B型肝炎:症状は?感染経路は?予防接種の効果は?検査や治療は?
更新日:2020/11/11
- 肝臓専門医の四柳 宏と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分がB型肝炎になってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
まとめ
- B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスが肝臓に感染して炎症を起こす病気です。無治療のまま放置すると、肝臓がんを合併する可能性があることが知られています。
- B型肝炎には、急性肝炎と慢性肝炎があります。急性肝炎に対しては原則として治療はおこなわれません。慢性肝炎で肝機能の低下が持続する場合、薬物治療が行われます。
- B型肝炎はワクチンで予防することができます。
B型肝炎は、どんな病気?
- B型肝炎とはB型肝炎ウイルスが肝臓に感染して炎症を起こす病気で、肝臓の病気では代表的なものです。
- B型肝炎には初めての感染の際に強い肝機能異常が起きる 急性肝炎と、感染が持続して肝機能を低下させる慢性肝炎とがあります。
コラム:肝炎ウイルスの種類
- 肝臓に感染して炎症を起こすウイルスには、A型、 B型、 C型、 D型、 E型の5種類があります。
どんな症状がでるの?
- 急性肝炎と慢性肝炎ではそれぞれ症状が異なります。
急性肝炎の症状
- ウイルスの感染により強い炎症が起きるため、全身のだるさ・食欲の低下・微熱などの症状がみられます。
- 肝臓の機能が低下するために黄疸(白目や皮膚が黄色〜おうど色になること)がみられます。
- 肝機能の低下が著しい場合は、意識がくもることがあります。
慢性肝炎の症状
- 慢性肝炎の初期には、ほとんど症状はありません。
- 肝炎が治らず、肝臓全体の働きが悪くなってくると、全身のだるさや食欲の低下などの症状が出ることがあります。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- B型肝炎が疑われると血液検査をして調べます。
血液検査で調べること
- HBs抗原:肝臓に感染したB型肝炎ウイルスが血液中に分泌するタンパク質のうち、代表的なものです。血中HBs抗原が陽性であることはB型肝炎ウイルスに感染していることを意味します。
- HBV DNA:感染しているウイルスの量が多い場合は、血液中にB型肝炎ウイルスの遺伝子が検出されます。
- AST、 ALT:肝炎が起きると多くの場合、細胞が破壊されてしまい、細胞の中に含まれているASTやALTが血液に流れ出します。
どんな治療があるの?
急性肝炎の治療
- 急性肝炎に対しては原則として治療はおこなわれません。
- ただし、食欲が改善しなかったり強いだるさが続く場合は、医療機関を受診されることをおすすめします。
慢性肝炎の治療
うつるの?自分の予防のためにできることは?
- B型肝炎は血液や体液を介して、人から人へ感染します。
- お腹に赤ちゃんがいる方も、B型肝炎になると赤ちゃんへうつる可能性があります。
B型肝炎の予防接種
- B型肝炎の予防には、予防接種(ワクチン)があります。
- 半年かけて3回の接種を行うと、9割の方で血液中のHBs抗体が陽性になります。
- この状態はB型肝炎に対する免疫を獲得している状態であり、B型肝炎の予防が可能です。
肝臓がんになるのはどういう場合なの?
- B型肝炎を無治療のまま放置していると、肝臓がんを発症する可能性があります。
- 肝機能が低下している場合は、核酸アナログ製剤の治療を受けていただくことで、肝臓がんにかかる可能性は大きく減ります。
- ただし、肝硬変になってから治療を開始した方やご高齢の方では、肝臓がんになる可能性は残ってしまいます。かかりつけの医師と相談の上、治療を受けてください。