尿路結石:原因は?症状は?食事との関係は?検査や治療は?予防できる?
更新日:2020/11/11
- 泌尿器科専門医の安井孝周です。
- このページに来られた方は、「自分が尿路結石になってしまった?」あるいは「尿路結石の激痛があったけどこうれからどうなるのか?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
- 尿路結石は、どんな病気?
- 尿路結石と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 受診前によくなるために自分でできることは?
- 尿路結石になりやすいのはどんな人?原因は?
- どんな症状がでるの?
- お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- どんな治療があるの?
- お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
- 治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 予防のためにできることは?
- 追加の情報を手に入れるには?
- 結石は何でできているの?
- 手術方法はどんな方法があるの?
- 食生活はどう気を付けたらいいの?
- 治療後、すぐ仕事に復帰してもいいの?
- 尿路結石から急性腎盂腎炎になったらどうなるの?
- 尿路結石を繰り返すとどうなるの?
まとめ
- 尿路結石(にょうろけっせき)とは、おしっこの通り道である、腎臓、尿管、膀胱、尿道に結石(けっせき)と呼ばれる石のようなものが生じ、様々な症状が出る病気です。
- 疝痛発作(せんつうほっさ)と言われる背中の片側や、わき腹が強く痛む症状が特徴的です。
- お腹の超音波検査、レントゲン検査、CT検査などの画像検査で診断されます。
- 痛みがひどい場合は、お薬で痛みを抑えます。
- 結石は自然におしっこと一緒に出てくることがほとんどですが、出てこない場合は手術が必要になることもあります。
- 尿路結石は繰り返さないために、結石の成分から原因を探ることが重要です。結石が出てきた場合には、結石をお医者さんに提出してください。
尿路結石は、どんな病気?
- 尿路結石とは、おしっこの通り道である、腎臓(じんぞう;おしっこを作っているところ)、尿管(にょうかん;腎臓で作られたおしっこを膀胱まで運ぶ管)、膀胱(ぼうこう;おしっこを一時的に溜める場所)、尿道(にょうどう;膀胱からおしっこを外に出す管)に結石と呼ばれる石のようなものが生じ、様々な症状が出る病気です。
- 結石が生じる場所によって、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と呼ばれます。その中でも腎結石と尿管結石を合わせて「上部尿路結石」、膀胱結石と尿道結石を合わせて「下部尿路結石」と呼んでいます。
尿路結石と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 背中の片側や脇腹に強い痛みを感じるとき、おしっこに血が混じっていたとき、健診などで尿路結石を指摘されたときは、泌尿器科のある病院にご相談ください。
- 特に、背中や脇腹の痛みがお薬でも改善しないときは、救急指定病院に行っていただく必要があります。
受診前によくなるために自分でできることは?
- 受診前にご自分でできることは、結石をおしっこと一緒に出すために、積極的にお水を飲み、おしっこの量を増やしていただくことです。
- すでに尿路結石と診断されている方で、背中や脇腹に強い痛みを感じる場合は、痛み止めをお使いください。
尿路結石になりやすいのはどんな人?原因は?
- 上部尿路結石は、男性で40歳代~60歳代に、女性で50歳代~60歳代が多いと言われています。しかし、どの年齢でも起こりうる病気で、特に男性のほうがなりやすいと言われています。
- おしっこの量が少なくなり、おしっこが濃くなると、結石ができやすくなります。
- 食生活の影響を大きく受けるため、食生活が乱れている方は、結石ができやすくなります。
どんな症状がでるの?
- 主な症状は以下の通りです。
主な症状
- 背中や脇腹の側に強い痛みを感じる
- 痛みとともに、冷や汗が出る
- 痛みとともに、お腹が張る、気持ち悪くなる
- おしっこに頻繁に行きたくなる
- おしっこに血が混じる
- おしっこと一緒に石のようなものが出てきた
※この他に、尿路結石によって、菌が腎臓に感染すると、熱が出たり、背中や腰が痛くなったりします。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- お医者さんに行ったら、超⾳波検査、X線検査、CT検査で結⽯があるか確認します。さらに尿検査、⾎液検査で尿路結⽯ができる原因を確認します。
どんな治療があるの?
