痛風:原因は?症状は?どんな痛み?薬はある?食事は何に注意すればいい?
更新日:2020/11/11
- リウマチ・膠原病を専門としている河野 肇と申します。
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分が痛風になってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 痛風【つうふう】とは、尿酸という成分が体の中にたまり、それが結晶になって関節がはれて激痛を認める病気です。
- 1日で痛みが最大になることが多いです。風が吹くだけでも痛いほどの痛みなので痛風と言われます。
- 痛みは10日ほどで治まることが多いですが、治療せずに放置すると激しい痛みを繰り返したり、腎臓が悪くなったりすることもあります。
- 痛風の発作を繰り返さないために、お医者さんで治療を受けていただいた後は、食事に気を付けて運動を続けていただくことが大切です。
痛風は、どんな病気?
- 痛風【つうふう】とは、尿酸という成分が体の中にたまり、それが結晶になって関節が腫れて激しく痛む病気です。風が吹くだけでも痛いので痛風と言われます。
- 痛風で痛くなることが一番多い部分は足の親ゆびの付け根の関節ですが、他の関節にもおきます。
- たいていの場合、1週間から10日たつとしだいに治まって、しばらくすると全く症状がなくなります。しかし、放置すると激しい関節の痛みを繰り返したり、腎臓が悪くなったりする重大な病気でもあります。
他の病気とどう違うの?
- 足の親ゆびの近くが腫れて痛む、痛風以外の病気としては、外反母趾、皮膚の感染症(蜂窩織炎)、怪我、回帰性リウマチなどがあります。
- 膝や足首など他の関節が腫れる病気としては変形性関節症、偽痛風などがあります。
- 上にあげた疾患と痛風を見分けるために、医師は痛風の診断基準に照らし合わせて診断しています。
コラム:痛風の診断基準
- 症状が出てから1日以内にピ-クに達する
- 以前にも同じような症状があった
- 一度にひとつの関節だけに症状がある
- 関節の部位が赤くなる
- 関節が腫れている
- 足の親ゆびの付け根の関節に激痛、腫れがある
- 片足の親ゆびの付け根の関節に炎症がある
- 片足の足首の周りの関節に炎症がある
- 血液検査で尿酸値が高い
どんなときにかかりつけ医や病院に行けばいいの?
- 痛風はとても痛いのですが、基本的に救急車を呼ぶ必要はありません。かかりつけ医を受診してください。
- 痛みが治まっても、痛風の原因となる血液中の尿酸が多い状態に対しては治療を行う必要があります。
かかりつけ医にすぐに受診を要する場合
- 初めて痛みがあらわれた時
- 血液の中の尿酸の値(血清尿酸値)が高いことを指摘された時
- これまで処方してもらっていた痛み止めがなくなった時
早く良くなるために自分でできることはないの?
- 腫れているところを冷やす、または圧迫しておくと、痛みが楽になります。
お医者さんに行ったらどんな検査や治療があるの?
痛風を疑う場合の検査
- その他の原因の除外:まず、皮膚に細菌などが入ることによる蜂窩織炎や、他の理由で腫れているのではないかを検討します。
- 血清尿酸値:血液の中の尿酸の値(血清尿酸値)を調べます。血清尿酸値が高いと尿路結石ができたり、腎臓の機能が悪くなることが知られていますので、それらについても検討を行います。
- 動脈硬化のリスク因子:さらに、血清尿酸値の高い人は心臓病や脳卒中の危険性が他の人より高いことがわかっています。これらの病気を予防するために、動脈硬化のリスク因子(血圧、糖尿病、脂質異常症など)の検討も同時に行います。
痛風の治療
- 痛み止め:関節が痛い時には痛み止めが投与されます。
- 尿酸値を下げるお薬:関節の腫れが治まった時点で尿酸値を下げる内服薬が開始になります。尿酸値を下げる内服薬は少ない量から開始となって次第に増量されます。
- 生活の指導:食事や運動などの生活習慣を見直していただくことも大切な治療の1つです。
お医者さんで治療を受けた後に、どんなことに気をつけたらよいの?
- 再び痛風にならないように、食事に気をつけて適切な運動をしてください。
- 水分を多く取り、尿の量を増やして、尿の中の尿酸を薄めると結石ができにくくなります。
- 野菜や乳製品の多いバランスの良い食事をしてください。合併症となる動脈硬化や腎臓病の予防のためにも必要です。
- 運動は、痛風に合併するメタボリックシンドロームを改善するためにもすすめられます。
注意していただきたい食品
- 尿酸の元となるプリン体を多く含む食品を控えてください。プリン体はあん肝、レバー、モツ、白子、牛肉ヒレ、ロース、えび、かにみそなど、主に動物性食品に多く含まれています。
- 飲酒も控えていただく必要があります。一日量の目安は、ビールなら小1本程度、日本酒なら一合弱、ウイスキーならシングル2杯程度、ワインなら200CCのいずれかとなります。
- 果糖は尿酸を作る働きを促すため、注意が必要です。果糖は果物に多く含まれていますが、砂糖にも半分含まれます。ですから、果物や砂糖の摂りすぎは控える必要があります。