低体温:原因は?症状は?対処法は?病院受診のタイミングは?治療は?
更新日:2020/11/11
- 救急科専門医の桝井 良裕、救急科専攻医の森内麻美と申します。
- 震えがあって体温が低いと、心配になりますよね。何か悪い原因で起こっているのではないか?と心配されたり、「病院に行ったほうが良いかな?」と不安になられたりするかもしれません。
- そこでこのページでは、低体温とはなにか、一般的な原因や、ご自身での適切な対処方法、医療機関を受診する際の目安などについて役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「本当に知ってほしい」ことについて記載をさせていただいています。
目次
まとめ
- 低体温は体の中心部の体温が35℃以下の状態であり、ひどいと心臓と呼吸が止まります。
- 高齢者や子どもはなりやすいので注意が必要です。
- 低体温では、まずは体を温めることが大切です。
どんな症状?
- 低体温とは、体の中心部の体温が35℃以下の状態です。
- はじめは体温をあげようとして体がふるえます。
- 意識がぼーっとしていき、体を動かしにくくなり、だんだんふるえも止まります。
- 最後には心臓と呼吸が止まります。
主な原因
- 低体温は、まわりの環境が寒くて起こる場合と、病気で起こる場合があります。
- 環境:体温調節が弱い高齢者や、体表面積が大きい子ども
- 病気:ばい菌が入って悪さをしている場合や、ホルモンの病気、頭の病気などで体温調節ができない状態になっていることがあります。
こんな症状があったら救急車を!
- 体が異常に冷たく、呼びかけても反応がない場合は、すぐに救急車を呼んでください。
- 反応がある場合は、まずは暖かい場所に移動し、毛布などで体を温めます。
- 服が濡れていれば脱がせて、温かくて乾いた服に着替えさせます。
- それでもふるえが止まらないなど良くならないときは、救急車を呼んで病院に行ってください。
体温を測ったら、いつもより低くて心配。そんなときは?
- 今までお話してきた低体温とは、深部体温で35度以下の状態を言います。
- 深部体温は、ご家庭の体温計では測ることができません。深部体温は、ご家庭の体温計で出た体温より高いと考えてください。
- ご家庭の体温計でいつもより体温が低くても、ふるえが止まらないなどがなければ急いで病院を受診する必要はありません。
- 気になる場合はもう一度測ってみてください。正しく測れていないことがあります。
病院でおこなわれること
- 心臓と呼吸を確認し、止まっていたら命を助ける治療にうつります。
- 深部体温が何度か確認します。直腸か膀胱、食道に温度計を入れて測ります。
- 毛布や電気毛布で体を温めたり、温かい点滴をし温かい酸素を吸わせて体の内側から温めたりします。
医療従事者向けコラム:低体温療法
- 低体温と聞いて、「低体温療法」を思い浮かべる方がいらっしゃるかもしれません。
- 低体温療法とは、心肺停止蘇生後の患者に対し、24時間以上32~36℃を保って体温管理することで、脳の損傷を少なくする治療です。
気をつけることってあるの?
- 寒い環境に長い時間いないことが大切です
ガイドラインなど追加の情報を手に入れるには?
- より詳しい情報やガイドラインなどについては、下記のウェブサイトや書籍を参考にしてください。
- JRC蘇生ガイドライン2015
- https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0110/G0000855
- AHA ACLS EPマニュアル・リソーステキスト