- 痛みがある場合には、まずお薬で痛みを和らげます。痛みがおさまった後で、結石をおしっこと一緒に出すことを試み、出なかった場合には手術で結石を取り除きます。
尿路結石の治療
- 痛みに対する治療:NSAIDs(非ステロイド性鎮痛剤)という坐薬を肛門から入れていただくと、すぐに痛みが和らぎます。
- 結石をおしっこと一緒に出す治療:お水を積極的に飲み、結石が外に出ることを促すお薬を使います。
- 手術で取り除く治療:体外式衝撃結石破砕術(ESWL)、経尿道的尿管破砕術(TUL)、経皮的腎砕石術(PNL)という3つの手術方法があります。
※このほかに、尿路結石の成分が尿酸やシスチンの場合は、お薬により結石を溶かす治療もあります。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
- お薬で痛みが治まらない場合は、他の病気による痛みかもしれないのでかかりつけの病院にご相談ください。
- 熱が出た場合は、急性腎盂腎炎という病気を起こしている場合がありますので、すぐにかかりつけの病院にご相談ください。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 4mm以下の結石の95%は、40日以内におしっこと一緒に出てくるといわれています。尿路結石の大きさが大きいほど、結石がおしっこと一緒に出るまでに時間がかかります。
- 出てこない場合は手術を行います。
予防のためにできることは?
- 予防のためにできることは、以下の通りです。ただ、結石の成分ごとに予防法が異なるので、結石の成分を確認し、お医者さんの指示に従ってください。
予防のためにできること
- 水を積極的に飲む
- 食生活に気を付ける
- 結石が体の中に残っている場合は、定期的に病院で画像検査を行い、結石の場所を確認する
※一度治っても繰り返しなりやすい病気なので、予防がとても大切です。
追加の情報を手に入れるには?
- 尿路結石症診療ガイドラインがMinds(公益財団法人日本医療機能評価機構)のHPでみることができます。
- https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0022/G0000634/0022
もっと知りたい! 尿路結石のこと
結石は何でできているの?
- 結石の成分は、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムアンモニウム、尿酸、シスチンの5種類に大きく分けられます。最も多いのはシュウ酸カルシウム結石です。
手術方法はどんな方法があるの?
- 手術方法は以下の3つの方法があります。
- 体外衝撃波結石破砕術(ESWL:extracorporeal shock wave lithotripsy):X線や超音波で結石に照準を合わせ、衝撃波エネルギーで体の中にある結石を砕きます。麻酔を使わずにできる手術です。
- 経尿道的尿管砕石術(TUL:transurethral ureterolithotripsy):尿道から機械を入れ、尿管や腎臓の中まで進め、レーザーなどで結石を砕き、外へ取り出します。麻酔が必要な手術です。
- 経皮的腎砕石術(PNL:percutaneous nephrolithotripsy):皮膚から腎臓の中まで穴をあけ、その穴から機械をいれて結石を砕き外へ取り出します。麻酔が必要な手術です。TULと同時に行われることもあります。
食生活はどう気を付けたらいいの?
- 食事では、動物性タンパクや塩分の取りすぎに注意し、シュウ酸、プリン体の含まれる食事を避けてください。
- また、カルシウムを取ることも予防につながると言われています。
治療後、すぐ仕事に復帰してもいいの?
- 痛みがおさまれば通常の仕事はできるようになりますが、結石がおしっこと一緒に出てくるまでは、また痛みが生じる可能性が高いため、注意が必要です。
尿路結石から急性腎盂腎炎になったらどうなるの?
- 尿路結石と一緒に急性腎盂腎炎になってしまうと、腎臓に管を入れて、おしっこを出すこともあります。
尿路結石を繰り返すとどうなるの?
- 何度も繰り返すとおしっこの通り道が塞がり、腎臓の機能が低下し、全く機能しなくなることもあります。
- 尿路結石を繰り返す方が全体の約50%もいらっしゃいます。繰り返さないためにも予防がとても重要です。