C型肝炎:症状は? どうやって感染するの? 検査や治療は? 完治できる?
更新日:2020/11/11
- 肝臓専門医の大澤 陽介、考藤 達哉と申します。
- このページに来ていただいた方は、もしかすると「自分はC型肝炎かも?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- C型肝炎の方に役に立つ情報をまとめました。
目次
まとめ
- C型肝炎とは、からだに入ったC型肝炎ウイルスが、肝臓に悪い影響を及ぼしている状態です。
- この状態が長いあいだ続くと、肝臓のはたらきが悪くなったり、がんができてしまったりします。
- C型肝炎ウイルスがからだの中にあるかどうかは、血液検査で調べることができます。
- お薬により95%以上の方が治ります。
- 治療にかかる費用を補助する制度があります。
C型肝炎は、どんな病気?
- C型肝炎は、からだの中に入ったC型肝炎ウイルスというきわめて小さなもの(「ウイルス」は生物と生物ではないものの中間のものであるといわれています)が肝臓で増えて、肝臓の炎症がつづく病気です。
- このウイルスがからだの中に入っても、3割の人では自然に消えて治りますが、7割の人はウイルスが残りつづけます。
- 残ったウイルスが肝臓に悪い影響を及ぼしつづけると、肝臓が硬くなって正常にはたらかなくなる、がんができるなどします。
- ただ、ウイルスをもっているだけで、肝臓に悪い影響を及ぼさない場合もあります(この状態をウイルスの「キャリア」といいます)。
- C型肝炎ウイルスをもった状態が続いている場合は、自然に消えることはほとんどありませんので、ウイルスをからだからなくす治療が必要です
C型肝炎と思ったら、どんなときに病院へ受診したらよいの? 医療機関の選び方は?
- C型肝炎は自覚症状がないことが多く、C型肝炎ウイルスをもっていることに気づかないうちに病気が悪くなってしまうことがあります。
- C型肝炎と思ったら近くの病院や保健所に相談してください。
- C型肝炎ウイルスがからだの中にあるかどうかは、血液検査で調べることができます。
- 検査自体は簡単ですので、検査を受けたことがない人はぜひ一度調べてみてください。
- 地域によっては無料で検査を受けられることがあります。
C型肝炎になりやすいのはどんな人? 原因は?
- C型肝炎は、次に示すような行為によってC型肝炎ウイルスがからだの中に入ることによって発症しますので、当てはまる場合は検査を受けるようにしてください。
C型肝炎の原因
- 薬を乱用している
- 入れ墨(タトゥー)、ピアスをしている
- 男性同性愛者で性行為をしている
- 輸血や大きな手術をうけたことがある
- 健康診断で肝臓に問題があるといわれたことがある方もぜひ検査を受けてください。
どんな症状がでるの?
- ウイルスがからだの中に入ったときや、肝臓で炎症が起こっているときも、症状はないことが多いです。
- 症状があっても「風邪かな?」と思ってしまう次のような症状が多いです。
C型肝炎の初期の症状
- 熱がでる
- からだがだるい
- 食欲がない
- 気持ち悪い
- 節々が痛い
- 病気さらに進んでくると、次のような症状がでてきます。
病気が進んだときにみられる症状
- からだが黄色くなる
- おしっこの色が濃くなる
- 便の色が白っぽくなる
- むくみ
- 水がたまっておなかが張る
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 血液検査:C型肝炎ウイルスがいるかどうか、および肝臓のはたらきが正常かを調べます。
- 超音波検査やCT・MRI検査など:C型肝炎ウイルスがいる場合は、肝臓の状態やがんがないかなどよりくわしく調べます。
どんな治療があるの?
- C型肝炎の治療は、C型肝炎ウイルスをからだの中からなくすことです。
- 感染初期の場合は、3割は自然に消えるので様子をみます。
- 主な治療はいくつかある飲み薬の最も効果がありそうなものを使うことですが、注射薬(インターフェロン)を使うこともあります。
- 検査で肝臓にがんがみつかった場合は、先にがんを治します。
- 患者さんの状態によって、ウイルスを消すメリットがない場合には、治療しないこともあります。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは? 治療の副作用は?
- 飲み薬で重い副作用がでることはほとんどありません。
- 治療中は、血液検査などで副作用がないか確認します。
- 飲み薬と一緒に飲んではいけない薬がありますので、治療を受ける前に、今どんな薬やサプリメントを飲んでいるか伝えてください。
- 治療によってC型肝炎ウイルスが消えても肝臓はすぐ元に戻るわけではなく、治療後に肝臓がんがみつかることもありますので、定期的に病院を受診してください。
うつるの? 自分の予防のためにできることは?
- 近くにC型肝炎の人がいても、日常生活でうつることはありません。
- C型肝炎ウイルスをもっている人の血液が自分のからだに入るとうつる可能性はありますが、普通の生活で他人の血液が自分のからだに入ることはほとんどありません。
- カミソリの共有や、不衛生な器具を用いた入れ墨(タトゥー)などは避けてください。
- C型肝炎ウイルスのワクチン(予防接種)はありません。
治るの? 治るとしたらどのくらいで治るの?
- 飲み薬によって、95%以上の方が治ります。
- 1回の治療でC型肝炎ウイルスが消えなかった場合は、薬の種類を変えます。
- 治療期間は、おおむね8〜12週間です。
追加の情報を手に入れるには?
- C型肝炎に関してはインターネットで下記のページを参照してください。
- 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 肝炎情報センターのホームページ
- http://www.kanen.ncgm.go.jp/cont/010/c_gata.html
- 日本肝臓学会のホームページ
- https://www.jsh.or.jp/medical/
もっと知りたい! C型肝炎
C型肝炎についてどこで相談したらいいの? 輸血などでC型肝炎になってしまった場合の補償は?
C型肝炎について相談したい場合
- 全国の「肝疾患診療連携拠点病院」にご連絡ください。下記、国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 肝炎情報センターのホームページが参考になります。
- http://www.kanen.ncgm.go.jp/cont/060/20170125135739.html
給付金の支給について相談したい場合
- 出産や手術で輸血をうけた際にC型肝炎ウイルスがからだに入ってしまった方には、給付金の支給が行われています。下記のページを参考にしてください。
- 厚生労働省のホームページ
- https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/fivwakai/index.html
- 政府広報オンライン
- https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201207/1.html