脳脊髄液減少症:どんな病気?難病なの?検査は?治療は?完治できるの?
更新日:2020/11/11
- 脳神経外科の登坂 雅彦と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分が脳脊髄液減少症かもしれない?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 脳脊髄液減少症は、脳や脊髄のまわりを流れる液が、脊髄のどこかからもれて量が減り、さまざまな症状が出る病気です。
- 女性に多く、40歳前後に最も多い病気です。
- 脳脊髄液減少症になると頭痛、くびの痛み、めまい、耳鳴り、聴力が下がる、吐き気・おう吐、目がぼやける、まぶしく感じる、だるいなどの症状が出ます。
脳脊髄液減少症は、どんな病気?
脳脊髄液減少症になりやすいのはどんな人?原因は?
- 女性に多く、男性の2倍なりやすいといわれています。
- 40歳前後に最も多い病気です。
- なぜ脳脊髄液がもれてしまうのか、原因は完全にはわかっていません。
どんな症状がでるの?
- 脳脊髄液減少症にかかった場合、下記のような症状が出ます。
脳脊髄液減少症の症状
- 起き上がると頭が痛くなる
- くびが痛い
- めまい
- 耳鳴り、聴力の低下
- はき気、おう吐
- 目がぼやける、まぶしく感じる
- だるい
- 体を起こしたときに症状が出ることが特徴です。
- 寝ていると症状はなくなり、起きると15分以内に頭痛やめまい、耳鳴り、悪心、目のぼやけ感などの症状が悪化します。
- これらの症状は、体をひねったり激しく咳きこんだりした後などから始まることがありますが、とくにきっかけがなく徐々に出る方もいます。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 頭のMRI検査:脳脊髄液が減ったことにより、脳を取り囲む硬膜という膜が厚く見えるようになります。また、脳の血管や一部が広がっていることを確認します。
- 脳脊髄液がどこからもれているかを見る検査:脳脊髄液が見やすくなる物質を使って画像をとります。
どんな治療があるの?
- 2週間を目安にベッドで安静に過ごしていただきます。
- また、経口または点滴で十分な水分補給(普段の飲水量+1-2L/日)をします。
- ブラッドパッチ療法:脳脊髄液がもれてしまっている穴を、自分の“ブラッド”(血)で“パッチ”する(ふさぐ)治療です。血には、血を固める物質が含まれていて、穴をふさぐ蓋として利用しています。この治療は、厚生労働省が認める病院で、脳脊髄液がもれていることが確実に診断されている方のみが、保険で受けられます。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 一部の患者さんは、安静に過ごし水分をしっかり取ることで症状が落ち着きます。
- もれている場所がはっきりしている場合は、ブラッドパッチ療法が有効です。
- はっきりしない場合は、こしのあたりの背骨からブラッドパッチ療法を数回することがありますが、症状をぶり返す方もいます。
追加の情報を手に入れるには?
- 追加の情報は、下記のページを参考にしてください。
- 厚生労働省のサイト
- https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/nanbyo/100402-1.html