口腔アレルギー症候群:症状は?起こしやすい食べ物は?検査や治療は?
更新日:2020/11/11
- このページに来ていただいたかたは、もしかすると「自分が口腔アレルギー症候群になってしまった?」と思って不安を感じておられるかもしれません。
- いま不安を抱えている方や、まさにつらい症状を抱えている方に役に立つ情報をまとめました。
- 私が日々の診察の中で、「特に気を付けてほしいこと」、「よく質問を受けること」、「あまり知られていないけれど本当は説明したいこと」についてまとめました。
目次
まとめ
- 口腔アレルギー症候群とは、原因となる食べ物が、口の中の粘膜に触れることで、その周りにかゆみや腫れなどのアレルギー反応を起こす病気です。
- 花粉症の人が、野菜や果物を食べたときに症状があらわれることが多いです
- 診断には、問診とプリックテスト、血液検査などが行われます。
- 治療の基本は、原因食品を食べないようにすることです。
- 呼吸が苦しくなるなどの全身の症状を起こす場合は、携帯用アドレナリン自己注射(エピペン®)による管理が必要です。
口腔アレルギー症候群は、どんな病気?
- 口腔アレルギー症候群とは、原因となる食べ物が、口の中の粘膜に接触することで、その周りにかゆみや腫れなどのアレルギー反応を起こす病気です。
- 場合によっては、アナフィラキシーまたはアナフィラキシーショックという、全身の症状が出ることがあります。
口腔アレルギー症候群と思ったら、どんなときに病院・クリニックを受診したらよいの?
- 口腔アレルギーが疑われ、診断されていない場合には、病院を受診してください。
- 口の中の症状だけでなく、呼吸が苦しくなったり、血圧が下がったり、意識がもうろうとしたりする場合には救急車を呼んですぐに病院を受診してください。
口腔アレルギー症候群になりやすいのはどんな人?原因は?
- 口腔アレルギー症候群は、花粉症やラテックスアレルギーのある方が、特定の野菜や果物を食べたときに、症状があらわれることが多いです。
- これは、特定の食物のタンパク質の構造が、花粉やラテックスの構造と似ているためです。その食物を食べた際に、花粉やラテックスと同様、体が異物と認識してしまい、アレルギー反応をおこします。
口腔アレルギーを起こす主な食物
- トマト、リンゴ、モモ、サクランボ、スイカ、メロン、オレンジ、セロリ、キウイフルーツ、クルミ、ココナッツなど
どんな症状がでるの?
- 通常の症状は、原因となる食べ物が触れた口の周りに出るかゆみや腫れなどのアレルギー反応です。
- 場合によってアナフィラキシー・アナフィラキシーショックを起こすと、呼吸が苦しい、血圧が下がる、意識がもうろうとしたりするなどの症状が出ます。
お医者さんに行ったらどんな検査をするの?
- 口腔アレルギー症候群が疑われたら、まずは問診をして何を食べたか、花粉症やラテックスアレルギーはあるかどうかなどを伺います。その後、プリックテストや血液検査を行います。
血液検査
- 血液中に原因となる食べ物に対するIgE抗体があるかを調べます。
- また、花粉やラテックスに対するIgE抗体検査を行います。
プリックテスト
- まず原因となる野菜や果物を針で刺し、そのまま皮膚をチクッとひっかきます。ひっかかれた場所が赤くなったり、腫れたりするかをみます。
- プリックテストは、IgE抗体検査と比べて陽性になりやすいことが知られています。
どんな治療があるの?
- 治療の原則は、原因となる食品を食べないということです。
- 厳密には難しいことも多いのですが、豆乳を除いて一般的には、加熱または加工(缶詰など)すれば、食べることが可能な場合が多いです。
- インタール®を含む抗アレルギー薬を飲むことで、はじめの症状が軽くなる可能性があります。
- 呼吸が苦しくなる、血圧が下がる、意識がもうろうとするなどの症状が出たことがある場合は、携帯用アドレナリン自己注射(エピペン®)を出してもらってください。
お医者さんで治療を受けた後に注意をすることは?治療の副作用は?
- 特に花粉が飛ぶ時期には、気を付けてください。花粉が飛ぶ時期に、口腔アレルギー症候群の症状が出たり、悪化したりします。
- 安全性が疑わしい食べ物を食べる場合、しばらく口の中でくわえて、かゆみなどの症状がないことを確認してから、食べてください。
予防のためにできることは?
花粉症やラテックスアレルギーを予防する
- 花粉に多く触れていると、花粉症が発症しやすいことがわかっています。ですから、花粉との接触を減らすことは、口腔アレルギー症候群の発症予防に有効と思われます。
- カバノキ科(シラカンバ、ハンノキ) 、イネ科(カモガヤ、オオアワガエリ)、キク科(ヨモギ、ブタクサ)、ヒノキ科(スギ、ヒノキ)などと接触する機会をできるだけ減らすとよいでしょう。
- ラテックスアレルギーの予防として、日常や仕事でラテックスとの接触を減らすことは大切です。
スキンケアを行う
- 近年、アレルギーの原因物質が皮膚から入り込むと考えられるようになっています。アレルギーの発症予防に、保湿などのスキンケアも重要であると考えられています。
治るの?治るとしたらどのくらいで治るの?
- 口腔アレルギー症候群は、他のアレルギーに比べて予後は良好です。
- しかし、基本的に自然に治ることはないと考えられています。
- 花粉症に対するアレルゲン免疫療法が、口腔アレルギー症候群を改善させるかについては、いまだ分かっておりません。
追加の情報を手に入れるには?
口腔アレルギー症候群
- 特殊型食物アレルギーの診療の手引き2015 をご参照ください。(厚生労働科学研究費補助金「難治性疾患等実用化研究事業(免疫アレルギー疾患等実用化研究事業 免疫アレルギー疾患実用化研究分野)」)
口腔アレルギー症候群に関連する原因花粉と食物
- Thermo Fisher Scientific Inc. のホームページに、わかりやすい包括的な図が記載されています。