あせも:原因は?対処法は?受診のタイミングは?
更新日:2020/11/11
- 皮膚科専門医の鍬塚 さやかと申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「このかゆいぶつぶつはあせもかもしれない?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- あせもとは、多量の汗をかいたあとそのまま放置しているとできる、かゆくて赤いぶつぶつです。夏に多く、医学用語では汗疹【かんしん】といいます。
- 汗をたくさんかいたあとは適切に対応して、あせもにならないように気をつけましょう。
あせもは、どんな病気?
- たくさん汗をかいたあと、汗を吸い込んだ洋服をそのまま来ていたり、高温多湿の環境にいたりすると、皮膚に赤いぶつぶつや小さな水ぶくれがでてきます。これがあせもです。
- 汗が出る管が詰まることで炎症がおきると考えられています。
- 涼しい環境に移動する、通気性の良い衣類に着替える、汗をふき取るなどで、改善が期待できます。
- 夏に多いですが、冬でも暖房や厚着をしているために、あせもができることがあります。
あせもと思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 下記に挙げた症状がみられたら、皮膚科を受診するのがおすすめです。
病院へ行くべき場合
- 赤いぶつぶつが広い範囲にたくさんある場合
- かゆみが強い場合
- かき壊してしまって皮膚が赤く腫れ、膿がでている場合
受診前によくなるために自分でできることは?
- あせもができてしまった皮膚は、数週間程度のあいだ、汗が出にくくなります。そうすると体温調節がしにくくなり、熱中症のリスクが上がります。
- 熱中症にならないよう、涼しい環境を作って、通気性や吸湿性の高い肌着やゆったりした服を着用しましょう。
- あせもが悪化しないよう、皮膚が蒸れないように気をつけましょう。たくさん汗をかいたあとはシャワーで流したり、おしぼりでふきとりましょう。肌着を替えることも効果的です。
- 布団は通気性の良いものを選びましょう。
あせもになりやすいのはどんな人?原因は?
- お子さんやご高齢の方:自分で環境を整えることが難しいため、あせもになりやすいです。周囲の人が気がけてあげてください。
- 職場や生活環境が高温多湿の方、肥満、多汗の方:汗をかきやすいので、あせもになるリスクが上がります。
- その他:激しい運動のあとや高熱が出たあと、湿布や包帯やギプスを使用していると、部分的にあせもが出ることがあります。
あせもの原因
- 汗の出てくる管や穴がほこりやアカでつまり、汗がうまく出られなくなってしまうことが原因です。
どんな症状がでるの?
- あせもには様々な種類があり、それによって症状は異なります。
- 下記にあせもの種類と症状についてまとめました。
あせもの種類による症状
- 紅色汗疹:最も一般的なタイプです。2-4㎜の赤い盛り上がった湿疹がでます。かゆみやピリピリ感を伴います。赤ちゃんや子供によく見られます。
- 水晶様汗疹:水滴に似た1-2mmの小さな透明の水ぶくれがたくさんできます。かゆみはなく、治療をしなくても数日で治ります。
- 深在性汗疹:1-4mmの肌色のかたい丘疹ができます。紅色汗疹をくり返すことで発症すると考えられています。熱帯の地方でよくみられますが、日本ではまれです。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- あせも特有の検査はありません。
- 高温多湿の環境にいなかったか、急速に多量の汗をかかなかったかなどを問診で伺って、皮膚のぶつぶつと照らし合わせて診断します。
- 皮膚が化膿している場合、何の菌かを調べることがあります。
どんな治療があるの?
- あせもは基本的に塗り薬で治療します。
- 紅色汗疹で炎症が強いときはステロイドの塗り剤を使用します。炎症がない場合は、フェノール亜鉛華リニメントを使うことがあります。
- 水晶様汗疹は無治療でも2-3日で治ります。治療の必要はありません。
- かき壊して細菌感染を起こしているときは、抗生剤の内服を行います。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?
- かゆくて掻いているうちに細菌感染を合併することがあります。皮膚が赤く腫れてきたり、膿がでてきたら受診してご相談ください。
- シャワーで汗を流す場合、石鹸を使うのは1日1回で十分です。1日に何度も石鹸で洗ったりゴシゴシこすったりするのは肌によくありません。洗浄剤(石鹸)は泡立ててタオルや素手にのせて、やさしく洗いましょう。
予防のためにできることは?
- あせもを予防するために、下記のことをおすすめします。
あせもを防ぐための予防策
- 高温多湿にならないよう、部屋の温度を調整する
- 通気性の良い衣類・寝具を使う
- 熱がある時は厚着をしすぎないようにする
- 汗をかくことが予想されるときは綿などの肌着に汗をすわせるようにして、こまめに取り替える
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 高温多湿を避けて涼しくし、衣服を調節し、皮膚を清潔に保ち、適切な塗り薬を使用することで、数日から1週間ほどで治ることが多いです。
- 水晶様汗疹の場合は、治療しなくても2-3日で治ります。水ぶくれが治って乾いた後、白色のうすい角質が残ることがありますが、すぐとれるので心配いりません。
もっと知りたい! あせものこと
汗について
- 汗は悪者ではありません。汗は普段、体温調節や皮膚の保湿、殺菌など大切な役割を担っています。汗をかくことはよいことです。むしろ、汗をかかなくなると困ることが多いのです。
- 適度に汗をかく習慣をつけて、汗をかいた後は適切な対応を行い、上手に汗とつきあっていきましょう。