黄疸:どんな状態?原因は?肝臓の病気なの?検査や治療は?
更新日:2020/11/11
はじめに
- 肝臓専門医の加藤 直也と申します。
- とつぜん黄疸になったり、ひどい黄疸が何日も続いたりすると、心配になりますよね。何か悪い原因で起こっているのではないか?と心配されたり、「病院に行ったほうが良いかな?」と不安になられたりするかもしれません。
- そこでこのページでは、黄疸の一般的な原因や、ご自身での適切な対処方法、医療機関を受診する際の目安などについて役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「知ってほしいけどあまり知られていないこと」などについて記載をさせていただいています。
目次
まとめ
- 黄疸の原因はさまざまです。痛みや発熱が一緒に見られることもありますが、ほかに症状がないこともあります。
- 尿の色が濃くなったり、便の色が薄くなったりすることもあります。
- 白目の部分が橙色になったり、皮膚がかゆくなることもあります。
- 黄疸の診断は血液検査でできますが、原因を調べるには超音波検査やCT検査が必要になることが多く、医療機関の受診が必要です。
黄疸ってなに?どんな症状?
- 黄疸とは、血液の中のビリルビンという物質が増加し、皮膚や目の白いところが橙色~褐色に見える病気です。
- ビリルビンは、赤血球の中身から作られます。赤血球中のヘモグロビンという物質が脾臓などでビリルビンになります。そして血液で運ばれて肝臓に行きます。肝臓で形を変えて、多くは胆汁のもととなり腸に出され、うんちといっしょに体の外に出されます。
- ビリルビンが体の外に出されるまでに関係する臓器はたくさんあります。よってそのうち一つでも問題があると黄疸が出ます。
黄疸と一緒に出る症状
- お腹の痛み
- 発熱
- 皮膚のかゆみ
- だるさ
主な原因とその説明
総胆管結石
- 肝臓から小腸に胆汁という液体を出す管(総胆管)に石ができることです。この石を胆石といいます。
- 胆石が胆管の出口付近の狭くなっている部分にはまってしまい、胆汁の流れがせき止められてしまうとビリルビンが体の外に出せなくなって、黄疸が出ます。
- さむけ、発熱やお腹の痛みが一緒に見られることが多いです。早めに医療機関の受診をしてください。
急性肝炎・肝硬変
- 肝臓のビリルビンを処理する力が低下し、血液中のビリルビンの濃度が上がるため黄疸となります。
- 急性肝炎は、アルコールや、B型肝炎ウイルスや免疫系の異常によって起こることもあります。
- だるさや食事がとれなくなることもあり、医療機関の受診が必要です。
膵癌(膵頭部癌)
- 膵癌は、消化液を作ったり血液の中の糖の調節をするホルモンを作ったりするすい臓にできる癌です。
- すい臓は15cmほどの長さのある細長い臓器ですが、癌ができる場所によっては黄疸がでることがあります。
- 胆汁の通り道や、出口である十二指腸乳頭部という場所に癌ができても黄疸が出ることがあります。
- 背中の痛みや体重減少、⽪膚のかゆみが⾒られることも多いです。
こんな症状があったら救急車を!
- 以下のような症状がある場合にはすぐに受診が望まれます。救急車で医療機関を受診することも検討して下さい。
- 特にCT検査ができる医療機関で診てもらう必要があります。
すぐに受診してほしい場合
- 熱や寒気を同時に認める
- お腹の痛みがひどくなる
- 吐き気がある
- 意識が遠のいている
- 以前胆石があると指摘されたことがある
黄疸に対して、よくなるために自分でできることは?
- 5%程度の人は、もともとビリルビンの値が高めで推移することがあります(体質性黄疸)。
- しかし、⻩疸があると何らかの病気が隠れていることが多く、医療機関での詳しい検査が必要です。
- おしっこの色が濃くなったり、うんちの色が薄くなったりすることは自分で気がつくことができます。
- 他人に「目が黄色い」と言われてから黄疸が判明することも多いです。
こんな症状があったらかかりつけ医を受診しましょう
- 以下の症状があればかかりつけの医師に診てもらって下さい。
かかりつけ医に診てもらってほしい場合
- お腹の痛みがある
- 発熱がある
- 水分をとっているのにおしっこが茶色に近くなった
- 白目が黄色くなった
お医者さんでおこなわれることは?
- 人の皮膚の色はもともと人それぞれですので、白目の部分をまず診察します。
- お腹の痛みや発熱、体重減少について問診を行います。
- 血液検査で黄疸の程度を調べます。肝臓や炎症の数値についても一緒に調べることが多いです。
- おなかの超音波検査を行います。造影剤というお薬を使ったCTやMRIの検査を行うことも多いです。
もっと知りたい! 黄疸
ほかにどんな病気のことが考えられる?
- 以下にあげるように数多くの病気が黄疸の原因になります。黄疸の原因はいろいろなものがあり、医療機関の受診が必要です。
- 以下、黄疸の原因とその典型的な症状を記載させていただきました。
- 詳しくは該当ページをご覧ください。
黄疸の原因とその典型的な症状
- 総胆管結石性胆管炎:発熱、お腹の痛み、意識障害
- 急性肝炎:全身のだるさ、食欲低下
- 肝硬変:全身のだるさ、あしのむくみ、お腹の張った感じ、意識障害
- 膵頭部癌、胆管癌、自己免疫性膵炎:背中の痛み、体重減少
- 薬剤性肝障害:新しいお薬やサプリメントの使用
- アルコール性肝障害・肝硬変
- 体質性黄疸
- 溶血性黄疸:赤ちゃんの黄疸