病気不安症:どういう時に疑うの?診断方法は?治療方法はあるの?
更新日:2020/11/11
- 精神科専門医の栃木 衛と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分が病気不安症になってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 病気不安症は、からだの症状がないにも関わらず、重い病気にかかっているという考えにとらわれて日常生活に支障をきたす病気です。
- むやみに色んな病院を受診したり、完全に治ることを期待したりすると、かえって悪くなる恐れがあります。
- 治療としては、まず信頼できる精神科の先生を見つけて安心感を得ていくことが重要です。
病気不安症は、どんな病気?
- 病気不安症とは、からだの症状がない、またはあってもごく軽度であるにも関わらず、診断のつかない重い病気にかかっているという考えにとらわれてしまう病気です。
- 健康や病気について強く心配することで生じるものと考えられています。
- 以前は「心気症」と呼ばれていた病気の一部を病気不安症と記されています。
病気不安症と思ったら、どんなときに病院への受診したらよいの?医療機関の選び方は?
- 病気不安症と思っても、慌てて病院を受診する必要はありません。
- 自分自身が安心して受診することのできる、精神科のかかりつけ医へ受診してください。
受診前によくなるために自分でできることは?
- 避けたほうが良いことは以下の通りです。
避けた方がよいこと
- 安心するために色んな病院を受診すること(いわゆる「ドクターショッピング」)
- 不必要で急ぐ必要がない検査・医師への受診・治療
病気不安症になりやすいのはどんな人?原因は?
- 原因は不明です。
- ただ、生活上の大きなストレス、深刻な病気かもしれないと思ったが結局は問題なかったという出来事などがあると引き起こされる場合があります。
- 子どもの頃に虐待や重い病気にかかった経験があると、大人になってからなりやすくなる可能性があります。
どんな症状がでるの?
- 自分で頻繁に血圧を測ったり、おっぱいにしこりがないか触ってみたりするなど、安心するために過度に健康に関連した行動を繰り返します。
- 病気に対する不安が生活の中心になってしまい、社会生活に支障が生じてしまいます。
- 原則としてからだの症状はありません。ただ、めまい、耳鳴り、げっぷなどの軽い症状が存在することはあります。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 特別な検査はありません。
- 患者さんのお話を伺います。
確認すること
- からだの症状がないのに、重い病気にかかっているというとらわれがあること
- 健康についての強い不安・恐怖があり、そういう行動をしていること
- 他の病気ではないこと
どんな治療があるの?
- 治療は以下の通りです。
治療
- 定期的に精神科へ行く:かかりつけ医を信頼し、定期的に通院することが重要です。
- 規則的な生活を送る、休養、運動、気分転換
- 不安を減らすこころの治療:リラクゼーション、呼吸訓練法、マインドフルネス(瞑想)など。
- 改善が思わしくない場合、認知行動療法や森田療法という専門的な精神科の治療を行うこともあります。
- また、補助的にお薬を使うこともあります。その場合、患者さんと相談しながら、うつ病に効く抗うつ薬を少量から始めることが多いです。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
- 治療を受けたら、完全に治ることを求めて期待を持ちすぎないようにしてください。かえって悪くなることもあります。
- 治療の目標は症状を完全になくすことではなく、苦しみや痛みを和らげたり、生活の質を上げたりすることとするとよいです。