兆のある片頭痛」と呼ばれます。
※頭痛は、階段を上る、おじぎをするなどの動作により、強まることがあります。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 病院に行ったらまず、頭痛の症状を細かく聞かれます。医師に、自分の頭痛の特徴として、痛む部位、どんな痛みか、痛みの続く時間、頭痛の起こる頻度などを伝えましょう。また頭痛のときに、頭痛のほかにおこる症状があれば医師にお話してください。
- その後、頭痛が片頭痛以外の脳の病気ではないかを確認するために、血液検査、頭のCT、頭のMRIなどの検査を行います。
どんな治療があるの?
- 片頭痛の治療は、頭痛が起きているときに頭痛を和らげるための治療(急性期治療)と、頭痛を予防する治療(予防治療)の二つに分けられます。
急性期治療
- 片頭痛をなるべく速く改善させるための治療です。
- 急性期治療では、トリプタン製剤を使います。トリプタン製剤の1つであるスマトリプタンは、飲み薬のほか、注射や鼻につける方法もあります。
- その他、エルゴタミン製剤や痛み止め(NSAIDsやアセトアミノフェン)を使うこともあります。
予防治療
- 片頭痛発作を予防する治療法です。
- 予防治療では、塩酸ロメリジンなどのカルシウム拮抗薬のほか、β 遮断薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、漢方薬などがあります。
- また、ストレスや疲労を避ける、適度な運動を行う、生活習慣を見直す、飲酒などを避けるといったことも片頭痛の予防につながります。
- 予防治療によって、頭痛の起こる回数や、痛みの強さや続く時間を改善したり、急性期治療薬の効果を高めたりします。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?食事や生活で気をつけることは?治療の副作用は?
- 治療後に注意することとして、痛み止めを使いすぎることで「薬物使用過多による頭痛」をおこすことがあるため、痛み止めを使いすぎないようにしてください。
- 薬物使用過多による頭痛になると、頭痛がほぼ毎日のように起こり、一度なると治療が難しいといわれています。
- このため、痛み止めなどは1ヵ月に10日以上使用しないよう十分に注意するとともに、1ヵ月に使用した痛み止めの使用日数を記録しておくと役に立ちます。
予防のためにできることは?
- 個人差はありますが、片頭痛は以下のような食品や環境により引き起こされることが知られています。このため可能な場合は、これらを避けることで予防となる場合があります。
片頭痛を引き起こしうるもの
- アルコール
- チョコレート
- 乳製品(チーズ)
- ストレス
- 精神的緊張
- 睡眠不足
- 睡眠過剰
- 疲労
- 食事を抜く
- 月経
- 天候の変化
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 片頭痛の患者さんの中には、治療を続けることで治る方もいらっしゃいます。
- 片頭痛の一回の発作持続時間は4~72時間とされています。このため、一度起こっても最長3日間で頭痛はよくなりますが、片頭痛は繰り返しおこる病気ですのでしばらくしてまたおこります。
追加の情報を手に入れるには?
- 日本頭痛学会のホームページには「一般の方へ」のサイトがあり、片頭痛に関しても解説があります。また自分の頭痛の状態を記録する頭痛ダイアリーもダウンロードできます。
- http://www.jhsnet.net/
もっと知りたい! 片頭痛のこと
片頭痛の予兆とは
- 片頭痛では、頭痛発作が始まる前に体調の変化を自覚する人が多く、予兆とよばれます。
- 予兆は片頭痛発作の数時間~1日または2日前に出現することが多いとされています。
- 症状としては,精神的高まり,あくび,過睡眠,光または音に対する過敏性,食欲亢進または低下,疲労感,集中困難,頸部のこりなどがあります。