高LDLコレステロール血症:どんな症状?治療目標は?どんな治療を受けられるの?
更新日:2020/11/11
- 筑波大学医学医療系内分泌代謝・糖尿病内科の古田泰久、島野仁と申します。
- このページに来ていただいた方は、もしかするとご自身や家族などが「自分が高LDLコレステロール血症」と診断され、不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安や悩みを抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私たちが日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
まとめ
- 高LDLコレステロール血症とは、血液中の脂肪のうち、LDLコレステロールというものが多いことです。
- 血液中のLDLコレステロールが多いと、血管の壁を傷つけ、心臓や脳の血管の病気が起こりやすくなります。
- 朝食を食べない状態で、血液中のLDLコレステロールの量を測定し、140㎎/dl以上の場合に、高LDLコレステロール血症と診断されます。
- 治療には一次予防と二次予防があり、心臓や血管の病気をしたことがあるかどうかで変わります。
高LDLコレステロール血症とは?
- 高LDLコレステロール血症とは、血液中の脂肪のうち、LDLコレステロールというものが多いことです。
- 血液中のLDLコレステロールが多いと、血管の壁を傷つけ、心臓や脳の血管の病気が起こりやすくなります。
分類
体質、遺伝による場合
- 血液中のLDLコレステロールを増やしすぎる、または、分解できない体質の方がいます。しばしば遺伝し、家族内に2人以上同じ体質の方がいる場合があります。
生活習慣、病気、お薬による場合
- 脂肪の多い食事、運動不足、ホルモンの病気や、血液中の脂肪を増やす働きのあるお薬を飲んでいる場合に、高LDLコレステロール血症になることがあります。
どんな時に診断されるか?
- 朝食を食べない状態で、血液中のLDLコレステロールの量を測定し、140㎎/dl以上の場合に、高LDLコレステロール血症と診断されます。
どんな症状があるか?
- 基本的には無症状です。高LDLコレステロール血症が長く続けば、心臓や脳の血管の病気になる危険があります。
治療目標は?
- 心臓や血管の病気があるかないかで変わってきます。血液中のLDLコレステロールの目標値は次の通りです。
- 今までに心臓や血管の病気をしたことがない方では、一次予防といって、これから心臓・血管の病気が起こらないようにします。今までにかかった病気や年齢、血圧、現在のLDLコレステロール値などから3段階に分け、「低リスク:<160㎎/dl、中リスク:<140㎎/dl、高リスク:<120㎎/dl」を目標とします。
- 今までに心血管の病気をしたことがある場合は、再びならないように、二次予防で「<100㎎/dl」を目指します。
どのように治療を受けるか?
- 治療には一次予防と二次予防があります。
一次予防
- 運動:ウォーキング、ジョギング、水泳など、有酸素運動をします。
- 食事:一日総摂取エネルギー量:標準体重×25~30kcalになるようにします。栄養成分の割合:炭水化物60%、タンパク質20%、脂肪20%が目安です。
- 生活習慣の改善:たばこは血管を傷つけます。禁煙をがんばりましょう。
※標準体重=22×身長(m)2
二次予防
- お薬による治療:血液中のコレステロールを下げる、スタチンというお薬を使います。
- スタチンで注意すべき副作用:手足の痛み、筋肉痛、脱力感
※上記の症状があれば、早めに病院を受診してください。