正常圧水頭症:どんな病気?検査や治療は?リハビリの効果は?
更新日:2022/05/20
- 洛和ヴィライリオス 脳神経外科専門医の石川 正恒と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分が正常圧水頭症になってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 正常圧水頭症とは、脳の中央部や周りにある液体である脳脊髄液が増えて、脳を圧迫する病気です。
- 症状として、歩きづらい、物忘れ、おしっこがもれる、などが特徴的です。
- 頭を打つ大けがや、脳の血管が破れるくも膜下出血などの後に起こる場合と、原因ははっきりせずにお年寄りの方によく見られる場合があります。
- 治療として、脳にたまった液体を体の別のスペースに移す手術をします。
正常圧水頭症は、どんな病気?
- 正常圧水頭症とは、脳の中央部や周りにある液体である脳脊髄液が増えて、脳を圧迫する病気です。
- 頭を打つ大けがや、脳の血管が破れるくも膜下出血などの後に起こる場合と、原因ははっきりせずにお年寄りの方によく見られる場合に分けられます。
正常圧水頭症と思ったら、どの診療科にかかったらいいの?
- 正常圧水頭症かもしれないと思ったら、脳神経外科、神経内科、精神科や、もの忘れ外来などを受診するのがよいと思います。
正常圧水頭症になりやすいのはどんな人?原因は?
- 正常圧水頭症になりやすい方は、以下の通りです。
正常圧水頭症になりやすい方
- 頭を打つような大きなケガや、脳の血管が破れるくも膜下出血などを、半年以内に経験した方
- お年寄りの方
どんな症状がでるの?
- 正常圧水頭症では、歩行に関する症状、認知症のような症状、おしっこに関する症状3つが特徴的です。
歩行に関する症状
- 小刻みに歩く、すり足のような歩き方になる、方向転換できない、歩いたり立ったりするのに時間がかかる
認知症のような症状
- もの忘れ、ぼーっとしている、計算や買い物ができなくなった
おしっこに関する症状
- おしっこに行きたいと思うとがまんできず、もらしてしまうというタイプが多いです。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- お医者さんでは、頭のCT・MRI検査で、脳の状態や、脳の中央部や周りにある液体が多くたまっているかどうかを調べます(図1)。診断に有用な所見があっても無症状の方もおられるので、現在の症状が正常圧水頭症の症状かどうかの判断が重要になります。
- 正常圧水頭症の可能性が高いと判断した場合には、入院して、髄液排除試験(タップテスト)という検査をすることが多いです(図2)。この検査は、細い針を背骨に刺し、たまった液体を30ml外に出して、一時的に症状がよくなるか確かめるものです。検査で症状が良くなった場合は、手術による効果が期待できます。
図表1 ご高齢の方の脳萎縮(左)と特発性正常圧水頭症(右)のMRI画像
特発性正常圧水頭症(右)では、中央部にある脳室(V)の拡大や頭頂部の脳の溝が見えなくなる(楕円)、シルビウス裂(S)と呼ばれる脳外側部に髄液の増加がみられる所見があります。
図表2 髄液排除試験(タップテスト)